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林 龍之介(嬉野3年) 投手 188/81 右/右 | |
この夏に見た高校生の中でも、なかなか好印象だったのが、林 龍之介。プロ志望届も提出し、高校からのプロ入りも現実味を帯びてきた。 投球内容 188センチの長身から、少し担いだようなフォームで投げ込んできます。3年夏の大会では、8回1/3を投げ、4安打、9四死球、15三振、防御率1.08という成績で最後の夏を終えました。 ストレート ☆☆☆ 3.0 130キロ台後半~147キロ普段は140キロ前後だが、要所では力を込めて140キロ台中盤のストレートを投げ込んできます。試合では9四死球を出していますが、普段は内外角にしっかり集められる制球力があり、決して制球が粗いタイプには見えません。適度な勢いや球威もあり、高校からプロに指名されるだけのボールの威力を持っています。 横変化 スライダー ☆☆☆ 3.0 ストレート中心の配球のため、時折投げるスライダーが良いアクセントになっています。曲がりはまずまずだが、ボールの変化よりもコマンドの精度に課題があり、決まらないときがあります。この球が安定して決まるようになれば、さらに良いピッチングができるのではないでしょうか。 縦変化 ワンシーム 不明 ツーシームならぬワンシームというボールを投げているらしいのですが、試合では縦の変化球を確認できませんでした。 緩急 カーブ ☆☆★ 2.5 緩いカーブを時折使ってきます。スライダー同様、ブレーキ自体は悪くないものの、精度に課題があり、抜けてしまうことがあります。 その他 ☆☆☆ 3.0 クイックは1.0秒前後と高速で、走者への目配せも十分です。フィールディングの動きも悪くなく、普段は細かい駆け引きはあまり見られませんが、両サイドに丁寧に投げ分ける制球力や投球術は持ち合わせています。 一塁への送球ミスが若干気になりましたが、身体が大きいにもかかわらず動きが緩慢なタイプには見えませんでした。 投球のまとめ まだ恵まれた体格から基準を満たすボールを投げ込める段階ですが、四死球の多さほど制球力が悪いとは感じません。変化球の精度には課題があるものの、キレ自体は悪くありません。素材としての伸び代も十分に残しており、許容範囲の土台に魅力的な素材感が加わっている点で、高校からのプロ入りも期待できそうな選手です。 投球フォーム 今度は、フォームの観点から将来性を考えてみたい。ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さがあるフォームで、比較的最初からエネルギーを発揮する、リリーフタイプによく見られる始動です。軸足一本で立った際、膝から上がピンと伸び切らずに立てているため、力みはあまり感じられません。 広がる可能性 ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足が地面に向かって伸ばしがちなため、お尻の一塁側への落としにやや甘さが残ります。それでも、カーブやフォークを投げるのに無理があるほどではなく、大きな問題にはならなそうです。 むしろ「着地」までの粘りが不足しており、体を捻り出す時間が十分に確保できていません。そのため、現時点では大きく曲がる変化球よりも、球速のある小さな変化でピッチングの幅を広げていくことになりそうです。 ボールの支配 ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑えています。そのため軸がブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすいようです。実際の投球でも、両サイドへのコントロールは良好でした。 足の甲で地面を捉える力がやや浅いため、浮き上がろうとする力を十分に抑えられていません。そのため、力を入れて投げるとボールが高めに集まりやすい傾向がありますが、抜けるような球や全体的に高めの球筋にはなっていませんでした。これは「球持ち」が良く、ボールをしっかり押し込めていたからかもしれません。体が成熟してくれば、制球の問題は改善されそうなフォームです。 故障のリスク ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としに甘さは残るものの、現状ではカーブやフォークの使用頻度も少ないです。そのため、肘などへの負担も限定的と言えるでしょう。また、腕の送り出しを見ても、肩への負担は大きくないようです。力投派というよりは適度な力感で投げるタイプなので、疲労もそれほど溜まりにくいと考えられます。故障リスクは低く、投げ込みを通じて次の段階に進むことができそうです。 実戦的な術 ☆☆★ 2.5 「着地」までの粘りが平凡で、「開き」が早く、ボールが見られやすいのが気になります。この点を改善できるかどうかが、大きな鍵となるでしょう。腕は適度に振れており、投げ終わった後に体に絡んできますが、「開き」を抑えられていないため、打者にとってタイミングを合わせにくいボールになりにくいのが惜しいところです。 ボールには適度に体重を乗せてリリースできているように見えますが、「担ぎ投げ」のフォームの影響か、前にグッと体重が乗ってこない印象です。この体重移動が改善されれば、打者の手元までボールの強さや勢いが増しそうです。 フォームのまとめ フォームの4大動作(「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」)で見ると、「球持ち」以外の部分で課題が残ります。制球を司る動作は、体が成熟するにつれて改善されそうです。故障リスクも低く、投げ込みを通じて新しい技術を吸収していけそうです。「着地」までの時間を稼ぐことができれば、変化球の曲がりを大きくする可能性があり、投球の幅を広げることが期待できます。課題は多いものの、将来的に欠点を改善していける可能性を感じさせるフォームです。 最後に 大型な体格ながら、適度なボールの威力、恵まれた体格、土台となるフォームから、素直に成長していける素材だと判断します。気になるのは、「開き」の改善と、しっかり前に体重を移動できるフォームを構築できるかどうかです。 ドラフトでは下位指名~育成枠あたりでの指名が予想されますが、個人的には高校からのプロ入りもありだと考えます。プロ入り後に、大きく化ける可能性を秘めた素材だと期待しています。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年夏 佐賀大会) |