25ky-12





 蝦名 翔人(青森山田3年)二塁 183/84 右/右





 「打撃には良いものを持っているが」





 甘い球を逃さず、スパンと振り出せる打撃には光るものがある。蝦名 翔人 。プロ入りに必要な条件とは何か? 今回は考えてみたい。


走塁面:
☆☆ 2.0

 一塁までの駆け抜けタイムは、右打席から4.7秒強。このタイムを左打者に換算すると、約4.45秒に相当し、ドラフト候補としては 遅い部類 に入る。新チーム結成以来の12試合で盗塁はわずか1個。基本的には、
足を売りにするプレースタイルではないようだ。

守備面:
☆☆ 2.0

 1年生の頃はショートも守っていたが、2年生からは二塁手として出場。しかし、甲子園では
球際の弱さが目立ち、決して上手い二塁手という印象はなかった。「強打の二塁手」という魅力はあるものの、現状、守備でアピールできるほどの技量は持ち合わせていない。

 
守備と走力のレベルが低い点が、プロ入りへのネックとなる可能性が高い。守備については、上手いとまではいかなくても、無難に守れるレベルまで引き上げたいところだ。今後のことを考えると、他のポジションへのコンバートも視野に入ってくるかもしれない。





打撃内容

 2年春・夏と甲子園に出場した際は、
19打数5安打を記録。この春は内角高めに甘く入った球を痛烈にレフト前に弾き返した一本のみで、甲子園を後にした。

<構え>
☆☆☆☆ 4.0

 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合、両眼で前を見据える姿勢、全体のバランスはいずれもまずまずで、
バランスの取れた良い構えと言える。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動のタイミングだ。強打が売りの選手だが、本質的には対応力を重視したスイングと言えるのではないだろうか。

<足の運び>
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げ、ベース側に踏み出すインステップを採用。始動から着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化に幅広く対応しやすい。ベース側に踏み出すことで、外角を意識したスタイルとなっている。

 外角の球に対しても、
踏み込んだ足元はブレずに我慢できている。しかし、腰が早く開くスイングのため、インステップを採用しても外角に強いタイプとは言い難い。一方で、内角は少し窮屈な印象があり、さばけるゾーンは狭いと考えられる。

<リストワーク>
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、柔軟性はともかく速い球に立ち遅れにくい。腰が早く開くため、
バットは遠回りに出てくる傾向がある。それでもクロスに踏み込んで足元を止め、体の開きを抑えつつもバットの先端であるヘッドが下がらずにスイングできている。そのため、しっかり捉えれば打球はフェアゾーンに飛びやすい。ただし現状は、打球に角度をつけて飛ばすタイプではなさそうだ。

<軸>
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げはあるものの、目線が大きく動く印象はない。腰は早く開くが、体の開き自体はある程度我慢できている。ただし、それを抑えるためにインステップしているため、
内角のさばきは窮屈そうに見える。それでも、軸足は地面からまっすぐ伸び、その場で綺麗に軸回転でスイングできている。

(打撃のまとめ)

 初球から
甘い球を逃さない「鋭さ」や「潔さ」が打撃にあり、その点は評価できる。技術的には課題も多いが、修正しようとする意識も感じられる。打撃に関しては欠点はあるものの、ドラフトで指名されるレベルの打力は備えているのではないだろうか。


(最後に)

 高校からプロを目指す上で、打撃よりも
守備や走塁がネックとなりそうだ。この不安を払拭できるかが今後の鍵となるだろう。その点に注目しながら、今後も見守って行きたい選手だった。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 センバツ大会)