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| 平川 蓮(仙台大4年)中堅 187/91 右/両 (札幌国際情報出身) | |||||||||||||||||||
生でも何度か見たことがある選手だが、正直言ってこれまでピンと来たことがなかった 平川 蓮 。周囲がどれだけ高く評価しようと、私自身は彼に「特別な何か」を感じたことがなく、それはこの秋も変わらなかった。ただし、私の感覚的な印象だけに頼るのではなく、別の視点からも改めて考察してみたいと思う。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 一塁到達タイムは左打席から4.05~4.2秒(基準4.1秒)と、ドラフト候補としては平均的。しかし4年春に7盗塁、秋には10盗塁を記録するなど、次の塁を狙う意欲と「走る勇気」は確かにある。脚力そのもの以上に、走塁センスに優れていると言えるだろう。ただし、プロの舞台で走力でどれだけ目立てるかは現時点では未知数だ。 守備面:☆☆☆ 3.0 打球反応や落下点への入りは時折不安定だが、「守備が下手」というほどではない。守備範囲も狭くない。肩の強さは圧倒的ではないが、プロに混ぜても「中の上~上の下」くらいはありそう。 送球は低く伸びるタイプではなく、高めく遠くに放る傾向がある。フライのキャッチング自体は悪くないが、課題はゴロ処理やクッションボール処理の場面で、細かいミスが目立つ点だ。焦りからか、エラーにはならないまでも「見えないミス」が多い印象を受ける。 打撃内容 両打席でスタンドインできるパンチ力を持つ。それでいて本人は「右打席の方が確実性が高い」「左打席の方が長打が出やすい」と語る通り、左打席は後から作ったものだからか、やや慎重に振っているように見える。自然に振れるのはやはり元々の右打席のようだ。4年秋は本塁打王・打点王・盗塁王の三冠に輝き、特に11試合で打点22は驚異的だった。
セイバー補足(11試合・秋季リーグ) ・OPS(出塁率+長打率:総合的な攻撃力を示す指標) → 1.228(出塁率.489 + 長打率.784) ・IsoP(孤立パワー=長打率-打率:純粋な長打力を示す) → .405 ・wRC+(リーグ・球場補正後の攻撃貢献度) → 推定230前後 ・BB/K(四球÷三振:選球眼とコンタクト能力のバランス) → 2.00 数字で見ても、大学秋の攻撃指標はほぼトップクラスだった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左右どちらの打席でも前足を引いてかかとを浮かせて構える。左打席の方がグリップは平均的な高さ、右打席はやや高め。 背筋を伸ばし、両目でしっかり前を見据える姿勢は悪くない。強打者らしい雰囲気があり、適度に体を揺らして硬くならないよう気をつけている。 <仕掛け> 早め~平均 左打席は「平均的な仕掛け」、右打席は「早めの仕掛け」。左の方がより引きつけてから動き出すため、本人が言う「左の方が長打が出る」という感覚も納得できる。左は中距離・ポイントゲッター型、右はアベレージヒッター型のタイミングだ。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 左打席は足を上げて真っ直ぐ踏み出すが、やや早く着地してしまい、下半身が早く固定されてしまう傾向に。右打席はアウトステップ気味で内角を強く意識し、足を下ろすタイミングにも余裕があるため「間」をしっかり使えている。 左は「点」、右は「線」の打撃という印象だ。共通するのは、踏み込んだ足がブレずに我慢できている点。逃げるボールや低めにも食らいつける強さがある。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 トップは早く作れており、速球に遅れる心配は少ない。バットの出もインサイドアウトというほどではないが、ロスは小さい。角度を強くつけるスイングではないが、体が強いため打球がよく飛ぶ。この「飛距離の出やすさ」にポテンシャルの高さが表れている。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げはあるが、目線のブレは少なく、体の開きも我慢できている。軸足の形も大きく崩れない。強打者らしい内腿の発達が、強烈な打球の源になっている。 打撃のまとめ 左打席は巻き込めた時の爆発力、右打席はボールが見やすく確実性が高い。一方、BB/Kは右打席の方が若干優れており、コンタクト面での安定感も裏付けられている。左右の動作差を見るとその理由がよくわかる。 特に左打席のタイミングの取り方がまだ上手くないため、今後対応力をどこまで伸ばせるかが鍵。苦労が続くようだと、いずれ右打席一本に絞る日が来るかもしれない。 最後に 両打席で本塁打を打てる本格的なスイッチヒッターは、阪急やオリックスで活躍した 松永 浩美 以来かもしれない。ただ、それが「超一流打者」につながるかと聞かれれば、私はまだ半信半疑だ。 むしろ大化けするとしたら、右打席に専念した時かもしれないとも思う。外野から雄叫びを上げてベンチに戻る気迫溢れるプレースタイル。打席に入る前の入念な足固めなどは、春より明らかに上がっていた。ただ、次の打席ではまた元に戻っていたりもする。 瞬間瞬間では爆発力を見せるが、プロの長いシーズンを通して気持ちを維持できるかは未知数だ。それでも春に比べ、盗塁・本塁打・打点すべてで数字を大きく伸ばし、OPSも春の.900台前半から1.200超へ急上昇した点を評価し、総合評価は春よりワンランク上げたい。それでも個人的には、まだ「引っかかる部分」が残る。それゆえプロでレギュラーを掴むまでには、何年か時間が必要なのではないのだろうか。 蔵の最終評価:☆☆☆(上位指名級) (2025年秋季リーグ戦観戦記) |
| 平川 蓮(仙台大4年)中堅 187/91 右/両 (札幌国際情報出身) | |||||||||||||||||||||||||
高い身体能力と長打力を秘めた打撃で評判の 平川 蓮。今年、何度か生で観戦したが、周囲の評価ほど彼の魅力を感じられていないのが率直な感想だ。私の感性がズレているのだろうか? 走塁面:☆☆☆★ 3.5 左打席から一塁到達タイムは4.05~4.2秒程度で、ドラフト候補としては平均的なタイム。大型選手ゆえに加速に時間がかかる印象だが、突出して速いタイムではない。それでも、4年春のシーズンでは 10試合で7盗塁を記録し、積極的に盗塁を試みていた。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球への反応や落下点への入りは時折不安定だが、守備が下手というほどではなく、守備範囲も狭くない。肩は圧倒的ではないものの、強い部類に入る。送球は低く伸びてくるというより、高く遠くに投げるタイプ。現状では、プロの中堅手を担えるかは微妙なレベルだ。 守備でも走塁でも、身体能力をまだ活かしきれていない印象がある。プロ入り後に「こんなに足が速かったのか」「ここまで肩が強かったのか」と驚かされる可能性はあるが、現状は発展途上の域を出ていない。 打撃内容 今春のリーグ戦(10試合)での成績は以下の通り:
この春はキャリアハイの好成績を収め、大学日本代表にも選出された。オフシーズンに左打席のフォーム分析を行ったので、今回は右打席のフォームを分析し、セイバーメトリクスの指標と結びつけて彼の打撃スタイルを補足する。 OPS(出塁率+長打率)は1.129と非常に優秀で、攻撃面での高い貢献度を示している。ISO(純粋長打率、SLG - AVG)は.629 - .371 = .258で、リーグ戦での長打力は顕著だ。また、BB/K(四死球÷三振)は9/6 = 1.50と、選球眼とコンタクト能力のバランスが良い。簡易的に計算したwOBA(加重出塁率、大学野球の公式データがないため近似値)は約.480で、平均以上の打者として評価できる。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 右打席では前の足を軽く引き、踵を浮かせた構え。グリップは高めで、背筋を伸ばし両目で前を見据える姿勢はバランスが良い。この構えは、選球眼の良さ(四死球9、出塁率.500)を支えている可能性がある。安定した姿勢により、投手の投球を冷静に観察し、ボール球を見極める余裕を生んでいる。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきるタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや勝負強いポイントゲッターに多い始動タイミングだ。このタイミングは、打率.371やOPS1.129といった成績に表れているように、速球と変化球の両方に対応可能な柔軟性を提供している。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を上げ、ベースから離れる方向に踏み出すアウトステップ。始動から着地までの「間」は標準的で、速球や変化球のスピード変化にある程度対応可能。内角への意識が強く、4二塁打や1三塁打といった長打の多くが引っ張り方向への打球によるものと考えられる。 踏み込んだ足もインパクトの際にはブレずに我慢できており、アウトステップでも甘めの外角球などならライトスタンドに叩き込めるパワーがある。実際、三振率(6三振/44打席で約13.6%)は低めだが、低めや外角の変化球へも食らいつくことができている。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 「トップ」の形は自然体で、力まずボールを呼び込めている。バットの振り出しはインサイドアウトの軌道で、インパクトまで最短距離。このスイング軌道は、打率.371や三振率の低さに貢献しているが、バットのしなりを活かせていないため、長打力(1本塁打、ISO.258)を最大化するには限界がある。 バットヘッドが下がっていない点は、フェアゾーンへの打球(安打13本中6本が長打)を増やす要因になっている。セイバーメトリクス的に見ると、BABIP(打球率、簡易計算で約.400)は高めとなっている。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げはあるが、目線の上下動は少ない。体の開きが我慢できており、軸足は地面から真っ直ぐ伸び、軸回転でスイングできている。この安定した軸は、高い出塁率(.500)や長打率(.629)を支える基盤となっている。 打撃フォームのまとめ 平川はスイッチヒッターとして、左打席では長打力(ISO.258の原動力)、右打席では対応力を重視しているとされる。右打席のスイングはインサイドアウトで確実性を優先し、打率.371やBB/K 1.50に表れており、OPS1.129の数字を支えている。 全体的に、身体能力やポテンシャルを考えると、セイバーメトリクス指標(特にwOBAやISO)は優秀だが、フォームの微調整でより高いパフォーマンスを引き出せる余地がある。左打席での長打力と右打席でのコンタクト力を融合できれば、プロでの活躍が期待できる。 (最後に) 現時点では、技術や結果よりも将来の伸び代で評価される選手だ。ただし、私には彼の「凄み」を感じる機会が少なく、評判ほどの魅力が伝わっていない。守備練習では気迫溢れるプレーを見せるが、打席での足場の馴らし方などにこだわりが薄く、野球への探求心に物足りなさを感じる。ドラフトでは3位以内でないと獲得が難しそうだが、個人的にはやや控えめの評価に留め様子をみたい。秋のリーグ戦での「凄み」を感じるプレーを期待している。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年 日米大学野球) |
| 平川 蓮(仙台大3年) 外野 187/91 右/両 (札幌国際情報出身) | |
今年の東北地区の大学生野手の中で、最も注目すべき選手と言っても過言ではないのが、この 平川 蓮 だ。確かに打撃では光るものを持っているが、長打力が際立つ外野手というわけでもないので、埋もれやすいポジションを考慮すると、どの程度の評価を受けるのか判断するのは難しい。
(守備・走塁面) 一塁までの塁間タイムは、左打席から4.05秒前後だった。このタイムはほぼプロの基準レベル(4.1秒)に近く、走力を売りにする選手ではないものの、十分な速さと言える。3年秋のシーズンには3盗塁を記録したものの、それ以外のシーズンでは1盗塁のみ。それだけに、最終学年では走力でもう少しアピールしてくる可能性はある。
3年春のシーズンには一塁手としてベストナインを獲得。続く秋のシーズンではセンターやライトで出場していた。打球の落下点への入り方を見ると、時折不安定な場面もあるが、極端に下手というわけではなさそうだ。外野での経験をさらに積めば、プロでも平均レベルの外野手にはなれるかもしれない。肩の強さもまずまずで、大学1年春までは投手を務めていた経験もある。
ただし、守備でも走塁でも、現状際立った特徴はない。そのため、打撃で抜きん出た結果を示せなければ、高い評価を得てプロ入りするのは難しいのかもしれない。
(打撃内容)
3年春のシーズンには、自己最高となる 打率.326、2本塁打、12打点 を記録し、打点王にも輝いた。パンチ力はあるものの、どちらかといえば対応力に優れたタイプに思える。
<構え> ☆☆☆★ 3.5
左打席からほぼスクエアスタンスで、前足のかかとを浮かせ、グリップを高めに構える強打者スタイル。腰の据わり具合や全体のバランスは良いが、両目で前を見据える姿勢はそれほど際立っていない。錯覚を防ぐためにも、しっかりと両目で前を見据える姿勢を意識したいところだ。
<仕掛け> 早め
投手の重心が下がるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用している。この仕掛けは、対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動タイミングだ。
<足の運び> ☆☆☆★ 3.5
足を上げてベースから離れた方向に踏み出すアウトステップを採用。始動から着地までの「間」はしっかり取れており、速球にも変化球にもスピードの変化に幅広く対応できる。ベースから離れた方向に踏み出すことから、内角への意識が強いようだ。ただ彼の場合、内角が得意というよりは、むしろ苦手な内角を意識しているように感じられる。
踏み込んだ前足は、インパクト時に開かずに止まっている。そのため、アウトステップながら甘めの外角球や低めの球なら対応できそうだ。
<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5
打撃準備の「トップ」の形を早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は少ない。ただし、東北福祉大の 堀越 啓太 のストレートに明らかについていけてなかった点は、正直気になった。また、バットの振り出しはインサイドアウトではなく、少し遠回りに出てくる印象で、インパクトまでに多少のロスがある。
それでも、インパクト時にはうまくヘッドを残し、低めの球を拾ってヒットにしていた。飛ばし屋というよりは、上手さを感じさせるタイプという印象を個人的に持っている。
<軸> ☆☆☆★ 3.5
足の上げ下げはそれほど大きくなく、目線の上下動も少ない。体が開くのを我慢できており、軸足には強さというより粘りがあるように見えた。
(打撃のまとめ)
技術的に突出しているとか、素材として極端に抜きん出ているわけではないという印象だ。ただし、彼の打撃の真の凄みをまだ見られていない可能性もあるため、今後1年間かけてじっくり判断していきたい。
(最後に) ただし、走力や守備が特に目立つわけではないため、打撃でどれだけ突出できるかが鍵になるだろう。特に、全国大会や国際大会など高いレベルの投手との対戦でアピールできるかどうかが、評価を左右する重要なポイントになりそうだ。
(2024年秋 リーグ戦) |