25kp-10


 




藤川 敦也(延岡学園2年)投手 183/87 右/右 





 「意外に考えては投げている」





 最速153キロを記録した豪腕候補として注目される 藤川 敦也 。しかし、実はかなり考えて投球している印象を受ける。一体どのような投手なのか、その特徴を詳しく考察してみたい。
投球内容
 セットポジションからゆったりしたモーションで投げ込む、骨太な本格派の投手である。
ストレート 常時145キロ前後~140キロ台後半 ☆☆☆★ 3.5
 適度な勢いと球威を備えたストレートが持ち味で、両サイドに大まかに投げ分けるコントロールも有している。決して、四死球で自滅するような荒々しい投手ではない。現時点では強豪校相手に力で圧倒するほどの威力はないものの、体の強さを活かせば、一冬越えて150キロ前後を連発できる可能性を感じさせる。
変化球 スライダー・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0
 小さく横に滑るスライダーでカウントを整えるスタイルが特徴。また、チェンジアップ系の小さく沈む球を織り交ぜてくる。空振りを誘うほどの大きな変化ではないが、ストレートとの組み合わせで効果的に打者を抑え込んでいる。
その他
 クイックモーションは1.0秒前後と速く、大型選手ながらフィールディングの動きも優れている。牽制は頻繁ではないが、時折素早くマウンドを外す動きを見せる。ランナーを背負った際にはボールを長く持ち、打者や走者を焦らす意識が強い。ただし、その間合いがあまりにも長いと味方の集中力やリズムを損なう可能性があるため、「間」の取り方に工夫が必要と感じられる。
投球のまとめ
 藤川は、単に速い球を投げ込むだけの投手ではない。様々な工夫を凝らして投球している様子がうかがえるが、現時点では実力が十分に追いついておらず、実戦向きの完成度には達していない。力で圧倒する絶対的な要素が不足しているため、中途半端な印象もある。しかし、秘めたポテンシャルは高く、一冬越えて成長を遂げれば、全国でもトップクラスの豪腕へと飛躍する素材であると言えるだろう。






投球フォーム
 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりに感じられる。軸足一本で立った際、膝から上がピンと伸びがちで力みが見られるものの、全体のバランスは適度に保ちながら立てている。
<広がる可能性> ☆☆☆ 3.5
 お尻を一塁側に落とす動作には甘さが残るが、カーブやフォークなど捻り出して投げる球種が全く投げられないほどではない。ただし、そうした球の変化は多少鈍くなる恐れはある。
 「着地」までの地面の捉え方は平均的で、体を捻り出す時間も標準的と言える。そのため、大きな変化を持つ球よりも、球速を活かした小さな変化を中心に投球の幅を広げるタイプかもしれない。
<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0
 グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を抑えている。ただし、腕がやや外旋する傾向があり、それによって軸がブレやすくなっている可能性がある。
 足の甲で地面を捉える力が浮きがちなため、ボールが高めに集まりやすい傾向がある。しかし、ボールは前方でリリースされており、指先の感覚は平均的と言えるだろう。細かい制球力はさておき、大まかなボールのコントロールはできているように見える。
<故障のリスク> ☆☆☆★ 3.5
 お尻の落とし方に甘さはあるものの、カーブやフォークを多用している印象はなく、肘などに過度な負担がかかる窮屈さは感じられない。
 また、腕の送り出しにも無理は見られず、肩への負担もそれほど大きくないと考えられる。普段から力投派というわけではないため、疲労が溜まりやすい印象もなかった。
<実戦的な術> ☆☆☆ 3.0
 「着地」までの粘りは平均的で、ボールの出どころも標準的。特に打者にとって苦になるフォームではないが、特別合わせやすいわけでもない。
 腕は振れているように見えるが、体に絡むような粘っこさはあまり感じられない。ボールに体重をある程度乗せてリリースできているようにも見えるが、足の甲が地面から離れがちだったり、投げ終わりに一塁側へ流れる動きがあったりするため、作り出したエネルギーを指先まで十分に伝えきれていない可能性がある。
フォームのまとめ
 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」において、大きな欠点はないものの、際立って優れている部分もない。この点は伸び代と捉えたい。制球を司る動作では、足の甲での地面の捉えが浮きがちなことや、腕がやや外旋気味に振られていることが制球を乱す要因となっている可能性がある。故障のリスクはそれほど高くなさそうだが、将来的に武器となるほどの変化球を習得できるかは疑問が残る。
最後に
 速球派でありながら制球も大きく崩れることはなく、投球にも考えて投げられている。課題は、ストレート以外に武器となる球種を習得できるか、あるいは圧倒的な球威・球速で相手をねじ伏せる領域に到達できるかだ。最終学年では、全国的にも注目すべき素材と言えるだろう。上手く成長すれば、上位でのプロ入りも期待できる素質を秘めた投手である。


(2024年夏 宮崎大会)