25dy-5





谷端 将伍(日大4年)三塁 176/76 右/右 (星稜出身) 
 




 「振りが強い」





 強打者として知られる 谷端 将伍 だが、体格がそれほど大きくない点が観ていて気になる。しかし、この選手のスイングや打球の強さには他の選手と一線を画すものがあり、評判の高い強打者らしい実力を実感させる。果たして、彼は将来的にどのような選手になるのか。今回はその可能性を検証してみたい。


走塁面:
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間を右打席から約4.25秒で駆け抜ける。このタイムは左打者に換算すると約4.0秒に相当し、ドラフト候補として 中の上 クラスの脚力を持つ。通算7盗塁に対し失敗は3つと、成功率は悪くない。ただし、プロで走力を売りにできるかは微妙だが、決して走力のない選手ではない。

守備面:
☆☆★ 2.5

 むしろ懸念されるのは守備面だ。3年春のリーグ戦で8失策を記録したが、秋のシーズンでは1失策と安定。しかし、4年春には再び4失策と安定感に欠ける。キャッチングなどの動き自体は悪くないものの、長距離の
送球に不安があるようだ。侍ジャパンでは本職の内野ではなく左翼を守っており、プロで内野手を続けられるかは微妙な状況といえる。

総合評価

 走力は予想以上に優れている一方、守備は動きの良さに反して安定感に欠ける。地肩は水準以上のものがあるため、将来的には外野手として落ち着く可能性も否定できない。


打撃内容

 谷端将伍は3年春・秋のリーグ戦で首位打者を獲得したが、今春のリーグ戦
(13試合、46打数、9安打、4二塁打、0三塁打、0本塁打、4打点、9三振、3四死球、打率.196)で低迷。通算成績と今春のデータをセイバーメトリクスで比較し、打撃傾向とプロでの可能性を分析する。

通算成績(60試合)
試合数
打数
安打
四死球
三振
二塁打
三塁打
本塁打
打率
出塁率
長打率
四死球率
三振率
60
191
54
15
40
10
2
6
.283
.335
.450
7.28%
19.42%
今春の成績(13試合)
試合数
打数
安打
四死球
三振
二塁打
三塁打
本塁打
打率
出塁率
長打率
四死球率
三振率
13
46
9
3
9
4
0
0
.196
.245
.283
6.12%
18.37%


出塁率(OBP)比較: 通算(.335)に対し今春(.245)は大幅低下。
出塁機会の減少が低迷の要因

長打率(SLG)比較: 通算(.450)に対し今春(.283)は
長打力の低下が顕著。本塁打・三塁打ゼロで長打は二塁打のみ。

OPS(出塁率+長打率)解釈: 今春のOPS 0.528は大学レベルで低く、打撃生産性が大幅に低下。通算の0.785は平均~やや上だが、プロ基準(0.800以上)には届かず。

ISO(純長打率)解釈: 今春のISO 0.087は長打力の大幅低下を示す。4二塁打はあるが、本塁打・三塁打ゼロで長打が減少。

B/K(四死球/三振比)解釈: 今春のBB/K 0.333は通算よりやや悪化。
選球眼の低下と三振傾向が続く。

wOBA(加重出塁率)解釈: 今春のwOBA 0.236は非常に低く、打撃の総合生産性が通算(0.344)に比べ大きく落ち込む。

BABIP(打球安打率)解釈: 今春のBABIP 0.243は通算(0.331)より大幅低下。打球が安打になりにくく、
運や打球の質の低下が低迷の一因

四死球率・三振率通算: 解釈: 四死球率は低下し、選球眼が悪化。三振率はわずかに改善したが、依然高め。


打撃傾向の深掘り分析

低迷の要因BABIPの低下: 今春のBABIP 0.243は通算(0.331)より大幅に低く、打球が安打になりにくい。打球の質(ライナー減少、ゴロ・フライ増加)や相手守備のシフトが影響した可能性。

長打力の消失: ISO 0.087と本塁打・三塁打ゼロで、長打が二塁打のみに限定。スイングの変化やパワー不足、配球対応の失敗が考えられる。

選球眼の悪化: 四死球率6.12%とBB/K 0.333は通算より低下。積極的な打撃や厳しい配球への対応不足が推測される。

一貫性の欠如: 3年時の首位打者(高打率)に対し、今春の打率.196はスランプを示す。メンタル面や技術的調整(フォーム、タイミング)の乱れが要因か。


(最後に)

 リーグ戦では低迷したものの、日米野球の第四戦では6番打者としてスタメン出場。右に左にセンターへと打ち分け、4打数3安打の活躍を魅せた。立石 正広(創価大)のような圧倒的な長打力や松下 歩叶(法政大)のような守備力の高さはないが、「右打ちの強打の大学生」としては彼らに次ぐ存在。それだけに、秋に復調ぶりをアピールできれば、3位以内の指名も期待できるのではないのだろうか。

 問題は、プロで長打を売りにして行けるのかは微妙なところなのと、内野手としてどうなのか? という部分。この辺の疑問を払拭してくれるのかラストシーズンに注目してみたい。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2025年 日米大学野球)









谷端 将伍(日大3年)三塁 176/76 右/右 (星稜出身) 





 「村田修一以来の逸材」





 
 日大では、あの 村田 修一 以来の逸材と言えるのが、この 谷端 将伍 。3年春のシーズンでは、4本塁打を放ち、打率.327で首位打者も獲得。秋のシーズンは2本塁打ながら、打率.417と数字を大きく伸ばして魅せた。今年の東都リーグ、屈指のホームランアーチストだと言えよう。


(守備・走塁面)

 春は8失策と安定感を欠いていたが、秋は10試合で1失策とサードの守備にも安定感が出てきた。実際観ていても、キャッチングまでの動きは悪くなく、補球に関しては上手い部類ではないだろうか。やはり不安な点があるとすれば、スローイングではないかと思われる。それでも、地肩は強く、水準以上のものを持っている。春~秋にかけて、相当守備を鍛えてきた跡が伺えた。

 想像以上だったのが、走力の部分。右打席から、4.25秒前後で到達することも多く、左打席に換算すると4.0秒前後に相当するタイム。春・秋のシーズンで合わせて3盗塁と多くはないが、走力自体は想像以上に速いことに驚かされた。

 最終学年での守備の安定感と、この走力を活かし、どんなプレーを魅せてくれるのか注視したい。





(打撃内容)

 打撃を見ていると、引っ張る打球が非常に多い打者という印象。そのため、上手く巻き込めたときには長打に繋がりやすい、そういったタイプの打者に思えた。

<構え> ☆☆☆★ 3.5

 両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のかかとを浮かせつつグリップは高めに添えます。それほど腰は据わらず全体のバランスとしては並ぐらいなのですが、両眼でしっかり前を見据えています。錯覚を起こすことなく、球筋を追うことができる構えです。 

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下り始めてから動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多く見られる始動のタイミングです。

<足の運び> ☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、まっすぐ踏み出してきます。始動から着地までの「間」は充分あり、速球でも変化球でもスピードの変化には対応しやすい。まっすぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 踏み込んだ前の足も我慢できているので、逃げてゆく球や低めの球にもついて行きやすい。ただし、打球の多くは、センターからレフト方向に集中しているので、無理に引っ張ってのゴロは少なくないようにも思いました。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早めにできており、速い球には立ち遅れにくいかと。ただし、あらかじめグリップを引いて構えると、リストワークに遊びがなくなり、柔軟性が損なわれるきらいはあります。

 バットの振り出しは、決してインサイドアウトに出てくるようなタイプではありません。それでいて、バットの先端であるヘッドは下がっていないので、ドアスイングになることもありません。広い面でボールを捉えられる分、フェアゾーンにはボールが飛びやすいのではないかと。

 思ったよりも、スイングの弧は大きくなく、フォロースルーを使って運ぶといったスイングではありません。それでも、上手く巻き込めた時には、高い確率でスタンドインできる選手です。

<軸> ☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げがあるので、目線の上下動はそれなり。身体の開きは我慢できており、軸足も安定してスイングできています。多少自分からボールを追ってしまうところがあるので、身体が突っ込んだりしないように注意したいところ。

(打撃のまとめ)

 これだけの強打者でありながら、対応力が高いのは好感が持てます。実際動作を見ていると、飛ばし屋というよりも、対応力に重きが置かれたスイングであることがわかります。あとは、センターから右方向への打撃も意識できると、打てないゾーンも減ってゆくのかなと思う部分はあります。それでも、甘い球を逃さず引っ張ることで、高い確率でホームランを放つことに成功しているのでしょう。


(最後に)

 想像以上に走力があり、三塁守備にも成長が感じられました。打撃も脆さがあるタイプではないので、その点も異彩を放っています。最終学年での内容次第では、1位の12名に入ってきても不思議ではありません。現状は、2位前後の位置づけで見てゆけばいいかなといった感じで考えています。


(2024年 秋季リーグ戦)