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中村 心大(早稲田実3年)投手 177/83 左/左 | |
もしプロ志望届を提出すれば、本会議での指名が期待されるのが、中村 心大 だ。センバツ大会に出場した選手の中でも、数少ない本会議を意識できる投手だった。 投球内容 センバツでの登板は2試合、13回を投げ、14安打、5四死球、11三振、防御率2.08。特に初戦の高松商戦では、8回1失点の好投を見せた。 ストレート 130キロ台後半~MAX146キロ ☆☆☆ 3.0 球速は常時140キロ前後で、高めに抜けることもあったが、ボールに力があり、立ち上がりから丁寧に投げて試合を壊さなかった。この時期の高校生左腕として、すでに指名圏内を意識できる球質だ。ただし、投球回数を上回る被安打を浴びており、打者にとってフォームが捉えやすい可能性がある。 変化球 スライダー・チェンジアップ・カットなど ☆☆☆ 3.0 小さく横滑りするスライダーを軸に、打者の内角を攻める。他に100キロ台の緩いチェンジアップや130キロ台のカット系も投げるが、変化球はスライダーが中心。三振を狙って奪えるほどの決め球はまだない。 その他 クイックは1.1~1.2秒程度で平均的。鋭い牽制はないが、走者への目配せはできており、左腕ということもあってスタートは切りにくい。投球タイミングの変化や細かな揺さぶりは少ないが、右打者の内角に厳しく投げ込む場面も見られる。 投球のまとめ 細かい投球術はまだ発展途上だが、水準を満たすストレートとマウンドさばきの良さを備える。左腕であることも加味すれば、プロ志望届を提出した場合、本会議での指名が十分に期待できる。 投球フォーム ランナーがいなくてもセットポジションから投げ込み、軸足に体重を乗せず重心を沈み込ませるクイック投法を採用している。 広がる可能性 ☆☆★ 2.5 引き上げた足を伸ばさず重心を落とすため、お尻の三塁側(左投手の場合)の落としが甘くなり、体を捻り出すスペースが不足しがち。これにより、カーブやフォークなど大きく変化する球種の習得は難しいかもしれない。 「着地」までの地面の捉えも淡白で、体を捻り出す時間も十分とは言えない。そのため、曲がりの大きな変化球より、球速のある小さな変化を中心に投球を組み立てるタイプになる可能性が高い。 ボールの支配 ☆☆☆ 3.0 グラブは体の近くに留まり、遠心力が外に逃げるのを抑えているため、軸がブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすい。一方で、足の甲での地面の捉えが浅く、浮き上がる力を抑えられないため、ボールが上吊りやすい。「球持ち」は前で放せているため、制球の破綻は少ないが、全体的にややアバウトな印象。 故障のリスク ☆☆☆★ 3.5 お尻の落としに甘さはあるが、カーブやフォークを多用しないため、肘への負担は少ない。ただし、下級生時に肘痛を経験した時期もあるようだ。腕の送り出しや力投派でない点から、肩への負担や疲労蓄積のリスクは低いと考えられる。 実戦的な術 ☆☆☆ 3.0 「着地」までの粘りが物足りず、打者にとってタイミングが計りにくいフォームではない。ボールの出どころも平均的で、投球回数を超える被安打を浴びた要因の一端かもしれない。 腕は適度に振れているが、開きの速いフォーム故に打者は吊られ難く、その効果は薄い。「球持ち」は良く、体重を乗せてリリースできており、ボールの強さに繋がっている可能性がある。 フォームのまとめ フォームの4大動作(「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」)のうち、「着地」と「開き」に改善の余地がある。足の甲の抑えの浅さから高めに抜けやすい制球力や、武器となる変化球の習得には課題が残る。故障のリスクは低めだが、フォーム的には実戦的とは言えない。 最後に 高校から無理にプロ入りを強く推すほどの完成度は感じられないが、志望届を提出すれば本会議での指名は期待できそうだ。ただし、4年後に上位指名を狙える素材だけに、進学が基本線になるかもしれない。学校の傾向や本人のプロ志向次第だが、夏までのさらなる上積みを見守りたい。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年 センバツ大会) |