25dy-24





新保 茉良(東北福祉大4年)遊撃 182/74 右/左 (瀬戸内出身) 
 




 「打撃が弱い」





 基本的に打撃の弱い選手はドラフト候補としてマークしない私の基準からすると、新保 茉良 をこれまで強く意識したことはなかった。指名後に改めてプレー映像を見たが、正直そのイメージは変わらなかった。


走塁面:
☆☆★ 2.5

 一塁到達タイムは左打席から4.2秒前後(プロ基準4.1秒)。ドラフト指名される選手の中では「中の下」程度の足で、決して動けないわけではないが、プロで「足を売りにする」イメージは全く湧かない。

守備面:
☆☆☆☆ 4.0

 柔らかいグラブさばきと丁寧なプレー。深い位置からの送球でもアウトにできる地肩の強さと技術を併せ持つ。
守備に関しては今すぐにでも一軍に混ざれるレベルにある。

 立浪監督時代に大量の遊撃手を獲得しながらもショートを固定できなかった中日が、あえてショートの有望株を指名したのは、この選手の守備力を高く評価したからに他ならない。現時点での最大の武器は間違いなく守備である。





打撃内容

 レギュラー定着は4年春からと遅咲き。4年春は打率.297でベストナインを獲得したものの、秋は.184と低迷。最終学年の春・秋通算成績は以下の通り。


打数  安打  二塁打  三塁打  本塁打 打点 四球 三振  打率
75 15 3
1 0 12 6 21 .200


セイバー指標補足

出塁率
(OBP:塁に出られる確率).272
長打率(SLG:打球の価値).293
OPS(出塁率+長打率のシンプルな総合指標).565 → 大学でもかなり低く、プロでは.700以下だとレギュラーは厳しい目安
ISO(純粋な長打力).093 → パワーがほぼゼロに近い
三振率(K%)27.2% → 約4打席に1回三振
四球率(BB%)7.4% → 選球眼は悪くないが積極的すぎて四球は少ない

<構え>
☆☆☆☆ 4.0

 左打席で前足を少し引いてグリップを高めに構える。腰が据わり、両目でしっかり前を見据える姿勢も良い。全体的にバランスの取れた構え。

<仕掛け>
早め


 投手の重心が沈み込むタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。アベレージヒッターに多く見られる、対応力を重視した始動。

<足の運び>
☆☆☆★ 3.5

 アウトステップ気味に踏み出し、始動から着地までの「間」は取れている。内角への意識が強く、逃げるボールや低めにも食らいつける。ただ時折前足が早く開くことでパワーロスが生じている。

<リストワーク>
☆☆☆★ 3.5

 トップは自然に作れるが、
バットを引くのが遅れがちで立ち遅れる。振り出しに大きなロスはないが、スイングに鋭さは少なく、打球の多くはフライになりやすい。

<軸>
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは大きめだが目線の上下動は静かで体の開きも我慢できている。ただ軸足の
内腿の筋力がまだ物足りず、ここに厚みが出れば打球の質も上がるだろう。

(打撃のまとめ)

 打率.200・OPS.565・ISO.093という数字が示す通り、最終学年時点では「出塁も長打も期待できない」典型的な下位打者成績。根本的に「ひ弱」に見える最大の原因は
技術より筋力とスイングスピードにある。プロの環境でこれらを補えば印象はかなり変わる可能性を秘めている。特に「トップを遅れずに作る」ことが最優先課題。


(最後に)

 守備は今すぐにでも一軍で使えるレベルにある。ただ、現時点のOPS.565はプロでは「守備要員としての最低ライン」すら微妙な水準。個人的には「打てない選手は高評価しない」スタンスなので、現時点では
(本会議級)には届かなかった。数年かけてOPS.700前後(守備固め+代打の切り札レベル)まで引き上げられるか。それがこの選手の明暗を分ける最大のポイントになるだろう。


(2025年秋・神宮大会代表決定戦)