25dy-10





小田 康一郎(青山学院大3年) 一塁 173/85 右/左 (中京大中京出身)





 「打撃は天才肌」





 打球を右へ左へと打ち返す打撃は、まさに天才肌といった印象を与える 小田 康一郎 。柔らかさとパンチ力を兼ね備えた打撃で、最終学年においてどこまで異彩を放つことができるのか注目される。


(守備・走塁面)

 秋の観戦時には一塁までの正確なタイムを計測できなかったが、左打席からおおよそ4.1~4.2秒で駆け抜ける平均的な脚力の持ち主という印象を受けた。それでも3年秋のリーグ戦では5盗塁を記録するなど、予想以上に走力を前面に出したプレーを見せていた。

 体が小さく動きの良さからも、元来は一塁手というタイプではない。守備では三塁や二塁を守った経験もあり、他のポジションもこなせる選手が一塁を担っているといった感じだ。そのため、
打球への一歩目の反応やとっさのバウンドへの対応、守備範囲など、かなり動ける一塁手という印象を持つ。秋に一塁で三失策を記録しミスも少なくなかったが、これは通常の一塁手よりも動きが大きいがゆえにミスも生じたのだと、前向きに捉えている。

 走力もこちらが想像する以上に速い可能性があり、最終学年では守備で二塁や三塁をこなすようになれば、また印象が変わってくるかもしれない。ただし、いずれにせよこの選手の注目点は、
打撃でどれだけ異彩を放てるかではないだろうか。





(打撃内容)

 低めの球を巧みに拾う柔らかい打撃を見せる一方で、打球が予想以上に伸びるパンチ力も兼ね備えている。1年春からレギュラーとして活躍し、過去には一塁手として二度のベストナインを獲得、東都リーグで打点王にも輝く実績を残している。ただし、その能力に比して、個人的にはこれまでの実績に物足りなさも感じている。最終学年では、さらに突き抜けた成績を期待したい。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 左打席で前の足を軽く引き、グリップを下げて構える。腰が据わり、両目で前をしっかりと見据える姿勢が良く、全体のバランスもまずまず。特に
打席でのリラックスした立ち姿が印象的だ。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下がり始めたタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。この始動タイミングは、対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる特徴だ

<足の運び> 
☆☆☆☆ 4.0

 足を大きく引き上げ、ベースから離れる方向に踏み出すアウトステップを採用。始動から着地までの「間」が取れており、速球にも変化球にも幅広く対応可能だ。アウトステップから内角を意識している打者なのではないかと感じる。

 踏み込んだ前の足は
しっかりと止まりブレないため、アウトステップでも甘めの外角球やある程度の高さのある球なら、無理なくレフト方向へ打ち返せる。特に膝を柔軟に使い、低めの球を巧みに拾う技術が光っていた。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃準備である「トップ」の形は自然に作れており、
バットを引くタイミングが遅れないよう注意が必要だ。バットの振り出しにロスは感じられず、インパクト時にはヘッドをうまく残してボールをフェアゾーンに落とす。払うようなスイングで力感はあまりないが、それでも打球は想像以上に伸びていく

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが大きいにもかかわらず、
目線の上下動が小さく驚かされる。体の開きを我慢でき、軸足にも粘り強さが感じられる。内モモの筋肉が発達しており、打球を想像以上に飛ばす力を持っている。

(打撃のまとめ)

 ボールを捉える能力は非常に優れている。あとはトップの形を遅れずに作れれば、さらに安定した成績を残せるのではないかと思う。最終学年ではぜひ東都リーグで首位打者を獲得してほしい。


(最後に)

 守備が下級生時代のように一塁手のままなら、そこまで爆発的な成績を残せないと、社会人野球へ進む可能性が高いかもしれない。それでも個人的には、打撃能力が非凡なだけに、それを何かしら活かす道はないかと思える選手だ。最終学年での大爆発を、期待したい一人である。


(2024年 秋季リーグ戦)