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| 河野 優作(愛知学院大4年)投手 180/85 左/左 (創志学園出身) | |||||||||||
左サイドハンドから繰り出される、横の角度を生かした投球が持ち味の 河野 優作 。まさに左打者を抑えるワンポイントリリーフとして期待される存在だ。 (投球内容) この秋のリーグ戦では主にリリーフで登板。大学4年間の通算成績は以下の通り。
ストレート 常時145km/h前後 ☆☆☆(3.0) 普段は140km/h前半が多いが、力を入れたときは140km/h後半を計測。キレより球威で勝負するタイプだ。右打者には両サイドに散らし、左打者には外角中心に集めてくる。 被安打率(被安打÷投球回).731 とリーグ平均を大きく下回るのは、横の角度と球威で打者を押し込めている証拠。ただし四死球95(与四球率 3.88/9回)とやや多めで、WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したか)は1.16と可もなく不可もなく。 横変化 スライダー・チェンジアップ ☆☆☆★(3.5) 大きく横に曲がりながら沈むスライダーが最大の武器。この球が変化球の9割以上を占める。奪三振率(K/9)6.67 はサイドスローとしてはまずまずの数字で、スライダーの空振り奪取能力が数字にも表れている。 その他 ☆☆(2.0) 最大の課題は、クイックがほぼできないこと。走者を出した場面での失点リスクが高く、実際の失点率(防御率)1.96に対し、FIP(守備や運に左右されない投手の純粋な能力を示す指標)は2.85とやや開きがある。これは四死球の多さと奪三振がもう一歩伸びていないことが原因だ。 (投球のまとめ) 横の角度を最大限に活かした球筋と、球威のあるストレート+横滑りするスライダーのコンビネーションが最大の武器。セイバー的に見ても「被安打を徹底的に抑える」タイプ(BABIP .265 とかなり低い)で、ゴロ率も高いと予想される。ただし球種が極めて少なく、四死球が多くクイックに課題があるため、現時点では即戦力と呼ぶには物足りない。 (投球フォーム) セットポジションから足をほとんど上げず、サイド気味に低く投げ込んでくる独特のフォーム。 <広がる可能性> ☆☆☆(3.0) 足を高く上げず、早く着地する傾向にあるため、体の捻り出しスペースは限られる。大きなカーブやフォークなど「ひねり出す」変化球は投げにくい。横のキレと球速のある小さな変化を中心に伸ばしていくタイプだろう。スライダーのキレ自体は悪くないので、変化球に悪いわけではない。 <ボールの支配> ☆☆☆(3.0) グラブは最後まで内に抱えて遠心力を抑えているが、腕が大きく外旋して「ブン」と振るため、リリースのブレは残る。足の甲での押し込みも浅く、浮き上がろうとする力を完全に殺しきれていない。ただしサイドスローゆえに高めに抜けるリスクは少なく、球持ちも平均的。 <故障のリスク> ☆☆☆(3.0) お尻がやや落ちきらず、カーブ・フォーク系の負担は少ない。腕の振り自体に無理はないが、横振りの外旋が強いため肘・肩への負担はゼロではない。サイドスロー特有の思わぬ箇所へのダメージも、ゼロとは言い切れない。 <実戦的な術> ☆☆☆(3.0) 着地のタイミングは平均的だが、ボールの出どころは隠せている。腕の振りが強く打者が吊られやすいのはプラス。体重移動は前に乗り切るタイプではないが、手元までの球威はしっかりある。 (フォームのまとめ) 一般的なオーバーハンドの「4大動作」の理論は当てはまりにくいフォーム。ただし「開き」は抑えられており、横の角度を最大限に活かした投球スタイルは確立されている。将来的にも、この角度とスライダーをさらに磨く方向性が現実的だろう。 (最後に) 即戦力級の完成度はまだないが、被安打の少なさ(大学通算でイニング超え被安打を大幅に下回る)、横の角度による左打者への強さ、スライダーの空振り能力 はプロでも通用するポテンシャルを示している。FIP2.85、WHIP1.16という数字も、制球がもう少し改善すれば一気に跳ね上がる余地がある。 あとは新たな変化球の習得とクイックを身につければ、左キラーとして面白い存在になりうるだろう。現時点では☆(支配下級)とは言えないが、育成枠でならば面白い個性派ではないのだろうか。 (2025年 秋季リーグ戦) |