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皆川 岳飛(中央大4年) 右翼 181/86 右/左 (前橋育英出身)
 




 「最終学年の充実ぶりは見事」





 最終学年までは、正直ドラフト指名もボーダーライン上の選手かと思っていた 皆川 岳飛。しかし、4年春のリーグ戦ではリーグ2位となる打率.366をマーク。さらにラストシーズンとなる秋季リーグでは打率.447を記録し、「戦国東都」でも文句なしの成績を残して強烈な印象を残した。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの到達タイムは左打席から4.1秒前後と平均的。実際、リーグ戦でも毎シーズン1~2個の盗塁にとどまり、足を売りにするプレースタイルではない。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 打球反応や落下点への入り、キャッチングなどはまずまずのレベル。脚力が平均的であるため守備範囲は広くはないが、決して下手な選手ではない。特に高校時代に投手として最速147km/hを記録していたように、外野からの送球は
プロでも上位クラスに入る強肩である。強肩を最大限に活かす意味ではライト向きの人材だろう。プロの中堅手としては守備範囲がやや物足りない印象だが、キャッチングと肩の強さを考えるとライトでは十分に通用する人材だと言える。

 盗塁はあまり期待できないものの、走力・守備力で大きく足を引っ張ることはなさそうで、その点はプラス材料である。





(打撃内容)

 1年春からレギュラーとして出場し、大学通算100安打を達成。リーグ通算本塁打は3本と長打力は突出していないが、ツボにハマった時には驚くような打球を飛ばすことがある。基本は対応力に優れた中距離ヒッターという見方で良いだろう。


打数  安打  二塁打  三塁打  本塁打 打点 四死球 三振  打率
79 32 5
4 1 13 15 13 .405

 出塁率(OBP=塁に出る確率).500、長打率(SLG=打球の価値を表す).608はリーグトップクラスで、総合指標のOPS(出塁率+長打率)が1.108と非常に高い水準。この数字だけ見れば東都の最終学年で
「最強クラスの打撃成績」と言える。

<構え> 
☆☆☆☆★ 4.5

 左打席で前足をやや引いて構え、グリップの高さは平均的。腰がしっかり据わり、両目で前をしっかり見据える姿勢、全体のバランスが非常に良く、
スッと決まった美しい構えになっている。

<仕掛け> 
早め

 投手の重心が下がり始めるタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動タイミングである。

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足をしっかり引き上げて回し込み、ベースから離れる方向へのアウトステップを採用。始動から着地までの「間」が十分に取れているため、速球・変化球を問わずスピードの変化に幅広く対応できる。アウトステップから内角への意識が強いタイプと思われる。それでいて踏み込んだ足は
インパクトの瞬間もブレずに止まっており、甘い外角球や低めにもしっかり食らいつける。

<リストワーク> 
☆☆☆☆★ 4.5

 トップの形は自然体で力みなく作れ、ボールを深く呼び込めている。
バットの入れ方も理想的で、インパクトまでのロスが極めて少ない。ヘッドも下がらず広い面でボールを捉えており、フェアゾーンに打ち返す確率が高い。

 上手く捉えるミート力重視のスイングという印象が強いが、時折驚くような強烈な打球も飛ばすため、プロの環境に慣れれば長打もさらに増えてくる可能性はある。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げはあるものの目線の上下動は許容範囲内。体の開きは我慢できており、軸足は内側にしっかり伸びて安定している。そのため調子の波は比較的小さいタイプだろう。軸足
内腿の筋肉も適度に発達しており、捉えた時の打球の強さは申し分ない。

(打撃のまとめ)

 
打撃技術に関しては、今年のドラフト指名選手の中でも屈指のレベルにあると言える。特に構えの美しさとバットのスイング軌道は理想的で、この点は高く評価できる。現在は対応力に優れたアベレージヒッターという印象が強いが、飛ばす能力も秘めており、プロの環境に適応すれば長打もさらに増えていくのではないだろうか。


(最後に)

 これまで生観戦でも何度となく見てきた選手だが、正直なところ特徴が掴みづらく、強く印象に残るタイプではなかった。しかし今回改めて成績や映像をチェックし直し、最終学年の圧倒的な数字と、指名選手の中でも
屈指の打撃技術を持っていることがわかり、私の中での評価は大きく変わった。あとは、プロの世界に入ってどのような個性を発揮できるかが鍵になるだろう。中央大の先輩である 亀井善行(元巨人)クラスの打者になっても全く不思議ではないポテンシャルを感じた。


蔵の評価:
☆☆(中位指名級)


(2025年秋季リーグ戦)