25dy-23
| 小林 結太(城西大4年)捕手 177/82 右/左 (関西出身) | |||||||||||||||||||
小林 結太 の何が一番良いかといえば、私は送球の安定感ではないかと思う。かなりの確率で、走者の滑り込んでくる付近に送球を集めることができる。この能力こそ、この選手の最大の強みだと理解している。 (ディフェンス面) 投手にしっかりミットを示し、狙いをつけやすく構える。細かい動作を交え、投手と対話しながら試合を組み立ててくる。プレースタイル的には、雑な感じはしない。キャッチングもミットが余計に動かず、ワンバウンド処理でも素早く反応して全身で止めに行く。 上記で記したように、最大の特徴は送球の精度にある。塁間は1.8秒台中盤~1.9秒台前半。捕ってから素早く、それでいて制球の乱れが少ない実戦的なスローイングを実践する。気になる点を挙げれば、あくまでも投手との間でリードを簡潔にしすぎており、相手打者への観察に乏しく、ちょっとした変化などに敏感さが感じられないところだ。その点は、打席に入る際にもラインを踏んで入るような細かい部分への注意力が不足しているように見え、捕手としてどうなのかという懸念がある。しかし、ディフェンス全般では高いレベルでまとまっており、大学からプロ入りするレベルの捕手だと評価できる。 (打撃内容) 最終学年では、春は打率.095と低迷したものの、秋は.421を打ちまくり、プロ入りへの大きなアピールになったと思われる。そこで今回は、最終学年の成績をもとに考えてみる。
この成績からは、出塁率(OBP: 打者がどれだけ出塁できるかを示す指標)が.388と高く、四死球率(BB%: 四球の割合)が18.4%と選球眼の良さが際立つ。一方、三振率(K%: 三振の割合)が28.6%とやや高めで、コンタクトの安定性が課題だ。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 左打席から前の足を少しだけ引き、軽くかかとを浮かせて構えている。グリップは平均的な高さで添えられているが、力みなく立てているところが良い。腰はさほど深く据わっていないが、全体のバランスや両目で前を見据える姿勢は良い感じで、スッと立てて自然体だ。 <仕掛け> 平均 投手の重心が下がりきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用する。この仕掛けは、ある程度の長打力と確実性を備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動とタイミングとなっている。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応する。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのだろう。 踏み込んだ前の足も、インパクトの際に止まってブレない。そのため、逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことが期待できそうだ。 <リストワーク> ☆☆☆☆ 4.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良い。ただし、バットを引くのが遅れないように注意したい。バットの振り出しも、インサイドアウトではないものの、外の球を捉えるまでには大きなロスは感じられない。 バットの先端であるヘッドが下り過ぎないように注意は必要そうだが、大きな弧を描き最後までしっかり振り切れている。オーバーフェンスを連発するタイプではなさそうだが、二塁打などの長打は結構期待できそうだ。実際、孤立長打力(ISO: 長打力を示す指標)が.150と中距離打者らしいパワーを感じさせる。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げは小さめで、目線の上下動は大きくはなっていない。体の開きも我慢でき、軸足の形も崩れていなかった。軸足の内腿の筋肉が適度に強く、強烈な打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) それほどタイミングの取り方に特別なものは感じられなかったものの、スイングに悪いクセがなく、技術的にも大きな欠点は見当たらない。シンプルかつ力強く、OPS(出塁率と長打率の合計で総合攻撃力を示す指標)が.788とまずまずの数値を示すように、プロのスピードや配球などに慣れれば、打撃でもそれなりの結果が期待できるのではないかと。 (最後に) 圧倒的な地肩があるとか長打力があるわけではないが、攻守にバランスの取れた捕手だ。即戦力とは言い難いが、何年かかけてプロ仕様のプレーを身につけていければ、支配下・一軍への可能性も広がってきそうだ。洞察力を磨いて、ぜひ一軍の舞台で活躍してほしい選手だった。 蔵の評価:☆(下位指名級) (2025年秋 リーグ戦) |