25ky-14
佐藤 仁(西日本短大付3年)一塁 180/98 右/右 | |
極端な外野守備を敷かれる中、その上を越えていく打球を連発していた 佐藤 仁 。センバツには長打を売りにする選手が少ない中、数少ない飛距離を売りにできる強打者だった。 走塁面:☆★ 1.5 一塁までの塁間は、右打席から約4.8秒で到達。これは左打者に換算すると約4.55秒に相当し、ドラフト候補としては極めて遅い。新チーム結成以降の14試合で盗塁は0個。基本的にパワーヒッターであるため、足の速さを期待するのは難しそうだ。 守備面:☆☆☆ 3.0 一塁手としての動きは悪くなく、決して下手な選手ではない。新チーム結成以降の14試合で失策は3個と、一塁手としてはやや多いものの、この冬の間にかなり鍛えられた可能性がある。また、他のポジションへの適正については、夏まで観察して判断したい。 基本的にポジションが限定されることや走力が厳しいことを考えると、打ってナンボのせんしゅであることは間違いない。 打撃内容 3年春のセンバツでは、3試合11打数3安打1本塁打4打点、打率.273 という成績だった。 構え:☆☆☆★ 3.5 右打席で前足を軽く引き、グリップを高めに構えた強打者らしいスタイル。背筋を伸ばしつつ、やや後ろ足に体重を預け、全体のバランスや両目で前を見据える姿勢は標準的。強打者としての雰囲気は、打席からひしひしと伝わってくる。 仕掛け:遅め 一度開いた足を、投手の重心が下がるタイミングでベース側につま先立ちさせる。その後、投手の重心が前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボールをできる限り引き付けてから動き出す生粋のスラッガーに多く見られるタイミングだが、二段階で動き出す選手の場合、最初の動き出しでタイプが分かれることが多い。 そのため、対応力重視の打者とみなされる場合もある。ただし、実際のプレーを見ると、対応力よりも長距離打者としての特徴が強く感じられる。 足の運び:☆☆☆★ 3.5 小さくステップし、ベースから離れた方向に踏み出す。始動から着地までの「間」は短く、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。アウトステップするスタイルから、内角への意識はそれほど強くないと考えられる。 アウトステップするものの、インパクト時には足元をなんとか踏ん張れている。そのため、甘めの外角球や低めの球にもある程度対応できそう。ただし、打球は基本的に引っ張り中心で、打球方向に偏りが見られる。 リストワーク:☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速球に遅れないよう配慮している。バットの振り出しは、バットが投手方向に倒れて構えられているため、遠回りになり、確実性は高くない。 バットの先端(ヘッド)が下がらないため、タイミングが合えばボールはフェアゾーンに飛びやすい。ただし、これだけの強打者の割にスイングの弧が大きいわけではなく、フォロースルーを活かしてボールを運んでいるわけでもない。腕力と肉体の強さを活かし、豪快に巻き込むタイプの打者と言える。そのため、右方向への長打が打てるかどうかは気になるポイントだ。 軸:☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げが小さいため、目線の上下動は少ない。体の開きもなんとか抑えられており、軸足の形も崩れず、軸回転でスイングできている。 打撃のまとめ 強打者としては、軸足の内ももの筋肉が特に発達しているわけでもなく、スイングの弧が大きいわけでも、フォロースルーを活かしているわけでもない点は、パワーヒッターとしてはやや物足りない。しかし、これを伸び代と捉えれば、才能が本格化するのはこれからかもしれない。 最後に ポジションが限られ、走力もない選手だけに、高校から直接プロ入りするには相当な覚悟が必要だろう。スカウトにとっても、指名しづらい条件が揃っている。そのため、卒業後は一旦別のステップを踏んでからのプロ入りが現実的な判断になるかもしれない。私自身も、夏まで追いかけて、その可能性を検討したい。 蔵の評価:追跡級! (2025年 センバツ大会) |