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| 鈴木 豪太(大阪商業大4年)投手 175/84 右/右 (東海大静岡翔洋出身) | |||||||||||
下級生の頃は「よくいる馬力で押すタイプのサイドハンド」だと思っていた。しかし4年春の投球を見ると、すでにかなり実戦的なピッチングができるレベルまで成長していただけに、ラストシーズンに肩を痛めてリタイアしてしまったのは本当に惜しまれる。 (投球内容) 4年春のリーグ戦成績 8試合登板 6勝1敗 防御率0.98(リーグ2位) → K/9 7.81(9回換算の奪三振率・まずまずの水準) → BB/9 1.63(9回換算の与四球率・抜群の制球力) → K/BB 4.80(三振と四球の比率・大学球界でも上位) → FIP 1.90前後(守備に左右されない失点期待値・防御率以上に優秀)
ストレート 140km/h〜140km/h台後半 ☆☆☆★(3.5) この手のサイドハンドにしては圧倒的な球速ではない。先発では常時140km/h〜中盤くらいが多く、勢いと球威は「適度にある」といった印象。それでも被安打率.170台と極めて低く、WHIP 0.80はリーグでも断トツ。ボール自体のスペック以上に「精度」で勝負できる投手であり、それが被安打の少なさと低FIPにも直結している。 横変化(カット・スライダー) ☆☆☆(3.0) 右打者には小さく逃げるカットボールでカウントを取り、曲がりの大きなスライダーも織り交ぜる。左打者に対してはまだ効果的に使えておらず、今後の課題。 縦変化(フォーク系) ☆☆☆☆(4.0) サイドハンドとしては異例の縦の落ち幅があり、4年春には明確に空振りを誘える武器に進化。これが左打者を苦にしない最大の理由であり、K/9 7.81という数字を支える原動力でもある。 緩急 ? 明確な緩い球は確認できなかった。球速差ではなく、速球と見極めの難しい変化球のコンビネーションで勝負するタイプ。 (投球のまとめ) 右打者には制球力で組み立てられるが決め手にやや欠ける。左打者にはカウント球がストレートに偏りがちだが、強烈な縦変化がカバー。防御率だけでなくFIPやWHIPも非常に優秀で、守備に左右されない「本物の投球内容」と言える。プロ入り後に両打者への対応力を上げられれば、一軍でも充分に通用する先発型サイドハンドになれる。 (フォーム分析) セットポジションから高く勢いよく足を上げ、リリーフ型の入り方。軸足一本立ちで膝から上がピンと伸び、力みが見られる。背中を丸めて独特のバランスを取っている。 広がる可能性 ☆☆(2.0) 重心を前に倒すときにお尻が一塁側に落ちづらく、典型的にはカーブやフォークには不向きなフォーム。ただし実際には縦変化が大きく落ちているため、この点はあまり気にする必要はない。着地も平均的で、大きな変化球よりも速い小さな変化が中心になるだろう。 ボールの支配 ☆☆☆☆(4.0) グラブを最後まで内に抱え、遠心力を抑え込めているため両サイドのコントロールが安定。足の甲で押し込むより深く沈んでリリースするため高めへのバラつきも少ない。球持ちも悪くない。 故障リスク ☆☆★(2.5) お尻が落ちないフォームの割にフォーク系を多用しており、肘への負担が懸念される。腕の振り自体は肩に優しそうに見えるが、4年秋に肩を痛めて全休した事実は重い。力投派というよりは「疲労が溜まりやすい体質」の可能性も。 実戦的な術 ☆☆☆(3.0) サイドハンドにしては出どころが早くなく、腕の振りの強さで打者を吊れる。ストレートの勢いがもう一伸びしないのは、重心を深く沈めすぎて体重移動が前に乗ってゆかないためか? 低め重視の制球を取るか、勢いを取るかで評価が分かれそう。 (フォーム総括) 「着地」と「体重移動」に改善余地があるが、それが逆に低めの制球を安定させている側面もある。制球を司る動作は優秀だが、肩痛で秋季リーグを全休した故障リスクは大きなマイナス。武器になる変化球の幅は限定的だが、すでに実戦的な縦変化を持っているため悲観は不要。 (最後に) 力でねじ伏せる力投派ではなく、コントロールと縦の変化を軸に丁寧に組み立てられる先発可能なサイドハンド。大学春季リーグでWHIP 0.80・FIP 1点台後半という驚異的な数字を残しており、数字的にも「実戦力の高さ」が裏付けられている。肩の故障さえ完治すれば、ソフトバンクの分厚い投手陣にも一年目から食い込んでいける実力がある。ぜひ万全の状態でプロのマウンドに立ってほしい。 蔵の評価:☆☆(中位指名級) (2025年春季リーグ戦) |