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行梅 直哉(高松商3年)投手 183/91 右/右 





 「育成ならばあるかもしれない」





 恵まれた体格を活かし、センバツの舞台で能力の一端を見せた 行梅 直哉 。素材としての魅力があり、プロ志望届を提出すれば、育成枠での指名も期待される。


投球内容

 センバツでは早稲田実業戦にリリーフ登板。
4回1/3を投げ、3安打、3四死球、4三振、防御率2.01 を記録した。

ストレート(常時130キロ台後半~最速145キロ)
☆☆☆ 3.0

 
適度に球威のあるストレートを投げ込み、左右に散らす投球を見せた。ただし、軽いシュート回転によりボールが中に入る傾向があり、打者にとって見やすいのか、甘くない球でも打ち返される場面があった。

変化球(スライダー、ツーシーム、スプリットなど)
☆☆☆ 3.0

 小さく横に滑るスライダーでカウントを整え、チェンジアップのようなツーシームや、縦に鋭く落ちるスプリットを投げ込んだ。各変化球のキレは悪くないが、空振りを誘うほどの絶対的な威力はまだない。

その他の技術

 クイックは1.05~1.15秒程度で標準的。牽制やフィールディングも平均的な動きを見せた。ボールの出し入れや間合いの駆け引きは見られなかったが、走者に対して落ち着いて対峙できていた。

(投球の総評)

 現時点では、ボールの威力や変化球に際立った特徴はないものの、体の強さから今後の成長が期待できる素材型投手だ。ただし、即戦力というよりは育成に時間がかかる可能性が高く、大学進学などワンクッション置く選択もありだろう。そのため現状では、育成枠での指名が視野に入るかどうかといったレベルだと評価になる。






投球フォーム

 セットポジションから勢いよく足を高く引き上げる。フォームの導入部からエネルギーが感じられ、リリーフ向きの印象を与える。ただし、足を引き上げる際に軸足の膝が伸びきり、力みが見られる立ち方になっている。このような選手はバランスを保とうと余計な力が入り、制球を乱す場合が多いが、行梅は高く引き上げた足を活かし、適度にバランスよく立っていた。

広がる可能性 ☆☆★ 2.5

 引き上げた足を地面に向かって伸ばし、やや前に倒れ込むように重心を下げる。そのため、お尻がバッテリーライン上に落ち、カーブやフォークなど捻りを必要とする球種には不向きなフォームとなっている。

 「着地」まで足を前に逃がす意識はあるが、体を捻り出す時間は平均的。このため、大きく曲がる変化球より、球速のある小さな変化球を中心に投球の幅を広げることになりそうだ。

ボールの支配
☆☆☆ 3.0

 
グラブを最後まで内に抱え、外に逃げる遠心力を抑えている。これにより軸がブレにくく、両サイドへの制球は安定しやすい。一方、足の甲が地面から離れる点が気になる。これにより浮き上がる力が抑えられず、ボールが高めに抜けやすい傾向がある。それでも前でボールをリリースできており、制球が大きく乱れることはなさそうだ。

故障のリスク 
☆☆☆★ 3.5

 お尻を落とせていないものの、カーブやフォークはほぼ投げず、縦の変化も握りの浅いスプリットに頼っているため、窮屈な動きは少ない。腕の送り出しに無理がなく、肩への負担は小さい。また、力投派ではないため、現状では疲労が溜まりにくいフォームと言える。

実戦的な投球術
☆☆☆ 3.0

 「着地」までの粘りが平均的で、
体の開きがやや早い。そのため、打者にとってタイミングが合わせやすいフォームかもしれない。腕は適度に振れているが、ボールが見やすいため、打者が空振りに誘われにくい可能性がある。球持ちは良く、体重を乗せてリリースできているが、足の甲が地面から離れることで下半身のエネルギー伝達が不十分なのは惜しい。

フォームの総評

 フォームの4大動作(着地、球持ち、開き、体重移動)では、特に
「開き」の早さが課題。制球面では、足の甲が地面を捉えきれず、ボールが高めに浮きやすい点が気になる。一方、故障のリスクが低いのはポジティブな要素だ。今後、武器となる変化球の習得が鍵となりそうだ。


総括

 高いスペックを持つ投手だけに、プロの環境で育てれば大きく成長する可能性がある。ただし、現時点では完成度が低く、育成に時間がかかる素材型。大学進学などワンクッション置いてプロ入りを目指す選択もあるだろう。夏までの成長を見守り、改めて判断して行きたい。


蔵の評価:
追跡級!


(2025年 センバツ大会)