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山城 京平(亜細亜大4年)投手 174/71 左/左 (興南出身) 





 「一皮むけてなかった」





 4年春のリーグ戦で最優秀防御率に輝いた 山城 京平 。春の投球内容から1位指名級と見ていたが、日本代表選考平塚合宿・日米大学野球・秋季リーグと見るにつれ、評価を見直さざるを得なくなった。


(投球内容)

今秋リーグ戦成績
では

FIP(投手の責任範囲だけで測る防御率に近い指標):4.74 → 与四球が多く失点以上に「運が良かった」可能性を示唆
K/9(9回換算の奪三振率):7.46 やや物足りない
BB/9(9回換算の与四球率):5.68 明らかに多い
K/BB(奪三振と与四球の比率):1.31 大学上位投手としては低い
WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したか):1.22 平均的だが、四球の多さが響いている


投球回数
被安打
四球 奪三振 防御率
25回1/3 15 16 21 3.20


ストレート 常時145km/h前後 
☆☆☆★ 3.5

 春は150km/hを普通に出していたが、今秋は制球優先で145km/h前後に抑え気味。それでもBB/9が5.68と高く、球速を落とした分のメリットがほとんど出ていない。

横変化 スライダー 
☆☆☆ 3.0

 左打者には空振りを誘うなど有効だが、右打者にはあまり使えていなかった。

縦変化 チェンジアップ 
☆☆☆ 3.0

 春はこの球を中心に投げていたが、今秋は使用率が減っていた。右打者外角低めは決まっていただけに、戻せればFIPは改善しそう。

緩急 カーブ?
 ☆☆☆ 3.0

 遅いスライダーなのかわからないが、カーブのような軌道で曲がってカウントを稼ぐのに使ってくる。

その他 
☆☆★ 2.5

 クイック1.15~1.25秒とやや遅くや牽制・フィールディングは平均的。

(投球のまとめ)

 春に築いた「チェンジアップ主体+制球力」のバランスが崩れた。防御率 3.20 も打球運に恵まれた面が大きくFIP4.74・BB/9 5.68という数字が示すように、本来の実力は4点台中盤程度だった可能性がある。それでも左腕としての
素材は今年の大学世代でも屈指。プロで四球を減らす修正が出来れば、上位指名級のポテンシャルを活かすこともできるだろう。





(投球フォーム)

 セットポジションから足をゆったりと高く上げ、静かに始動する。リリーフというより先発向きの雰囲気を感じる一方、軸足一本で立ったときに
膝から上がピンと伸びきり「トの字」になってしまうため、どうしても力みが生じやすく、バランスを崩して突っ込む場面も見られる。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 足は高く上がるが、二塁側に大きく踏み出すため、お尻の三塁側への落としが甘くなりがち。カーブやフォークといった捻り出す球種のキレは出しにくいが、現状の変化球の曲がり自体は悪くない。

<ボールの支配> 
☆☆☆★ 3.5

 グラブは最後まで内に抱えられており、遠心力の逃げは抑えられている。ただ腕が大きく外旋して振られるため、軸がブレやすく再現性が落ちる傾向がある。足の甲での押し込みも浅くはないが、
フォームが乱れると一気に制球が乱れる印象。

<故障のリスク> 
☆☆☆★ 3.5

 お尻の落としに甘さはあるものの、捻り出す変化球の割合が少なく、肩・肘への負担はそこまで大きくない。力投派というほどでもないため、疲労蓄積のリスクも低め。

<実戦的な術> 
☆☆☆★ 3.5

 着地までの粘りはそこそこあり、ボールの出どころもある程度隠せている。腕も適度に振れており、打者は吊られやすい。ただ体重移動よりも上半身主導で
キレを生み出すタイプのため、疲労が溜まると一気に崩れる危険性がある。

(フォームのまとめ)

 「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」の4大動作に致命的な欠点は見当たらない。故障リスクも低く、制球を司る動作も悪くない。それだけに、フォームそのものの欠陥というより、良い状態をいかにキープできるか、
再現性・精神的な安定感がこの投手の最大の課題と言えそうだ。軸足一本で立ったときの「トの字」バランスをもう少し柔らかくできれば、大きな改善につながるかもしれない。


(最後に)

 ポテンシャルは間違いなく高い。及川雅貴(横浜高→阪神)に近い雰囲気を持つ左腕だと思う。プロの指導で理想的な形に整えられれば、十分に一軍で活躍できる投手になれる。ただし、春の好内容を最後まで取り戻せなかったことを重く見て、評価は春の「1位指名級」からワンランク下げた上位指名級とする。


最終評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2025年 秋季リーグ戦観戦後)


 








山城 京平(亜細亜大4年)投手 174/68 左/左 (興南出身)  





 「一皮むけた」





 山城 京平 は、下級生時代には抜群のボール威力を誇るも成績が伴わない素材型投手だった。2025年春季リーグでは、ストレートの質を向上させ、試合をまとめる能力を身につけた。東都大学野球リーグ(日本国内の大学野球トップリーグ)での活躍により、ドラフト上位候補として注目を集めている。


投球スタイル

ストレート:140km/h後半~150km/h中盤 評価:
☆☆☆☆★(4.5/5)

 山城のストレートは、NPB(日本プロ野球)の左腕投手でも稀な150km/h中盤の球速と勢いを誇る。多少のバラつきはあるが、低めにゆくことが多く、高低のミスは少ない。左右の制球ミスは見られるものの、
ボールの威力で打者を圧倒する。

変化球:チェンジアップ・スライダー・カーブ 評価:
☆☆☆★(3.5/5)

 昨季までは横滑りするスライダーが主武器だったが、今季はチェンジアップの使用頻度が増加。この変化球は変化量よりも
ストレートと見分けにくい腕の振りが特徴で、プロの打者でも対応が難しい。スライダーの割合は減少し、緩いカーブを効果的に織り交ぜ、打者のタイミングを外している。

守備・牽制

 クイックタイムは1.15秒前後と平均的で、走者を刺す鋭い牽制は少ない。フィールディングの動きはスムーズだが、送球の精度は今後注視が必要。高校時代から好投手タイプで、マウンド捌きは安定しているが、細かいコースの出し入れや「間」を活用した投球術は発展途上である。



成績分析

 今春の東都リーグでは、7試合に登板し、
2勝0敗、防御率1.39 を記録。昨秋の防御率3.49から大きく向上し、最優秀防御率に輝いた。以下は詳細な成績と評価基準に基づく分析である。


項目
成績
基準
評価
投球回
32回1/3
-
-
被安打
15安打(被安打率:46.4% = 15 ÷ 32.33)
投球回数の80%以下
四死球
21四死球(四死球率:65.0% = 21 ÷ 32.33)
投球回数の33.3%以下
奪三振
32奪三振(1イニングあたり0.99 = 32 ÷ 32.33)
1イニングあたり0.8以上
防御率
1.39
1点台


 被安打率(46.4%)は、東都リーグの高いレベルで脅威的な数字。低めへのストレートとチェンジアップの効果的な組み合わせが安打を抑えた。

 四死球率(65.0%)は依然高く、制球力の改善ではなくボールの威力で成績を伸ばしている。リリースポイントのバラつきが課題か。

 奪三振率(0.99/イニング)は、チェンジアップのストレートとの見分けづらさと低めへの投球が効果的。左腕としての希少性を考慮すると十分な数字だ。

 防御率(1.39)は基準を満たすが、0点台には届かず。秋季リーグでのさらなる向上が期待される。

投球の総括

 山城は、ストレートの球速向上(140km/h後半~150km/h中盤)とチェンジアップの活用により、打者に的を絞らせない投球を展開。昨季までは速さだけでは圧倒しきれなかったが、ボールの威力と配球の工夫でパフォーマンスを向上させた。細かい制球力や投球術は未成熟で、
ストレートが走らない場面での試合展開力は課題である。


(今後の展望)

 リーグ戦終盤での内容の向上は高く評価できる。2025年の大学生投手中では絶対的な存在が少ない中、左腕としての希少性と150km/h中盤のストレートは大きな魅力。秋季リーグで防御率0点台を記録できれば、ドラフト1位指名、さらには複数球団による競合の可能性も見えてくる。


総合評価:☆☆☆☆(ドラフト1位指名級)


(2025年 春季リーグ戦)


 








山城 京平(亜細亜大3年)投手 174/68 左/左 (興南出身) 
 




 「ボール一つ一つは素晴らしい」





 
 左腕から繰り出す150キロ前後の真っ直ぐの勢い、そして変化球にも良いものがある 山城 京平 。しかし、ここまでの3年間の通算成績は僅か2勝であり、通算防御率は2.48と、平凡な成績に留まっている。その理由について、考えてみたい。


(投球内容)

 興南高校時代から好投手として知られてきた選手だが、大学に入って大きく球速を伸ばした。大学に入ってから、1年春からリーグ戦で登板。しかし、規定投球回数に達したのは、3年秋のシーズンが初めてだった。そしてその成績は、7試合で 2勝1敗、54回1/3を投げて28安打、45四死球、44三振、防御率3.49(8位)といった平凡な成績だった。

ストレート 常時145キロ前後~MAX151キロ ☆☆☆☆ 4.0

 球速表示どおりに、真っ直ぐの勢いは確かで、速く感じないわけではない。決して球威で圧倒するというよりも、キレ味のある快速球だ。54回1/3イニングで、被安打は28本。被安打率は51.5%と、圧倒的に打たれていない。

 しかし、これでも成績が残らないのは、四死球の多さからだろう。四死球は45個で、四死球率は実に82.8%。いくらヒットを打たれないといっても、この割合で四死球を出してしまえば、どうしても失点に絡んでしまう。

変化球 スライダー・チェンジアップ・カーブなど ☆☆☆★ 3.5

 ストレートが暴れる分、横滑りするスライダーでカウントを整えてくる。また、追い込むと低めで沈むチェンジアップを振らせるのは上手い。したがって、いかに追い込むことができるかが重要なのだろう。

その他

 クイック自体は、1.2秒弱と平凡。しかし、左投手であることも考えると、この点はあまり問題ではない。牽制でも、走者を刺すような鋭いものを入れてくる。「間」を意識したり、細かいコースの投げ分けはできないが、元々が好投手タイプだっただけに、マウンドさばきが悪いわけでもない。


(投球のまとめ)

 どうしても力でねじ伏せようという意識が強いのか? 力みから制球を乱してしまうことが多い。逆に、力が抜け始めると、変化球もしっかり制御できて安定してくる。そういった力の入れ加減、抜き加減を身に付けられるかが、今後の鍵になるのではないだろうか。





(投球内容)

 セットポジションから足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足の膝がピンと伸びてしまい、力みが感じられる立ち方は気になる材料だ。制球の悪い投手に多く見られる傾向だからだ。それでも、全体のバランスとしては平均的に保てている。

<広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を高い位置でピンと伸ばせているが、かなり二塁側に送ることでバランスを保っている。ただし、こうなると身体を捻り出すスペースが少し甘めになるため、カーブやフォークなどの曲がりは鈍くなってしまうかもしれない。

 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、適度に身体を捻り出す時間を確保できる。そのため、変化球の曲がり自体はそれほど鈍くならないのではないだろうか。

<ボールの支配> ☆☆☆ 3.0

 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。したがって、軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすそうに見える。しかし、腕が外旋してブンと振られるため、グラブを抱えていても軸のブレは充分に抑えられないのではないだろうか?

 足の甲での地面の捉えが浅いので、浮き上がろうとする力は抑えられない。「球持ち」も並ぐらいだが、真っ直ぐが高めに集まりやすいとか、ボールが抜けるといった感じはしない。

故障のリスク ☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残るものの、カーブやフォークが投げられないほどではないだろう。腕の角度自体に無理はないが、外旋してブンと肩で投げる分、負担も少なくないようには感じる。それほど力投派だとは思わないが、力んで投げることがあり、そのような投げ方では疲労度も少なくないのではないだろうか。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは作れているように見え、ボールの出どころも隠せているように見える。そのため、被安打も少ないのではないだろうか。

 腕は強く振れて身体に絡んで来るし、ボールも体重を乗せてからリリースできているようには思える。ただし、この辺りも更に良くなる余地は残されている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな課題はないものの、どれも平均的で、もっと良くできそうな余地が残されている。制球を司る動作や故障のリスクも、腕が外旋して投げることで弊害が出ているように感じられた。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、各変化球のキレ自体は悪い投手ではなさそうだ。


(最後に)

 投げているボール自体は、上位指名を意識できるだけのものがある。しかし、制球力の粗さが、実戦的な投球の妨げになってきた。力の抜き加減を覚えるなり、フォームの修正を講じるなど、何かしらの変化がないと、このまま素材型の域を脱せられないまま終わってしまいそうだ。そういった投球に変化が見られるのか? 最終学年は見届けてみたい。