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松下 歩叶(法政大3年)三塁 181/85 右/右 (桐蔭学園出身) | |
法大でも、2年秋からレギュラーに定着していた 松下 歩叶。しかし、本格化してきたのは、3年秋からだった。この内容で最終学年アピールできれば、上位指名も揺るがないのではなかろうか。
(守備・走塁面)
一塁までは、速い時には右打席から4.25秒前後で走り抜ける。これを左打者に換算すると4.05秒前後に相当し、プロの基準レベル以上のタイム(左打者換算で4.1秒が基準)を満たす。盗塁は、2年秋に3盗塁を記録したのみ。そのため、盗塁を積極的に仕掛けてくるプレースタイルではなさそうだ。
高校時代はショートを守り、下級生の時には法大でも二塁を任されていた。そして、現在は三塁手としてプレーしている。そのため、非常に動きが良く、上手い三塁手といえるのではないだろうか。肩も水準以上であり、3年春・秋の27試合で3失策という成績を残している。
(打撃内容)
2年秋からの2シーズンでは、2割5分以下で2本塁打が最高だった。しかし、3年秋のシーズンでは、5本塁打・13打点・打率.352 と、一気に才能を開花させたシーズンとなった。普段は、広角に打ち返す中距離ヒッターのイメージが強い。しかし、引っ張った時の打球は、対空時間の長いホームランアーチストの軌道を描くのが特徴となっている。
<構え> ☆☆☆★ 3.5
右打席からスクエアスタンスでかかとを浮かし、グリップの高さは平均的。腰の据わりは良く、全体のバランスとしてはそれなりだが、両眼で前を見据える姿勢は良い。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追いやすい。
<仕掛け> 平均
投手の重心が下りきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングです。
<足の運び> ☆☆☆★ 3.5
始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。軽くアウトステップ気味に踏み込むように、やや意識は内角寄りにあるように思える。
踏み込んだ足元は、なんとかインパクトの際にも我慢。そのため、甘めの外角球や低めの球にも喰らいついたり、センターから右方向への打撃を可能にしている。ただし見ていると、ステップも狭めでもあり、実際にはそこまでセンターから右方向に狙っているわけではなく、引っ張ったつもりの打球が微妙にずれて飛んでしまっていることも多いのではないかという印象を受けた。基本は、引っ張って巻き込むことを好む打者ではないのだろうか。
<リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0
打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球には立ち遅れにくい。特に、バットを上から振り下ろしてくるインサイドアウトのスイング軌道。そのため、インパクトまでにはロスはなく、引っ張って巻き込むのには優れたスイングとなっている。
逆に外角の強い球に対しては、バットのしなりを活かせない分、どこまでしっかり叩けるのだろうという疑問も残る。そういった本当の意味で、外角の厳しい球、しっかり外角に曲がってゆく球、アウトローの球に対する対処を、もう少し最終学年では気にしてみたい。
それでもインパクトの際には、ボールの下にバットを潜らせて打球に角度を付けるのは上手い。また、スイングの弧も大きめにとり、フォロースルーを使って遠くに打球を運ぶことができている。引っ張ったときの打球が、対空時間の長い大きな飛球を飛ばせるのは、この辺の動作が大きいのではないだろうか。
<軸> ☆☆☆★ 3.5
足の上げ下げは小さめで、目線の上下動はそれほど大きくはない。身体の開きは、なんとか我慢している感じ。軸足の内ももの筋肉は発達していて、強い打球を生み出す原動力になっている。ただし、少し前に傾きがちなので、身体が突っ込まないように気をつけたい。
(打撃のまとめ)
それほどタイミングの取り方が上手いわけではないものの、広角に打てることと、甘い球を逃さず叩けることで、一定の打率を残している。ただし、どこまでセンターから右方向への打球は意識して打っているのか? 本当の意味で、外角の厳しい球、逃げてゆく球、低めの球に対応できるかは、最終学年で見極めてみたいポイント。
ボールに角度を付けて飛ばせるインパクト、前を大きく取れるスイング、フォロースルーを使ってボールを遠くに運べる技術などは、彼ならではの技術と言えるのではないだろうか。
(最後に)
攻守両面に優れた長打力のある内野手として、上位指名候補としてマークできる素材であるのは確か。その注目され、厳しい攻めの中で、いかに最終学年で結果を残せるのか注視したい。そのプレッシャーを跳ね除けることができれば、1位の12名に入ってくる可能性は充分にあるだろう。
(2024年 秋季リーグ戦)
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