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| エドポロ・ケイン(大阪学院大4年)中堅 190/101 右/右 (日本航空出身) | |||||||||||||||||||
打球は強烈だが、あまり上がるイメージがなかった エドポロ・ケイン 。春は本塁打がなかったものの、最後の秋は3本塁打を記録した。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁到達タイムは右打席から4.3秒前後。このタイムを左打者に換算すると約4.05秒(基準4.1秒)で、中~中の上くらいの脚力はありそうである。チームメイトによれば脚力はチームNo.1とのこと。一塁までの初動は遅れがちだが、ベースランニングなど長い距離になると加速していくタイプなのかもしれない。ただ、1年春から通算85試合出場で盗塁はわずか7。決して盗塁技術に優れたタイプとは言えない。 守備面:☆☆☆ 3.5 打球反応はともかく、落下点への入り方は悪くない。プレーにも雑な感じはせず、捕球から次の送球を意識した形ができているなど、守備意識は低くない。地肩も強く、プロでも十分に武器になるレベルだ。多少のミスは出るだろうが、将来的には両翼だけでなくセンターも守れる可能性を秘めている。 最後まで全力で走り抜ける姿勢や、転がってくる打球への対応を見ても、この選手がいい加減な性格とは到底思えない。技術的に粗い部分は残るが、守備でも走塁でも将来的に一定以上のレベルには到達するだろうという期待が持てる。 (打撃内容) 4年秋リーグ戦成績
<構え> ☆☆☆ 3.0 右打席で前の足を軽く引き、グリップを高めに構える強打者スタイル。やや後ろ足に重心を預けつつ両目で前を見据えるが、全体のバランスは並程度か。個人的な好みもあるが、構えだけなら春季の方がバランスが良かった印象。ただ、構えは「自分が違和感なく立てる形」が最優先だと考えている。 <仕掛け> 平均 春までは「遅めの仕掛け」だったが、今秋は投手の重心が沈みきった底付近で動き出す「平均的な仕掛け」に変更。確実性と長打力を両立させる中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られるタイミングだ。まだ自分にしっくりくる始動タイミングは見つかっていないのかもしれない。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 軽く足を上げてベースから離れる方向に踏み出すアウトステップ。始動から着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球への対応はそれなり。内角への意識が強いタイプなのだろう。 気になるのは、引っ張りを意識しすぎるせいかインパクトの瞬間に足元がブレてしまう点だ。そのため逃げる球や低めに対して開きが早く、対応しきれていない。実際に今秋のISO .298(長打力指標:単打を除いた打撃の破壊力)はリーグ上位クラスで、長打への意識が強く出た結果、外角球の打ち損じが増えている印象だ。春はもっと軸が安定していて、センターから右方向への打球も多かった。元々できていた選手なので意識次第で戻せるはずだが、今季はかなり長打に振り切ったシーズンだったのだろう。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 トップは早く作れるので、速球に遅れる心配は少ない。ただスイング軌道は遠回りで、確実性は高くない。インパクトではヘッドが極端に落ちず、比較的広い面で捉えられている。 この選手のスイングを見ると、長距離砲というよりはオコエ瑠偉(元楽天・巨人)のように体の強さを活かして一発を放つタイプという印象が強い。スイングの弧は大きいので、まともに捉えれば強烈な打球が飛ぶ。今秋はOPS .987(出塁率+長打率の総合指標)もリーグトップクラスで、スラグ(長打を稼ぐ力)が一気に開花した形だ。 <軸> ☆☆★ 2.5 足の上げ下げは大きくないので、目線の上下動はそこそこ。ただ、足元がブレることで体が早く開き、軸足も不安定。軸が安定しないまま振っている印象で、このままでは安定した打撃は難しい。春は軸がしっかりしていたので、内角の窮屈さを解消しようとして逆に形を崩したのかもしれない。 (打撃のまとめ) 今秋は「とにかく飛ばそう」という意識が強く、スイングが粗くなった印象はある。それでもBB/K 1.13(四球÷三振:選球眼とコンタクト能力のバランス指標)が1を超えており、荒々しいスイングの中でも我慢する力は残している。そのため今は、春から試行錯誤を重ねている途中段階だと捉えている。いずれにせよ、まだ自分の型が定まっておらず、プロ入り後も時間がかかるだろう。 (最後に) 野球に向き合う姿勢は真剣そのもの。しっかりとした方向性を示してあげれば、それに向かって努力できる資質は十分にある。生まれ持った才能も確かにあるので、それをどれだけ膨らませられるか。あとは、それを形にできるセンスがあるかどうかだ。 才能が開花したときには、球界を代表する選手になれる可能性を秘めていると期待している。春より内容が良くなったとは言えないが、ISO .298・OPS .987という数字が示すように、長打の可能性を強く示した点を高く評価し、春よりもワンランク上のものとし、アマチュア時の最終レポートとしたい。 蔵の評価:☆☆☆(上位指名級) (2025年 秋季リーグ戦) |
| エドポロ・ケイン(大阪学院大4年)中堅 189/83 右/右 (日本航空出身) | |
エドポロ・ケインは、打球の鋭さと肩の強さが際立つドラフト候補。チームの主将としてリーダーシップを発揮し、身体能力の高さからプロでの成長が期待される。ただし、技術面の課題と春季リーグでの出場機会の少なさが懸念材料だ。 今年見たドラフト候補の中でも、打球の迫力は屈指だった。開幕当初はマスコミでも注目されたが、5月以降は試合出場がなく、コンディション面が気になっている。 走塁面:☆☆☆(3.0) 評価基準:☆は5段階評価(☆☆☆★=3.0は平均レベル、☆☆☆☆=4.0は上位レベル、☆☆☆☆☆=5.0はトップクラス)。 一塁までの塁間を右打席から4.35秒前後で駆け抜ける。このタイムはプロ指名レベルの右打者として標準的。学校の生徒によると、脚力はチームNo.1とのことで、潜在的にはもっと速いタイムを出せる可能性がある。ただし、盗塁数は3年秋の3盗塁が最高で、走力を積極的に活かすプレースタイルではない。 守備面:☆☆☆★(3.5) 脚力を活かし、守備範囲は広い(外野や内野をカバーする機動力)。キャッチングも安定しており、送球時の体勢は次の動作を意識したスムーズな動き。中継への送球意識も高い。特に地肩の強さは際立ち、遠くに投げられる地肩の強さはプロでも売りにできるレベル。 走力の潜在能力は高いが、技術は発展途上。守備では身体能力を効果的に発揮しており、特に肩の強さは大きな武器だ。 打撃内容 春季リーグ戦では5月以降欠場したが、5試合、15打席で打率.333(15打数5安打)、0本塁打、0打点、出塁率.400を記録。チームの3番打者兼主将として牽引していただけに、欠場は残念だった。 構え:☆☆☆★(3.5) 前足を軽く引き、かかとを浮かせた強打者らしい構え(パワーヒッター特有の姿勢)。グリップを高めに構え、腰の据わりと両目で投手を捉える姿勢はまずまず。全体のバランスは標準的で、落ち着いた雰囲気を持つ。 仕掛け:遅め 投手の重心が沈み、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」(ボールを長く見て打つタイミング)。これは天性の長距離打者や選球眼の良い2番打者に多い。彼は長距離打者タイプで、ボールを引き付ける打撃が特徴だ。 足の運び:☆☆☆★(3.5) 足を軽く浮かせ、インステップ(内側への踏み込み)やアウトステップ(外側への踏み込み)をコースに応じて使い分ける。始動から着地までの「間」は短く、狙い球を絞り鋭く捉える技術が求められる。 踏み込んだ前足はインパクト時に開きを抑えており、低めの外角球にも対応可能。打球はセンターから右方向へのライナーやゴロが多く、広角に打ち分ける能力が見られる。 リストワーク:☆☆☆(3.0) 打撃準備の「トップ」(バットを構える位置)は早めに形成し、始動の遅さをカバー。バットの振り出しは上から振り下ろす形(ダウンスイング)で、遠回りを防いでいる。ただし、インパクト時にバットヘッドがやや下り気味で、ボールとの接地面が少ないため、フェアゾーンに飛びにくい傾向がある。確実性より破壊力を優先したスイングだ。 スイングの弧は大きくないが、恵まれた体格を活かし、力強い打球を生む。フォロースルーで遠くに運ぶタイプではなく、純粋なパワーで飛ばすスタイル。 軸:☆☆☆☆(4.0) 足の上げ下げは小さく、目線の上下動を抑えている。体の開きも我慢できているが、足元がやや窮屈で、内角球への対応は課題かもしれない。軸足の安定感は標準的で、スイング中に大きく崩れることはない。 打撃のまとめ 技術面では課題が多く、恵まれた体格とパワーに頼ったスイングが中心。打球の速さは今季見た中でもトップクラスで、ライナー性の鋭い打球が右中間を破るシーンが印象的だ。ボールを見極める「眼」の良さも光り、スイング技術が向上すれば安定感が増すだろう。今後、内角球への対応やバット軌道の改良を進めれば、プロの主力打者への道が開ける。 最後に 野球への姿勢は真摯で、チームの主将としてリーダーシップを発揮。プレーに手抜きはなく、バッターボックスでは足場を丁寧に整えるこだわりが見られる。長距離打者というより、鋭い打球と身体能力を活かし、20本前後を狙える中距離打者としての資質が高い。肩の強さを活かせば、外野のレギュラー候補として将来の主軸も期待できる。ドラフト戦線では、身体能力と将来性を評価され、中位指名が期待される注目の存在だ。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年 春季リーグ戦) |