25dp-30
| 神宮 僚介(東農大北海道オホーツク) 投手 175/82 右/右 (桐生第一出身) | |
ナチュラルにシュートする独特の球筋を最大限に活かし、ピッチングを構築する 神宮 僚介 。今後の成長次第では、プロでも一軍で通用する戦力になり得る素材だと評価する。 (投球内容) 秋は北海道大会を勝ち上がり、神宮大会出場を果たした。立命館大戦に先発し、6回5安打3失点とまずまずの内容を残した。 ストレート 常時145km前後 ☆☆☆★ 3.5 以前観戦した際は140km前後という印象が強かったが、神宮大会では明らかに腕の振りが強くなり、ボールの勢い・威力が増していた。両サイドに散らすコントロールも安定しており、特に右打者内角に食い込むナチュラルシュートの軌道を活かした配球は見応えがあった。 横変化:スライダー ☆☆☆ 3.0 小さく横滑りするスライダー。カウントを整える役割は十分に果たすが、高めに浮くときがあり、空振りを奪う武器というよりは「ストライクゾーンに置く球」という印象。もう一皮剥ければ変わってくるだろう。 縦変化;フォーク ☆☆★ 2.5 140km前後でシンカーのように沈む変化。現時点では振ってもらえず、投球に占める割合も小さい。相手に強く意識させるレベルまで精度が上がれば、両サイドへのストレートにさらに厚みが出る。 緩急 ? 今回は緩いカーブやパーム系の球はほぼ確認できなかった。投球に奥行きが感じられない最大の要因は、この緩急の欠如にある。 その他 ☆☆☆★ 3.5 クイックは1.1~1.2秒と平均的だが、走者への目配り・牽制は鋭く、スタートを切りづらくさせている印象。タイミングを外すような投球術はまだ見られないが、両サイドいっぱいに投げ分ける精度はあり、外スラの精度を磨けば、より細かい出し入れも可能だろう。 (投球のまとめ) ナチュラルシュートの軌道と、強化されたストレートのキレが最大の武器。縦の変化の精度向上+緩急の習得ができれば、非常に面白い投手になる。現時点でも「素材としての魅力」は十分に感じられる。 (投球フォーム) セットポジションからゆっくり高く足を上げ、軸足一本で立った瞬間も膝から上がピンと伸びきらず、力みのないバランスの良い立ち方。 <広がる可能性> ☆☆★ 2.5 背中を前に倒しながら重心を下げるため、お尻の一塁側落ちが浅く、カーブや大きく落ちるフォークを投げるにはやや不向き。「着地」も平均的で、捻り出し時間は並。よって大きな曲がりよりも、高速でキレのある変化を中心に幅を広げるタイプ。 <ボールの支配> ☆☆☆☆ 4.0 グラブは最後まで内に抱え、遠心力を抑える動作が優秀。軸の安定感が高く、両サイドへのコントロールがブレにくい。足の甲での地面の捉えも悪くなく、高めに抜けにくい。しかしその要因は、むしろサイド気味の低い出どころと腕の振りにある。球持ちも悪くないため、将来的に微妙な出し入れで勝負できる可能性は高い。 <故障リスク> ☆☆☆ 3.0 お尻の落ちが浅い割にフォークを投げるため、今後フォーク依存が高まると肘への負担が増す懸念は残る。腕は外旋気味に強く振るが、力投型ではないので現時点では過度な心配は不要。 <実戦的な術> ☆☆☆ 3.0 ボールの出どころは隠せており、サイドスリークォーター系にありがちな「合わせ打ちされやすい」弱点は少ない。腕の振りが強く、打者が吊られやすい勢いがある。投げ終わりに三塁側へ流れやすいのは構造上仕方ない。球威でねじ伏せるより、キレと軌道で空振りを奪うタイプなのだろう。 (フォームのまとめ) 「着地」と「体重移動」は平均以下だが、これはサイド気味の前傾フォームの宿命で大幅な改善は難しい。逆に制球を司る動作は優秀で、故障リスクも並。武器となるの大きな変化球の習得は厳しそうだが、高速変化+ナチュラルシュートの軌道を最大限に活かすには適したフォームと言える。 (最後に) もう一歩、投球の幅(特に緩急と縦変化)が広がれば、両サイドを活かした投球がさらに生きてくる。センスは確かにあるし、阪神の投手育成力を考えれば、ここから化ける可能性は十分にある。 現状の総合力では本会議級(☆)の総合力とは言えないが、育成枠で獲って育てることができれば「当たり」になり得る素材。2025年ドラフトでの育成会議での指名は、可能性に賭けた正しい判断だったと評価したい。 (2025年 神宮大会観戦) |