25ky-19
藤森 海斗(明徳義塾3年)捕手 182/73 右/左 | |
期待の若手有望株の一人、寺地隆成(ロッテ)の二世とも称される 藤森 海斗。どのような選手なのか、改めて考察する。 ディフェンス面 選抜後に捕手に転向し、四国大会でのテンポの良いボール回しからセンスの良さがうかがえた。ミットをしっかりと投手に示し、狙いをつけやすくする構えが印象的だ。キャッチングやフットワークに特別なものは感じられないが、寺地同様にプロでも捕手として続けられる可能性は十分ある。周囲への的確な指示出しや、二塁までの送球タイムが1.9秒前後と予想以上に強い地肩も魅力だ。プロで数年鍛えれば、ディフェンス面でも一定の形になるのではないか。 打撃内容 3年夏の高知大会では決勝まで進出したが敗れ、甲子園出場は逃した。しかし、U-18ワールドカップの日本代表に選出され、国際大会にも出場した。3年夏の高知大会とU-18の成績は以下の通り:13試合、42打数、13安打、1二塁打、1三塁打、0本塁打、5打点、7四死球、7三振、打率.310 セイバーメトリクス視点:出塁率(OBP)は.408と高く、選球眼の良さがうかがえる。ISO(純粋な長打力)は.071と低めで、長打力は現時点での課題。wOBA(加重出塁率)はおおよそ.350程度(簡易推定)で、高校生としては上位の打撃貢献を示す。 構え ☆☆☆★ 3.5 左打席で前足をやや引き、グリップの高さは標準的。腰の据わりや両目で前を見据える姿勢、全体のバランスはまずまずで、リラックスした構えが特徴だ。選球眼の良さ(OBP.408)がこの安定した構えに裏打ちされていると考えられる。 仕掛け 早め 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。アベレージヒッターに見られる対応力を重視した始動タイミング。春季大会では「平均的な仕掛け」を採用していたが、早めた意図は不明。 足の運び ☆☆☆☆ 4.0 軽く足を上げ、ベースから離れた方向へのアウトステップを採用。始動から着地までの「間」が取れており、速球や変化球のスピード変化に対応しやすい。踏み込んだ前足はインパクト時にしっかり閉じて動かないため、逃げる球や低めの球にも食らいつける。 春季大会では真っ直ぐ踏み出していたが、アウトステップへの変更により、U-18での外角球への対応改善(打率.310)がうかがえる。 リストワーク ☆☆☆★ 3.5 打撃準備の「トップ」は自然体で、速い球にも対応しやすい。スイング軌道に大きなロスはなく、インパクト時にヘッドが下がっていないため、広い面でボールを捉えられ、フェアゾーンに飛びやすい。ただし、インサイドアウトのスイングではないため、内角の速球にに遅れないように注意したい。長打力(ISO.071)は期待しにくいが、コンタクト重視の打撃は打率.310に反映されている。 軸 ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが静かなため、目線の上下動は少ない。体の開きを我慢でき、軸足の形も大きく崩れない。甘い球を逃さず叩くというより、柔らかさを活かして多少フォームを崩してもボールを捉えるタイプだ。軸足の内腿の筋力はまだ発展途上で、強化されればISOの向上や打球の強さが増す可能性がある。 春季大会ではステップ幅が狭く後ろ足が余りがちだったが、アウトステップ採用で改善が見られ、打撃の安定感(wOBA.350程度)に寄与している。 打撃のまとめ 4月の四国大会時と比べ、打撃フォームに微調整を加えている。現状に満足せず、より高いレベルを目指し試行錯誤する姿勢が感じられる。技術的には改善の余地があるものの、悪癖は少なく、対応力や柔らかさに光るものがある。セイバーメトリクス的には、出塁率の高さ(OBP.408)が強みだが、長打力(ISO.071)の向上には筋力強化とスイングの最適化が必要だろう。 最後に 捕手として難しくても、外野手として十分やっていける身体能力を持つ。塁間4.05秒前後の脚力は突出しないが基準以上で、肩の強さも活かせばライトの守備はプロでも対応可能だ。プロ入り当初は捕手として起用される可能性が高いが、打撃(特に出塁率の高さ)が成長すれば他のポジションへの転向も考えられる。ドラフト候補の捕手としては上位の打力(wOBA.350程度)を持ち、「打てる捕手」としての期待も高い。今年の捕手人材が乏しい市場を考えれば、守備力と打撃のバランスから支配下指名も十分あり得る。藤森の高い出塁率と柔軟な打撃は、プロでの成長次第で貴重な戦力となりそうだ。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年夏 高知大会) |
藤森 海斗(明徳義塾3年)捕手 182/73 右/左 | |
選抜大会では、中堅手として好打で出場していた 藤森 海斗 。しかし、選抜以降に捕手にコンバートされたようで、背番号2を背負い、4番打者として出場していた。 ディフェンス面 テンポの良いボール回しに、捕手としてのセンスを感じさせる。キャッチングなどに特に目立つ特徴はないものの、元外野手だけあって打球への反応は鋭い。また、送球では想像以上に地肩が強く、塁間1.9秒前後で球筋も二塁まで衰えることなく送球できていた。課題があるとすれば、送球の精度がどの程度かといった点だろう。むしろ捕手としては、先輩の 寺地 隆成(ロッテ)よりも適性が高いのではないかと思わせるものがあった。夏に向けて、キャッチングやスローイングの精度がどのレベルに達するのか、見極めていきたい。 打撃内容 3年春の選抜大会では初戦で敗れたものの、健大高崎戦で4打数2安打と技術の高さを実証した大会だった。ただし、左打ちの好打者タイプの外野手としては、高校からのプロ入りとなるとやや埋もれがちな印象がある。捕手としての方が、指名となると現実的かもしれない。 構え ☆☆☆★ 3.5 左オープンスタンスで構え、グリップの高さは平均的。腰を深く沈め、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスはまずまずの構え。 仕掛け 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。このタイミングは、確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる。 足の運び ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げ、真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」は標準的で、速球にも変化球にもスピードの変化にそれなりに対応可能。真っ直ぐ踏み出すスタイルから、内角も外角も打ちたいタイプと思われる。 踏み込んだ前足はしっかり止まり、逃げる球や低めの球にも食らいつくことが期待できる。打球は右にも左にも幅広く打ち返す柔軟性がある。 リストワーク ☆☆☆★ 3.5 打撃準備の「トップ」の形は自然体で、力まずにボールを呼び込めている。バットの振り出しはインサイドアウトではないが、外角の球をさばく際のロスは少ない。打球に角度をつけて飛ばすタイプではなく、最後まで鋭いスイングで振り切る。 軸 ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが静かなため、目線の上下動は少ない。体の開きも我慢でき、軸足の形も大きく崩れない。強いて言えば、ステップの幅がやや狭く、後ろ足をやや持て余している印象もある。 打撃のまとめ ボールを捉える対応力に優れ、技術的な悪い癖は見られない。ただし、プロのレベルでは特に際立つ部分が少なく、外野手として高校からプロ入りを目指すにはインパクトが弱い印象。しかし、捕手であれば守備がしっかりしていれば許容される部分ではないだろうか。 最後に 捕手としての適性・能力は悪くないと感じる。夏に向けて、実際の対応力がどのレベルなのか見極めたい。ただし、捕手をこなしながら4番打者としてどこまで打力を発揮できるかは気になるところ。四国大会の準決勝では、打撃で結果を残せていなかった点も気になる。先輩の寺地隆成選手のような存在になれるのか、注目して行きたい。 蔵の評価:追跡級! (2025年 春季四国大会) |