25kp-28
伊藤 大晟(れいめい)投手 174/74 左/左 | |
ガンガン打者の内角を攻めてゆく、攻撃的な投球が持ち味の伊藤 大晟。全国的には無名のサウスポーだが、3年夏の鹿児島大会では決勝戦まで駒を進めていた。 投球成績 夏の鹿児島大会で先発として33回を投げ、33安打、18四死球、35三振、防御率3.27という成績を残した。投球回数を上回る奪三振数は光るが、被安打の多さと四死球の多さが制球力の課題を示唆している。 ストレート(☆☆☆ 3.0) 球速は130キロ台後半~140キロ台中盤(最速147キロ)。ドラフト候補としては驚くほどの球威や球速があるわけではないが、ボールが見え始めた瞬間から到達する感覚が一瞬に感じられる。上背の割に高い角度から投げ込まれるため、球速以上に勢いを感じさせる。また、右打者のインハイを厳しく突くクロスファイアの球筋を得意としており、これこそが伊藤の最大の持ち味と言えるだろう。 横変化:スライダー(☆☆☆ 3.0) 横への変化が大きいスライダーを多用し、ストレートとのコンビネーションが投球の大部分を占める。空振りを誘うほどの威力はないものの、しっかりカウントを整える使い方が光る。 縦変化:チェンジアップ? 不明 投球のほとんどがストレートとスライダーで構成されており、明確にチェンジアップを織り交ぜるような投球は確認できなかった。 緩急:カーブ? 不明 確 認した投球では投じられていなかった。いずれにしても、現状ではチェンジアップやカーブを頼れる球種とは言い難い。 その他 (☆☆☆★ 3.5) クイックは0.9秒台と高速で、走者への目配せも素早く、スタートを切りにくくさせる。牽制はそれほど鋭いものではないが、時折クイックモーションを織り交ぜたり投球タイミングを変えたりする投球術はあり、走者を意識した工夫が見られる。一方、フィールディングは平均的だ。 投球のまとめ まだ小気味の良いマウンドさばきから、打者の内角クロスをめがけて勢いを込めて投げ込んでくるだけといった感じで、投球の浅さも感じられ、レベルの高い相手になると決め手の不足を露呈しそうだ。被安打の多さは使える球種の少なさが影響している可能性が高く、四死球の多さからも制球力のアバウトさが課題となる。 (投球フォーム) セットポジションから、足を勢いよく高くまで引き上げる。フォーム序盤からエネルギーを捻出する高い動作は、リリーフタイプに多く見られる力投派のそれだ。それでも、軸足一本で立った時に膝から上がピンと伸び切ることなく余裕があり、バランスを保って立っていた。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 お尻の三塁側(左投手の場合)に多少甘さは残るものの、体を捻り出すスペースは適度に確保されている。そういった意味では、カーブやフォークといったひねり出して投げる球種も投げられるだろう。 ただし、「着地」までの地面の捉えはまだ平均的で、体を捻り出す時間は並みだ。そういった意味では、現状は大きな曲がりの変化球よりも、球速のある小さな変化が中心に投球の幅を広げていくことになりそうだ。 <ボールの支配> ☆☆☆ 3.0 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を抑え込めている。そのため軸はブレにくく、両サイドへのコントロールは安定しやすい。ただし、腕がやや外旋してブンと振ってくるタイプなので、その点で制球が狂いやすい。 足の甲での地面への捉えが浅く、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。「球持ち」も悪くなさそうで、コントロールミスは横よりも高さの問題が大きいそうだ。 <故障リスク> ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としは悪くはないので、カーブやフォークを投げても、そこまで負担になっているとは思えない。また、そういった球種も多くは投げていないようだ。 また、腕の送り出しを見ても、角度は感じられるものの無理な感じはしない。少々腕を外旋して振られることでの肩への負担や、力投派のフォームゆえに疲労は溜めやすい恐れがある。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りは平凡だが、ボールの出どころは隠せている。腕も振れているので、打者としては吊られやすい勢いがある。そのため、投球回数以上の三振が奪える要因になっている。 体重をまだグッと乗せてからリリースできていると感じるわけではないので、この辺りがもう少し我慢できるようになると、打者の手元まで強さも増してきそうだ。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「着地」と「体重移動」にまだ改善の余地を感じる。制球を司る動作は、ややモーションに無駄があり、それが乱れる要因かもしれない。故障のリスクはそこまで高くないので、投げ込みも可能で新しい技術も習得していける可能性を感じる。頼れる変化球がスライダーぐらいなので、使える球種を増やせるかどうかが鍵となる。 (最後に) 現状は、勢いに乗じて相手を打ち取ってくるリリーフタイプの色彩が強い。逆に、投球の浅さも感じられるので、その辺をいかに広げていけるかではないだろうか。指名としては、下位~育成ぐらいだと思うが、上手くプロでも成長を続けていければ、リリーフで貴重な存在になりうるかもしれない。そういった意味では、高校からのプロ入りも十分ありだと評価する。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年夏 鹿児島大会) |