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小林 純大(花園大3年)投手 185/79 左/左 (栗東出身) 





 「復活が待ち遠しい左腕」





 2年春には、大学選手権でもマウンドに上っていた 小林 純大。将来楽しみな左腕だなと思っていたが、3年時には春・秋共に登板なし。それでも、復活すれば大いに楽しみな存在になるのではないだろうか。


(投球内容)

 少し
身体をトルネード気味に後ろに捻ってから投げ下ろしてくる独特のフォームです。3年春には 3勝1敗 防御率1.71(3位)の好成績でチームの全国大会出場に貢献しました。

ストレート 常時145キロ前後~MAX149キロ
☆☆☆★ 3.5

 フォームに迫力があるので、球速以上に勢いを感じさせます。2年春のシーズンでは、31回1/3イニングでも四死球は7個。確かに粗っぽい投球とのイメージはあるものの、ボールがしっかりコーナーに散っていて
甘く入って来ないところは良いところでした。

変化球 スライダーチェンジアップなど
☆☆☆★ 3.5

 真っ直ぐだけでなくスライダーやチェンジアップのキレ・威力もまずまずで、こういった球で三振が奪えています。2年春のシーズンでは、31回1/3イニングで44三振と投球回数を上回っています。同様に、通算でも遥かに投球回数を上回る奪三振を奪えています。

(投球のまとめ)

 細かい部分はわからないことも多いのですが非常に迫力があって魅力的な素材です。春に投げているのが確認できたらぜひ現地に行って生で見てみたい一人です。好調時ならばそこまで制球力も悪くなさそうですし変化球も良いのでただの速いだけの投手ではなさそうです。






(投球フォーム)

 セットポジションから、ゆっくりと足を高い位置まで引き上げてくる。そこから身体に捻りを加えてくる、トルネード気味なフォーム。軸足一本で立った時にはそこまで膝がピンと伸び切ることなく、適度にバランスを保っている。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちで、お尻の三塁側(左投手の場合)への落としに甘さは残すものの、カーブやフォークといった捻り出して投げる球が投げられないことはなさそう。ただし、その変化は鈍くなる恐れがある。

 前に大きくステップすることで適度に身体を捻り出す時間を確保。そのため、スライダーやチェンジアップの曲がりも良く、各変化球の変化も悪くない。上記も記したように、カーブやフォーク系の球にはあまり適さないが、その他の変化球にはキレが生まれやすい。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。したがって軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすい。ただし、身体を捻ったり、上体を大きく振って投げるフォームだけに、そのことによって、グラブを抱えていても軸がブレやすい要素は少なくない。

 足の甲での地面の捉えもできているように見えるが、その時間が若干短くも見えなくはない。それでも、ボールが高めに集まりやすいとか、抜けたりすることは多くはなさそうだ。
「球持ち」自体も良く、比較的前では放せていた。ただし、指先の感覚はそこまで良くないようにも見える。

<故障のリスク> 
☆☆ 2.0

 お尻の落としには甘さはあるが、カーブやフォークなどはあまり使ってこないので、現時点では気にするほどではなさそう。むしろ、ボールを持っている方の肩が上がり、グラブを持っている方の肩が下がるなど、
肩などに無理が感じられる。また、身体を振って投げるダイナミックなフォームであるので、疲労も溜めやすいのではないだろうか。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りも感じられ、
ボールも出どころを隠せている。角度も感じられ、ボールの出どころを隠すことで、打者としては打ちにくいのではないだろうか。そのへんは、2年春のリーグ戦で 31回1/3イニングで21安打と、被安打率67.0%の低さにも現れている。

 
腕も大胆に振れて勢いがあるので、打者も吊られやすいのでは? ボールにも体重を乗せてリリースできているように見えるが、最後に三塁側に流れてしまっているように、作り出したエネルギーを途中でロスしてしまっているのが課題だろうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、重心が三塁側に流れてしまう
「体重移動」に課題を残している。制球を司る動作は悪くないが、故障のリスクが高いのは気になるところ。特に、3年時は一切投げられていなかっただけに。将来的には、武器になるほどの変化球を見出だせても不思議ではないフォームをしている。課題もあるが、見た目ほど粗いフォームではないような気がする。


(最後に)

 まずは、良かった2年時の投球を取り戻せるか? そこから、プラスアルファを見出すことができれば、有力なドラフト候補として注目を浴びることがありそうだ。そういった楽しみといった部分では、関西でも指折りの素材ではないだろうか。



(2022年 春季リーグ戦)