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中西 浩平(豊川3年)投手 182/84 右/右 | |
春季東海大会から全国トップクラスの爆発力を見せていた 中西 浩平。打たれ始めると単調になる傾向があり、投球の底の浅さが課題だったが、最後の夏には冷静な投球で成長を示した。 投球内容 3年夏の愛知大会では5回戦まで進出。9回2/3イニングで5安打、2四死球、11奪三振、防御率0.93を記録。先発は敗れた享栄高校戦のみだった。 セイバーメトリクス指標では、WHIP(1イニング当たりの走者許容数)は0.72と優秀で、K/9(9イニング当たりの奪三振)は10.24、BB/9(9イニング当たりの四死球)は1.86と、制球力と三振奪取能力の高さが際立つ。FIP(守備に依存しない防御率)は、与えた安打が少なく本塁打がないため、1.00前後と推定され、防御率以上の安定感を示唆する。 ストレート ☆☆☆☆ 4.0 常時145キロ前後~最速150キロ超。 ミットに突き刺さるボールの勢いと球速は高校生トップクラス。両サイドに散らすコントロールを持ち、やや高めに抜ける球は夏も見られたが、9回2/3イニングで2四死球と制球難による自滅リスクは低下。ボールの威力の割に捉えられやすいのは、開きが早く見やすいためだが、夏は威力が増し、被安打率(H/9=4.66)が低かったことがそれを裏付ける。 横変化:スライダー ☆☆☆ 3.0 空振りを誘う威力はないが、手元で小さく横に変化し、カウントを整えるのに有効。ストレートとの球速差で打者をタイミングをずらす役割を果たす。 縦変化:チェンジアップ ☆☆★ 2.5 主に左打者に対して使用し、カウントを整える。スライダーほどの精度やキレはなく、発展途上。低めに投げても見極められることが多い。 緩急:カーブ ? 緩いカーブを投げることもあるとされるが、観戦した試合では確認できず。余裕のある場面以外では使用頻度が低いようだ。 その他 ☆☆☆★ 3.5 クイックは1.05秒前後と水準以上で、牽制も鋭い。春には余裕がなくなると単調になり打ち込まれる場面があったが、夏には投げ急ぐ傾向が減り、精神的な成長とともに落ち着いたマウンドさばきを見せた。 投球フォーム セットポジションからゆったりと高い位置まで足を引き上げる。このゆったり感が投球に奥行きを生む要因か。軸足一本で立つ際、膝に余裕は少ないが、バランスを保つ。 広がる可能性 ☆☆★ 2.5 引き上げた足を伸ばさず体重を落とすため、お尻がバッテリーライン上に落ち、体を捻り出すスペースが不足。カーブやフォークなど捻りが必要な球種には不向き。「着地」までの地面の捉え方は平均的で、捻り出す時間も標準程度。大きく曲がる変化球より、球速のある小さな変化を中心に投球を構築する可能性が高い。 ボールの支配 ☆☆☆ 3.0 グラブを内に抱え、軸がブレにくいため、両サイドへのコントロールはつけやすい。BB/9の低さがこれを反映。足の甲での地面の捉え方が浅く、浮き上がる力を抑えきれず、力を入れるとボールが上吊りやすい。「球持ち」は平均的で、ボールを強く押し込むまでには至っていない。 故障のリスク ☆☆☆ 3.0 お尻を落とせていないが、カーブやフォークを投げないためフォームが窮屈になりにくい。肘や肩への負担は少なく、春よりも力みが減ったことで疲労蓄積リスクも低下。 実戦的な術 ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころがやや早いため、打者にとって球速ほどの脅威を感じにくい。腕の振りは強く打者を吊りやすいが、「開き」が早く効果は限定的。投げ終わり後に一塁側に流れ、エネルギーを一部ロス。 投球のまとめ 春以上にボールの勢いが増し、WHIPやK/9からわかるように制球力と三振奪取能力が向上。マウンドでの落ち着きも印象的で、初回にストレートを狙われ失点した試合でも、次の対戦では変化球から入る慎重さを見せた。春に見られた投球の底の浅さは薄れ、奥行きが感じられるようになった。 フォームの4大動作(「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」)はいずれも改善の余地があり、故障リスクと制球を司る動作は標準的。将来的に、武器となる変化球の習得が鍵となるが、可もなく不可もないフォームで大きな欠点はない。 最後に 爆発力のある投球は、高校生の中で全国トップクラス。課題は残るが、夏には長所が際立ち、精神面での成長も顕著だった。短期間での変化は評価でき、K/9やBB/9の数値からも実戦力の高さがうかがえる。現状、ドラフト会議では4位以降の評価に落ち着きそうだが、力のある投手を求める球団にとって魅力的な存在。数少ない本会議でのドラフト指名を意識できる高校生右腕といえる。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年夏 愛知大会) |
中西 浩平(豊川3年)投手 182/84 右/右 | |
一冬を越えて大きく成長した東海地区の右腕・中西 浩平 。昨夏の甲子園では最速138キロだった球速が、今春には148キロを記録し、注目度が急上昇している。春季東海大会の投球内容と成績を基に、強みと課題を分析し、ドラフト候補としての可能性を探る。 投球内容 ストレート 140キロ~最速148キロ 評価:3.5/5 セットポジションから斜め下(スリークォーター)のフォームで投げ込む速球派。立ち上がりから140キロ台中盤のストレートが捕手のミットに鋭く突き刺さり、その勢いは高校野球界でも上位クラスだ。しかし、制球はやや大まかで、球が高めに抜ける傾向がある。速球の威力に反して打者に捉えられやすく、失点につながる場面も目立つ。空振りを量産するより、内外角を突いて打者を詰まらせ、打ち取るケースが多い。 変化球 スライダー・チェンジアップ(またはフォーク) 評価:3.0/5 主に横に滑るスライダーと、縦に落ちるチェンジアップ(またはフォーク)を駆使する。縦の変化球は使用頻度が高いが、空振りを誘うキレに欠ける。ストレートの分かりやすさも相まって、打者に見極められやすい印象だ。カウントを稼ぐには有効だが、決め球としての絶対的な球種はまだない。 その他の特徴 投球動作は約1.05秒と素早く、牽制も鋭い。一方で、投球タイミングが単調なため、強打者に狙われやすい場面がある。この単調さが、失点を招く一因となっている。 成績分析 春季大会の成績は、23回1/3を投げ、17安打、16四死球、19奪三振、防御率2.70。プロスカウトが高校生投手を評価する一般的な指標(被安打率70%以下、四死球率33.3%以下、1イニングあたり奪三振0.8個以上、防御率1点台)を基に、以下の通り分析する。 被安打率:72.9%(基準:70%以下) △ 基準をわずかに超え、強豪相手では単調な投球やフォームの分かりやすさが響き、打ち返されるリスクが高い。同大会の平均被安打率(約68%)と比べてもやや高めだ。 四死球率:68.6%(基準:33.3%以下) ✕ 四死球率は高いが、桐陽高校戦(5回1四死球)では安定感を見せた。制球の大まかさは課題だが、自滅する印象は薄く、日によるバラつきがある。大会全体の平均四死球率(約30%)と比べ、改善の余地がある。 1イニングあたり奪三振:0.81個(基準:0.8個以上) ◯ 基準をわずかにクリア。速球や変化球の空振り誘発力は物足りないが、詰まらせて打ち取る能力で基準を達成。全国の強豪投手の平均(約0.9個)に比べると、やや見劣りする。 防御率:2.70(基準:1点台) ✕ 桐陽戦での5回5失点が響き、平凡な数字に。大会全体の平均防御率(約2.50)に比べてもエース級の1点台には届かず、投球内容の課題が反映されている。 総合評価 中西の最大の強みは、140キロ台後半のストレートの勢いだ。高校野球界でも上位の球威を持ち、牽制や投球動作の素早さも光る。一方で、単調な投球パターンや制球の大まかさ、決め球の不足が課題。成績面では、奪三振率が基準を満たすものの、被安打率や四死球率、防御率は強豪相手での苦戦を示唆する。現状、ボールの勢いに投球内容が追いついていない印象だ。 将来性と課題 課題克服の鍵は、フォームの改良と投球パターンの多様化にある。単調さを解消し、変化球のキレを向上させれば、強豪を抑える実戦派としての成長が期待できる。また、球速がさらに5~10キロ伸びれば、現在のスタイルでもプロの舞台で通用する可能性が高まる。夏の大会では、制球の安定感や決め球の進化を確認したい。 現時点でのドラフト評価は本会議の当落線上(下位指名級)。育成枠なら十分可能性があり、夏の活躍次第ではさらなる評価を固められるだろう。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年 春季東海大会) |