25kp-23
吉川 陽大(仙台育英3年)投手 175/73 左/左 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
吉川 陽大 の最大の魅力は、上半身と腕を力強く振れる点だ。父は元日本女子バレーボール監督と「世界一のリベロ」と称された母であり、アスリート家系に育った彼の投球術とメンタルは注目に値する。 (投球内容) この夏の宮城大会と甲子園での2試合(34回2/3イニング)の成績は以下の通り
WHIP = (被安打20 + 四死球8) ÷ 34.2回 = 0.81。 K/9 = (46奪三振 ÷ 34.2回) × 9 = 11.94。 BB/9 = (8四死球 ÷ 34.2回) × 9 = 2.08。 FIPは簡易推定で、被本塁打0、奪三振、四死球を基に算出。) (分析) WHIP 0.81は高校レベルで非常に優秀で、走者を許さない投球を裏付ける。K/9 11.94は高い奪三振能力を示し、特にスライダーの効果が伺える。BB/9 2.08は制球力の安定性を示す。失点3(防御率約0.78)は、守備の影響もあるが、FIP 2.15と比較しても実力で抑えていることが分かる。 ストレート 130キロ台後半~144キロ ☆☆☆ 3.0 常時140キロ前後のストレートは、手元で鋭く切れるタイプではないが、両サイドに散らし打たせて取る。横のコントロールは投げミスが少なく、高低のバラツキが課題。 横変化(スライダー) ☆☆☆ 3.0 横の変化量の多いスライダーを多用し、カウントを整え空振りを誘う。甲子園での対戦では、適度に縦にも沈み効果的。甘い球もあるが、K/9の高さに貢献。 縦変化(チェンジアップ) ☆☆ 2.0 110キロ台のチェンジアップは右打者外角に逃げるもカーブのような軌道。現状、制球力とキレは発展途上で、空振り率は低め。精度が向上すれば、投球の幅が広がる。 緩急 ☆☆ 2.0 チェンジアップが決まれば、120キロ台後半のスライダーと140キロ前後のストレートで3段階の球速変化を生む。カット系の球もあるが、甲子園では明確な効果を確認できず。 その他 ☆☆☆☆ 4.0 ボールそのものより活かし方が秀逸。走者を背負ってもランナーに目配せし、ボールを長く持ったり投げるタイミングを変化させて翻弄。冷静な投球術と精神的余裕は、セイバーメトリクスでは測れない「試合を支配する力」を示す。 投球のまとめ 特別に際立つ球ではないが、WHIP 0.81とK/9 11.94が示すように、試合を構築する能力が高い。走者を背負ってからの工夫が、進塁を抑える要因。淡々と投げているように見えるが、深く計算された投球で相手に的を絞らせない。 (投球フォーム) セットポジションからゆったりとした入りで、オーソドックスな正統派左腕。自分の「間」を重視する先発タイプ。軸足はピンと伸びるが、力みなくバランスを保つ。
フォームのまとめ フォームの4大動作(着地、球持ち、開き、体重移動)では、着地の粘りと体重移動の効率が課題。足の甲の捉えが浮きがちで高めに抜けやすいが、実際の投球では少ない。故障リスクは力投派でないため抑えられる。大きく変化する球の習得は難しいが、球速のある小さな変化でバットの芯をズラす投球が期待される 最後に 現状、ボールに絶対的な威力はないが、WHIP 0.81、K/9 11.94が示すように、冷静な投球術で能力を最大限に発揮。プロレベルの球質には達していないが、体作りとチェンジアップの精度向上が鍵。総合力を高めれば、投球術とセンスを活かし、プロでも先発として活躍可能。ドラフトでは5位以降~育成あたりが予想されるが、このぐらいの順位で獲得できるのであれば、オススメの選手としてあげたい。 蔵の評価:☆ (下位指名級) (2025年夏 甲子園) |