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繁永 晟(中央大4年)二塁 174/78 右/右 (大阪桐蔭出身) | |||||||||||||||||||||||
勝負強いバッティングと気持ちのこもったプレーで、昨年から注目を集めてきた 繁永 晟 。しかし、今春のリーグ戦では打率.178、ホームラン0本と低迷し、期待に応えられないシーズンとなった。それでも、昨年の実績から大学代表候補に選ばれ、平塚合宿や日米大学野球でのプレーを見ると、改めてこの選手の魅力を実感させられた。 走塁面:☆☆☆ 3.0 一塁到達タイムは右打席から約4.35秒(左打者換算で約4.1秒)。このタイムはドラフト候補としては平均的だ。しかし、平塚合宿では出塁ごとに積極的に盗塁を仕掛けるなど、強いアピール意欲を見せた。走力自体は標準的だが、盗塁への積極性は高く、相手の癖を見抜く技術が磨かれれば、プロでも年間10盗塁程度は期待できるかもしれない。 守備面:☆☆☆ 3.0 セカンドの守備では、軽快さや広い守備範囲といった突出した特徴はないが、堅実で丁寧なプレーを心がけ、球際での強さを発揮する。守備範囲をポジショニングの良さで補い、今春のリーグ戦(12試合)では失策2ながら、3年時には失策は無かった。プロでもセカンドを無難にこなせるレベルにあり、先輩の牧秀悟(DeNA)を上回るセカンド守備者になれる可能性は十分にあるだろう。 守備も走塁も平均的な素材ではあるが、頭を使ったプレーと堅実さ、気持ちのこもった姿勢で観る者を納得させる選手だ。 打撃内容 今春のリーグ戦では打率.178(12試合、45打数8安打、0本塁打)と低迷したが、4年間の通算成績を通じて繁永晟選手の打撃をセイバーメトリクス視点で分析する。 OPS(出塁率+長打率)は.664(出塁率.334 + 長打率.330)で、大学レベルでは平均的。コンタクト重視の打撃スタイルを反映し、出塁率は良好だが、長打力の向上が課題。 wOBA(加重出塁率)は以下のデータで計算した。単打は81 - (11二塁打 + 1三塁打 + 3本塁打) = 66、塁打数は(66×1 + 11×2 + 1×3 + 3×4) = 103、打席数は打数312 + 四死球35 = 347(犠飛・死球はデータなしのため0と仮定)。wOBA = (0.69×四球35 + 0.89×単打66 + 1.27×二塁打11 + 1.61×三塁打1 + 2.10×本塁打3) ÷ 347 = (24.15 + 58.74 + 13.97 + 1.61 + 6.3) ÷ 347 ≈ .303。大学平均wOBA(約.300)と同等で、勝負強い場面での安打や四球がwOBAを支えるが、長打の少なさが影響。 ISO(純長打率)は.070(.330 - .260)で、長打力は低く、単打中心(単打率81.5%=66/81)のコンタクトヒッター型。プロでは二塁打以上の増加が求められる。 BB/K(四球/三振比)は0.83(35四球 ÷ 42三振)で、選球眼は良好、三振率12.1%は大学レベルで安定。 BABIP(インプレー打率)は(81 - 3) ÷ (312 - 3 - 42 + 0) = 78 ÷ 267 ≈ .292で、大学平均(約.300)に近く、打球の質が安定している。春季の低打率はBABIP低下が要因の可能性がある。今春のリーグ戦成績(推定)試合数 春季リーグのOPSは.460(出塁率.260 + 長打率.200)で、リーグ平均を大きく下回る。wOBAは安打8(単打7、二塁打1、三塁打0、本塁打0)、打席数50(45打数 + 5四死球)と仮定し、(0.69×5 + 0.89×7 + 1.27×1) ÷ 50 = (3.45 + 6.23 + 1.27) ÷ 50 ≈ .219で、大学平均wOBA(.300)を大幅に下回り、不調の深刻さを示す。BABIPは(8 - 0) ÷ (45 - 0 - 10 + 0) = 8 ÷ 35 ≈ .229で、平均以下。不運に加え、打球の質低下(ゴロ率増加やライナー率低下)が低打率の一因と推測される。BB/Kは0.50(5四球 ÷ 10三振)で、選球眼は維持したが、三振率22.2%の上昇が課題。 セイバー的見解 繁永はインサイド・アウトのスイング軌道で広角に打ち分ける技術を持つコンタクトヒッタ。ISO.070と長打力は控えめだが、BB/K 0.83の選球眼と勝負強い打席での集中力が強み。平塚合宿では鋭い打球が増え、復調の兆しが見られた。秋季リーグでは、打球角度の最適化(ライナー率向上)や外角球への対応力強化が復調の鍵となる。
(打撃フォーム) 構え ☆☆★ 2.5 右打席で足を軽く引き、グリップは平均的な高さで捕手側に添えられている。後ろ足に体重を預けた構えは癖があり、両眼で前を見据える点でやや物足りない。昨年のフォームは両眼でボールを捉えやすく、錯覚を起こしにくい印象だった。BABIP.292は構えの安定感を反映するが、春季の推定BABIP.229低下は構えのブレが一因の可能性がある。 仕掛け 平均 投手の重心が沈みきるタイミングで動き出す「平均的な仕掛け」を採用。確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターやポイントゲッターに多い始動タイミング。昨年は「遅めの仕掛け」だったが、今年は始動を早め、速球への対応を意識。BB/K 0.83は選球眼の良さを示すが、春季の三振率22.2%はタイミング調整の課題を露呈している。 足の運び ☆☆☆★ 3.5 足を上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出すスタイル。始動から着地までの「間」は適度で、速球や変化球のスピード変化に対応可能。内角・外角をさばくタイプで、BABIP.292は広角打撃の成果を反映。 踏み込んだ前足はインパクト時にブレず、引っ張りを好むが、逃げる球や低めにも食らいつき、ライト方向にも打ち返す技術を持つ。春季のBABIP低下(.229)は外角球への対応力低下が一因の可能性がある。 リストワーク ☆☆☆★ 3.5 打撃準備の「トップ」は早く形成でき、速球に遅れる心配はない。インサイド・アウトのスイング軌道で無駄がなく、バットヘッドが下がらず広い面でインパクト。wOBA.303はフェアゾーンへの打球の多さを反映。昨年は遠心力を活かしたスイングだったが、今年は当てる意識が強く、ISO.070の長打力低下につながった。フォロースルーは大きくないが、甘い球を見逃さない集中力が勝負強さの基盤となっている。 軸 ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げがあっても目線のブレは少なく、体の開きを我慢できる。軸足の安定感はBABIP.292のコンスタントな打撃に寄与。内腿の発達が強い打球(塁打数103)を生み、調子の波が少ないタイプ。春季のwOBA.219低下は軸のブレではなく、打球角度やスイング軌道の調整不足が主因と推測される。 打撃のまとめ 繁永はコンタクト重視の打者で、wOBA.303、BB/K 0.83は選球眼と安定感を示す。ISO.070と長打力は控えめで、プロでは二塁打以上の増加が課題。春季リーグのOPS.460、wOBA.219は打球の質低下(推定ゴロ率増加)が原因と考えられる。平塚合宿での鋭い打球の増加は復調の兆し。始動の早さやインサイド・アウト軌道の調整が、秋季での結果につながる鍵となる。 最後に 打撃フォームの変更が春季の不調(打率.178、OPS.460)につながったが、平塚合宿では本来の勝負強さと鋭い打球で復調の兆しを見せた。OPS.664、wOBA.303は大学平均レベルで、BB/K 0.83の選球眼はプロでも通用する資質。安定した走塁(一塁到達4.35秒)と守備(失策1/12試合)、気持ちのこもったプレーで、秋季リーグでのアピールが期待される。ドラフト3位前後での指名が可能で、プロではセカンドのレギュラー候補や勝負強い打者として将来的にはチームに貢献できる素材とみる。 蔵の評価:☆☆☆(上位指名級) (2025年 平塚合宿) |
繁永 晟(中央大3年)二塁 174/78 右/右 (大阪桐蔭出身) | |
当たり年だと言える25年度の大学生内野手の中でも、先輩である 牧 秀悟(DeNA)に良く似たプレースタイルである 繁永 晟 。その実力も、最終学年には、牧に肉薄するのではないかと期待している。 (守備・走塁面) 残念ながら、一塁到達タイムを正確に記録できなかった。しかし、試合を見ている限りは、ドラフト候補としては 中~中の上 ぐらいといった感じ。3年春の春季リーグでは、14試合で2盗塁と、盗塁への意欲も無いわけではなさそう。松山合宿での50メートル走では、6.2秒前後と、全体でも 平均的なタイムは出せていただけに、全く動けない選手ではないだろう。 セカンド守備も、軽快だとか守備範囲が広いわけではないが、堅実なプレーをする二塁手。そのため、春季・秋季共にリーグ戦では失策0個。むしろ守備に関しては、大学時代の 牧秀悟 以上に上手い感じがする。「強打の二塁手」として、勝負して行けるのではないのだろうか。 (打撃内容) パワフルなスイングをする広角打者といった感じで、3年春には 3本塁打・11打点を残し、東都の首位打者にも輝いている。 <構え> ☆☆☆☆ 4.0 前の足を少しだけ引いて、グリップの高さは平均的な高さで添えている。腰はしっかり据わりつつも背筋を伸ばし、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしても悪くない。打席では、適度な集中力も感じさせる。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く見られる始動のタイミングとなる。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を引き上げ回し込み、真っ直ぐ~軽くアウトステップ気味に踏み込んできます。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもスピードの変化にはそれなりに対応。真っ直ぐ~軽くアウトステップするように、内角でも外角でもさばく意志はあるものの、若干意識は内角寄りの方が強いのかもしれません。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にも、なんとかブレずに我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも、ある程度ついて来られています。実際打球も、センターから右方向にも飛ばすことができます。また、引っ張った時の打球は強烈で、ホームランはその方向への打球が多いのではないのでしょうか。もう少し、間合いが上手く図れるようになると、対応力も増しそう。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は少なそう。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトに出てくるタイプではないものの、バットの先端であるヘッドまでは下がっておらず、ドアスイングにはなっていません。 打球に角度を付けて飛ばすというよりも、スイングの前を大きめ取りつつ、強烈な打球で野手の間を抜けてゆくタイプ。時々、上手く巻き込めた時には、スタンドインするといったタイプではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げある割には、目線の動きは小さめ。身体の開きも我慢でき、軸足の形も安定している。そのため、調子の波は少ないタイプの打者ではないのだろうか。軸足の内腿発達しており、強い打球を生み出す原動力になっている。 (打撃のまとめ) タイミングの図り方やボールを捉えるセンスが特別優れている感じはしないものの、技術的にも大きな欠点はなく、甘い球を逃さないで仕留めるタイプの打者ではないのだろうか。そういった部分に、凄みが出てくると上位指名も意識できる存在になって行きそうだ。 (最後に) 現状は、中位指名ぐらいかなといった位置づけ。しかし、3年春の内容を取り戻し、さらにプラスαを感じさせてくれれば、充分に「強打の二塁手」としての存在感を高めてくれるのではないかと期待している。当たり年の大学生内野手でも、個人的には、この選手が一番気になっている。 (2024年 秋季リーグ戦) |