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長崎 蓮汰(滋賀学園3年)投手 186/82 右/右 





 「宮城より良いよね」





 高校の先輩である 宮城滝太(DeNA)の高校時代を上回る能力を持っていると評価できる 長崎 蓮汰。しかし、最後の夏は滋賀大会決勝で敗れ、春・夏連続の甲子園出場は叶わなかった。それでも、素材の良さと将来性を示す投球内容で注目を集めた。


投球内容

 
オーソドックスな右の本格派投手。2025年夏の滋賀大会では4試合に登板し、13回1/3を投げ、10安打、6四死球、6三振、防御率2.03 を記録。WHIP(1イニングあたりの安打+四死球)は1.20と安定していたが、K/9(9回あたりの奪三振率)は4.05とやや低めで、奪三振力には課題が残る。BB/9(9回あたりの与四球率)は4.05で、制球力も改善の余地がある。特に決勝戦の綾羽戦では1回1/3で5失点を喫し、試合を決定づける苦しい投球となった。一方、比叡山戦では5回無四球の好投を見せ、この夏のベストピッチングを披露した。

ストレート(130キロ台後半~144キロ、
☆☆☆ 3.0

 やや肘が下がったフォームから投じるストレートは、
球速以上に力と質を感じさせる。両サイドに散らすピッチングで、比叡山戦では制球が安定。ただし、セットポジションでやや制球を乱す傾向がある。

横変化 スライダー(
☆☆☆★ 3.5

 
ブレーキの効いたスライダーは初見で打ちにくい球質。ストレート主体の投球の中で、効果的に機能した。

縦変化 チェンジアップ(
☆☆ 2.0

 沈む球を持つが、投球における役割は小さい。対左打者の被打率.314(対右打者.264)から、左打者への有効な変化球が不足している可能性がある。

緩急 カーブ(
☆☆☆ 3.0

 選抜では緩いカーブを多投し、緩急とストライクカウントを稼ぐ役割を果たした。

その他(
☆☆☆★ 3.5

 クイックは1.1~1.3秒と幅広く、牽制は鋭い。フィールディングも良好だが、投球タイミングやコースの微妙な出し入れは発展途上。

 セイバーメトリクス補足FIP(Fielding Independent Pitching):約3.80(仮算。6三振、6四死球、0本塁打、13.1回を基に計算)。防御率(2.03)より高いFIPは、守備や運に助けられた可能性を示唆。奪三振率の低さが影響。

 K/BB(奪三振/与四球比):1.00。プロレベルでは2.0以上が望ましいため、
制球力と奪三振力の向上が課題


投球フォーム

 セットポジションから足を引き上げる勢いと高さが良く、リリーフ向きのエネルギッシュなフォーム。軸足で力まずに立て、Y字のバランスを保つ。以下の要素を評価する。

広がる可能性(
☆☆☆★ 3.5

 高い位置で足を伸ばし、臀部を一塁側に落とす動作が良好。カーブやフォークの習得に適しており、「着地」までの粘りから曲がりの大きな変化球の可能性も。

ボールの支配(
☆☆☆★ 3.5

 グラブを内に抱え、軸がブレにくいため両サイドへのコントロールがつけやすい。ただし、足の甲の接地が浅く、力投時にボールが浮き上がりやすい。「球持ち」は良好で、指先に力も伝わるが、頭と腕の離れが制球の乱れを招く可能性。

故障のリスク(
☆☆☆☆ 4.0

 臀部の落としが良く、肩への負担も少ない。力投派でないため、疲労蓄積のリスクも低い。

実戦的な術(
☆☆☆ 3.0

 「着地」の粘りは良いが、
体が早く開くためボールが見えやすい。体重移動が不十分で、打者手元までの球威は向上の余地がある。

フォームのまとめ

 フォームの4大動作(「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」)のうち、
「開き」と「体重移動」に課題。故障リスクは低く、制球や変化球の基盤も整っているが、春から夏にかけて技術的な進化は限定的だった。


最後に

 長崎蓮汰は、素材の良さが光る右の本格派投手。ストレートの質や変化球の基盤、故障リスクの低さは魅力だが、K/9やK/BBの低さから、プロレベルでの奪三振力と制球力の向上が必要。フォームに大きな癖がなく、成長の余地は大きい。春から夏での進化が少なかった点は残念だが、ドラフトでは下位指名~育成指名が予想される。個人的には、素直に成長できそうな素材を評価し、
(支配下級)とする。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年夏 滋賀大会)






長崎 蓮汰(滋賀学園3年)投手 187/82 右/右 





 「プロ志望なら指名されるのでは?」





投球内容

 選抜大会では、浦和実業戦に先発し、
6回1/3を投げ、5安打、3四死球、3三振、防御率4.28 を記録した。一方、新チーム結成以降の15試合では、72回2/3を投げ、48安打、19四死球、45三振、防御率1.24 と安定した成績を残している。

ストレート 常時140キロ前後 
☆☆☆ 3.0

 球速は常時140キロ前後で、ドラフト候補の
右投手としてはやや物足りない印象。しかし、ズシッとした球質で球速以上の力強さがあり、両サイドにボールを散らす制球力は評価できる。気になる点としては、やや体の開きが早く、打者にタイミングを合わせられやすい傾向があることか。

変化球 スライダー・カーブ・チェンジアップなど 
☆☆☆ 3.0

 小さく横滑りするスライダーでカウントを整え、緩い
カーブを多めに織り交ぜてアクセントとしている。また、チェンジアップなど沈む球も投げるが、現時点ではその精度や威力は発展途上といったところ。この球をさらに磨ければ、左打者への対応もより楽になりそうだ。

その他

 牽制はタイミングがうまく、フィールディングも大型選手としては悪くない。クイックモーションは1.05~1.1秒程度で基準以上。微妙なコースの出し入れや「間」を活かした投球術はまだ見られないが、走者を背負っても落ち着いて投球できている。
投球のまとめ

 現時点で絶対的な決め球はないものの、総合力は一定のレベルに達しており、今後フィジカル面での成長が進めば全体の投球レベルがさらに引き上げられそうな印象を与える。プロ入り後に突出した特徴を獲得できるかは未知数だが、将来像を描きやすいタイプの投手と言えるだろう。





投球フォーム

 セットポジションから足を引き上げる勢いや高さは控えめで、静かな入りを見せる。そのため、
本質的には先発タイプの投手と言えるだろう。軸足の膝に過度な力みはなく、バランスは平均的な立ち方となっている。

広がる可能性 ☆☆☆★ 3.5

 お尻を一塁側に落とし、体を捻り出すスペースを確保できている。この点から、カーブやフォークなど捻り出して投げる球種に適したフォームと言える。

 ただし、着地までの地面の捉え方は平均的で、体を捻り出す時間は標準程度。もう少し時間を稼げるようになれば、質の高いカーブやフォークを習得できる可能性がありそうだ。

ボールの支配 
☆☆☆ 3.0

 グラブを最後まで内に抱え、遠心力を抑えることができているため、体の軸がブレにくく、両サイドへのコントロールは比較的安定している。特に
右打者に対しては安定感があるが、左打者への制球力をさらに磨く必要がある。

 足の甲で地面を捉える力がまだ浅く、浮き上がる力を十分に抑えきれていないため、ボールが高めに抜けやすい傾向がある。球持ち自体は悪くないが、腕が体からやや離れて振られる傾向があり、これが制球の乱れの一因かもしれない。

故障のリスク 
☆☆☆☆ 4.0

 お尻を落とせているため、カーブやフォークを投げてもフォームが窮屈になることは少ない。カーブを多用しているが、現状のフォームでは肘への負担は軽減されていると見られる。

 腕の送り出しも肩に大きな負担をかけるものではなく、力投派ではないため疲労も溜まりにくい。ただし、腕がやや凱旋気味に振られる動作は、わずかに負担を生む可能性がある。

実戦的な術 
☆☆ 2.0

 着地までの粘りが平凡で、
ボールの出どころが見えやすいため、打者に捉えられやすいリスクがある。腕の振りもやや弱く、打者を惑わすほどの勢いがないため、三振を奪うのが難しい。また、体重移動が不十分で、フィニッシュ時の地面の蹴り上げにも力強さが欠ける。そのため、フォーム全体に躍動感が感じられない。

フォームのまとめ

 フォームの4大動作(着地、球持ち、開き、体重移動)のうち、「球持ち」は悪くないものの、
「開き」と「体重移動」に改善の余地がある。制球に関しては、足の甲の地面への押し付けが浅いため高めに抜けやすい点が課題。故障のリスクは低く、今後武器となる変化球を習得する可能性を秘めている。ただし、現時点では実戦的なレベルには達していない。


最後に

 A級の素材とは言えないが、順調に成長を重ねれば素直に伸びる可能性を感じさせる。恵まれた体格を活かし、高校からのプロ入りも十分に考えられる。あとは、
自身の強みをどのように確立していくかが鍵となるだろう。先輩の 宮城 竜太(DeNA)の高校時代と比べても、ワンランク上の存在という印象を受けた。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2025年 選抜大会)