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佐藤 龍月(健大高崎3年)投手 173/77 左/左 
 




 「手術明けの内容をどう見るべきなのか?」





 トミー・ジョン手術から1年足らずで実戦復帰を果たした 佐藤 龍月。復帰後の登板は、現時点の実力かさらなる成長の途中段階かと見方で評価が分かれそうだ 群馬大会2試合と甲子園1試合の登板を基に、投球内容やフォームセイバーメトリクスの観点から分析し、今後の可能性を探る。


投球内容

登板成績


項目
内容
投球回
5回1/3
被安打
3
四死球
4
三振
4
自責点
2
防御率
3.38
対左打者被打率
.133
対右打者被打率
.227
K/9(9回あたり三振)
6.75
BB/9(9回あたり四死球)
6.75
FIP
4.00

セイバーメトリクス的視点

 FIP(Fielding Independent Pitching) 三振(K/9=6.75)四死球(BB/9=6.75)被本塁打(0)からFIPは約4.00 防御率(3.38)より高く
運に助けられた可能性を示唆 守備や打球の質に依存しない投手自身の責任を測るFIPは安定感の指標として今後注視が必要

 対左右打者成績 対左打者被打率.133対右打者.227 左右差が顕著で左打者への低BABIP(打球がヒットになる確率推定.133)はスリークォーターの球筋と重いストレートの効果を反映

ストレート
☆☆☆(3.0) 球速130キロ台後半~142キロ(群馬大会147キロ甲子園142キロ止まり)

特徴 手術前は切れ味鋭い球質だったが復帰後は
ズシッと重い球威型に変化 左スリークォーターの独特な球筋で左打者に強い(被打率.133)

課題
制球が不安定(BB/9=6.75) 手術前から四死球は投球回数の半分程度ありゾーン内投球率が課題。

横変化(カットボール ツーシーム)
☆☆★(2.5)

カットボール 130キロ台中盤で小さく横に変化

ツーシーム 130キロ前後で右打者外角に逃げる

特徴 空振りを誘うより芯を外す役割 右打者への被打率.227はこの球種の微妙な変化が効いている可能性。

縦変化(スライダー)
☆☆☆★(3.5)球速 120キロ台後半

特徴 横変化量が多めで少し沈む軌道、空振りを誘える軸球種でK/9(6.75)に貢献。スリークォーターのフォームを活かし
左打者への有効性が高い

緩急(カーブ)
☆☆☆(3.0)球速 110キロ台

特徴 縦変化が大きく緩急を生む スライダーとの使い分けの可能性も。セイバーメトリクス的には緩急による打者のタイミング崩し(Pitching Sequenceの多様性)が強み。

その他
☆☆☆(3.0)

 クイックタイム1.2秒台後半~1.3秒台と遅め 牽制は鋭くないがフィールディングはまずまず。背番号7で出場し打撃能力も悪くない。そのためWAR(Wins Above Replacement)的には投打両面での貢献が期待できる。

投球スタイル 繊細なコントロールはないが、時々クイックモーションから投げ込んだりとフォームに緩急をつけている。
経験と落ち着きで投げるタイプ

(投球のまとめ)

 佐藤の制球(BB/9=6.75)は手術後の調整不足より元々のアバウトさが影響。ストレートは140キロ台後半への成長余地があり球威型への変化はゴロ誘発率(GB%)向上に繋がる可能性。スライダーを軸にカットボールやツーシームで芯を外し威力で抑えるスタイルが確立しつつある。K/9(6.75)はまずまずだがBB/9の高さが課題 ゾーン内投球率や変化球のSpin Rateを高めればK/BB比率の改善が見込める






投球フォーム

 セットポジションから足をゆっくり高く上げ、軸足で立つ際は膝がやや伸びるがバランスは適度 自分の「間」を重視する
先発型投手らしいフォーム。フォームの4大動作(着地・球持ち・開き・体重移動)を中心に分析

広がる可能性
☆☆☆★(3.5)

 足の引き上げ高くピンと伸ばし、二塁側に送り込むことでバランス確保 捻り出しのスペースに甘さはあるがカーブやフォークの習得は可能。セイバーメトリクス的には、大きく変化する球を増やせればWhiff%(空振り率)の向上が期待できる。

 着地 地面の捉えは平均的 体を捻り出す時間も標準で大きく変化する球より球速を活かした小さめの変化が中心。今後、着地時間を延ばせればK/9の上昇も見込める。

ボールの支配
☆☆☆(3.0)

 グラブの抱え込み 内側にしっかり抱えられていないが軸のブレは少なく左右の制球は安定。 しかし足の甲での地面の捉えが浅く浮き上がる力を抑えきれず縦の制球
(高さ)に課題 BB/9の高さ(6.75)はゾーン内投球率の低さが影響か?

故障のリスク
☆☆☆★(3.5)

 お尻の落とし 適度で窮屈感が少なく肘への負担は小さい ただしトミー・ジョン手術の影響は考慮が必要 。腕の送り出しも肩への負担は少なく、復帰直後の力のセーブが疲労蓄積を抑制。投球数管理(Pitch Count)が今後の鍵。

実戦的な術
☆☆☆(3.0)

利点 スリークォーター気味のフォームでボールの出どころが隠れ
左打者への恐怖感(外角スライダーの遠さ)が強み 対左打者の低BABIP(.133)がこの効果を反映

課題 腕の振り終わりが体に絡まず、勢いで打者を圧倒しにくい。体重移動が不十分で、地面の蹴り上げが弱い
エネルギー伝達の効率化(Velocity from Release Point)が改善点

(フォームのまとめ)

 フォームの「着地」と「体重移動」に改善余地があり、縦の制球(高さ)が不安定 故障リスクは低めで体の負担は現状少ない 着地までの時間を稼げれば、大きく変化する球の習得も可能でWhiff%向上に繋がる。左打者に強いフォームは、対左BABIPの低さに反映されており、対右打者への有効性も高まる可能性がある



(最後に)

 復帰直後のため発展途上だが、ストレートの球速向上(147キロ再現)と変化球の多様性が期待できる。制球力(Zone%とBB/9)の改善が鍵で、縦の変化球の精度向上がK/9とFIPの改善に直結。「左打者に強い左投手」としての個性は明確で、対左打者の低BABIPは大きな武器。ドラフトでは下位~育成での指名が現実的だが、高校からのプロ入りも十分視野に入る


蔵の評価
(下位指名級)


(2025年夏 甲子園)