25kp-33
| 小宮 悠瞳(川崎総合科学3年)投手 180/77 左/左 | |||||||||||
小宮 悠瞳 のピッチングを見ていると、それほど細かいコントロールがあるわけではないが、右打者にも左打者にも外角中心にボールを集めることができている。そのため、ストライクゾーンの甘いゾーンに投げて打たれるケースは少ないのではないか。 (投球内容) 少し肘の下がったスリークォーターのフォームから投げ込むサウスポー。この夏の神奈川大会の成績は、2試合に登板して以下の通り。
外角中心の投球で被安打を10回で6本(0.60安打/回)に抑えているが、四死球が10個と多く、BB/9(9回あたりの与四死球)は9.0に達する。走者を背負いやすい一方、WHIP(イニングあたり走者数)は1.60とやや高め。奪三振は7個でK/9(9回あたりの奪三振)は6.3と平均以下だが、防御率1.80は守備の助けや運もあった可能性を示唆する。FIP(守備に依存しない投手指標)は被本塁打0で約4.90)。 ストレート 135~140km/h強 ☆☆★ 2.5 球速は常時130km/h後半で、左腕としては平凡。しかし、打者の外角に安定して投げ込み、被安打の少なさにつながっている 。意外に球威があり、キレで空振りを奪うよりも詰まらせるタイプ。今後、体が出来上がれば球速・球威の向上が期待できる。 横変化 ☆☆☆ 3.0 変化球は、肘が少し下がり横に大きく曲がるスライダー。カウントを整えたり、ストレートとの差で打ち取る。 縦変化 なし 試合を見る限り、縦に沈む変化球は確認できなかった。 緩急 なし カーブなどの緩い球も特に確認できず。 その他 ☆☆☆ 3.0 クイックは1.0秒前後で素早い。牽制も入れるが、走者を刺す鋭さはまだ不足。プロでは磨きが必要。ただし、走者を背負っても落ち着いて投げられ、四死球が多い中でも崩れにくいメンタルは強み。経験を積めば投球術も向上する可能性がある。 (投球のまとめ) 現状は外角にボールを集める投球が中心で、被安打の少なさ(0.60安打/回)からもその効果がうかがえる。一方、BB/9 9.0と制球に課題があり、細かい投球術や多様な球種はまだ不足。左打者の背中越しから来る球筋を活かし、「左打者に強い左腕」を目指すのがこの選手の方向性ではないか。 (投球フォーム) セットポジションから足を引き上げる勢いは平均的だが、高い位置まで引き上げエネルギーを生み出す。軸足一本で立つ際、膝から上がピンと伸びず、力みのない立ち方。 <広がる可能性> ☆☆ 2.0 引き上げた足を地面に向けて伸ばすため、お尻はバッテリーライン上に落ち、体を捻るスペースは確保できない。カーブやフォークのような捻り出す球種には不向きで、現状それらの球も見られない。 着地までの地面の捉えも平均的で、捻り出す時間は十分とは言えない。スライダーやチェンジアップ、小さく動く変化球を中心に投球の幅を広げるタイプか。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられ、遠心力を抑えている。ただし、腕の振りは体から遠く、軸のブレを生む可能性がある。現状は外角に安定して集まるため大きな問題はなさそうだ。 足の甲の捉えがつま先のみで、浮き上がる力を抑えきれていないが、抜け球は少なく、球持ちも平均的。体が出来ればさらに安定する可能性がある。 <故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻がバッテリーライン上に落ちるが、カーブやフォークを使わないため窮屈さは少ない。腕の送り出しにも無理がなく、肩への負担は少なそう。力投派でもないため、疲労蓄積の心配も少ない。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 着地までの粘りは少ないが、ボールの出どころは隠せている。見えないところから鋭く出てくるため、打者は差し込まれやすい。腕の振りも適度で、体重を乗せてリリースできており、ボールの強さは悪くない。体作りや柔軟性向上でさらに改善が見込める。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作(着地、球持ち、開き、体重移動)では、着地と球持ちは平均的だが大きな欠点はない。全体にもっと粘り強い動作を取り入れたい。制球面では、足の甲の捉えが浅い割にボールが上吊ることは少なく、故障リスクも高くない。次の段階に進みやすいフォームだが、武器となる変化球の習得が鍵となる。 (最後に) 現状は体作りや基礎技術の習得から始める段階で、時間はかかりそう。球団や本人の我慢が続くかが重要。現時点では大化けの可能性は微妙で、個人的には☆(支配下級)の評価には至らない。「左打者に強い左腕」という特性を目指して頑張ってほしい。 (2025年夏 神奈川大会) |