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 髙木 快大(中京大3年)投手 180/77 右/右 (栄徳出身)
 




 「完成度ではNO.1





 現時点での総合・完成度の高さという意味では、25年度の候補でも屈指のものがある 髙木 快大 。果たして、どのような投手なのか考えてみたい。


(投球内容)

 
非常にオーソドックスなフォームから投げ込んでくる投手で、3年春のシーズンでは 4勝1敗、防御率 0.51(1位) を記録。リーグ戦では、完全試合も達成している。秋は、1勝2敗、防御率 1.90 と、やや調子を崩していた。

ストレート 140キロ~140キロ台後半 
☆☆☆★ 3.5

 打者を威圧するような球威や球速はないものの、
空振りを奪える質の良い真っ直ぐを投げ込んでくる。特に、右打者には両サイド低めに集める一方で、左打者にはややアバウトになりがちな傾向が見られ、ボールも外角高めに抜け気味に行くことも少なくない。

変化球 カーブ・スプリット 
☆☆☆★ 3.5

 パワーカーブのような、大きく縦に割れるカーブが、投球のアクセントになっている。また、落差こそ大きくないものの、縦に沈むスプリットを頻繁に使ってくる。絶好調だった春のリーグ戦でも、53回1/3イニングで36奪三振と、それほど三振をバシバシ奪う投球スタイルではない。

その他

 牽制は確認できなかったものの、クイックは1.1秒前後とまずまず。フィールディングの動きは良く、元々好投手タイプだけにマウンドさばきも洗練されている。


(投球のまとめ)

 凄みを感じさせる素材ではないので、ドラフトの目玉になれる素材かと言われると疑問が残る。しかし、即戦力として使える選手が欲しい球団にとっては、計算が立つだけに評価されやすいのではないだろうか? 良い状態で最終学年を迎えられるか、左打者への投球に改善が見られるかあたりが、チェックポイントとなりそうだ。






(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いはそれなりで、高さはそれほど高くはない。軸足一本で立った時には、膝から上がピンと伸びきるような力みは感じられないものの、全体のバランスとしては並ぐらいだろうか。

<広がる可能性> ☆☆☆☆ 4.0

 引き上げた足は比較的高いところでピンと伸ばされており、お尻の一塁側への落としができている。そのため、身体を捻り出すスペースは確保でき、カーブやフォークといった球を投げるのには無理は感じない。

 「着地」までも、前に上手く足は逃がせている。したがって、身体を捻り出す時間も確保できており、曲がりの大きな変化球の習得も期待できそうだ。実際に、独特のカーブに、スプリットを投球に多く織り交ぜてきている。

<ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5

 グラブは身体の近くにあり、外に逃げようとする遠心力を内に留めることができている。そのため軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつけやすい。しかし、実際は、左打者に対しては制球がアバウトになりやすい。足の甲での地面の捉えが短いので、そのへんが左打者外角への球が上ずりやすい原因を作っているのかもしれない。「球持ち」自体はまずまずで、指先の感覚は良さそうな投手には見える。

<故障のリスク> ☆☆★ 2.5

 お尻は落とせているので、カーブやフォークを投げても窮屈になることはなさそう。そういった意味では、肘への負担はそこまで大きくはないように見える。しかし、背中を後ろに傾けることによって、グラブを持っている肩は上がり、逆にグラブを持っていない肩は下がるような腕の送り出し。そのため、肩への負担は相当大きいように見える。けして力投派ではないので、そこまで疲労を溜めやすいということはないと思うのだが、秋の不調が、何処かが痛いことが原因ではないことを祈るのみだ。

<実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5

 「着地」までの粘りは作れているので、打者としてはオーソドックスなフォームでもそこまで合わせやすいわけではなさそう。しかし、ボールの出どころはそこまで隠せているわけではない。

 腕は振れているので悪くなさそうに見えるが、縦の変化ではあまり空振りが奪えていないのは確か。ボールへの体重乗せ具合は悪くないように見えるものの、ウェート含めてそこまであるわけではないので、打者の手元までの球威というよりも、ボールの回転である伸びで仕留めるタイプの投球になっている。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、若干「開き」が平凡かなという印象を受ける。足の甲での押し付けが短いことで、左打者には球が高めに集まりやすい。また、腕の送り出しに無理があるので、肩などへの負担は心配になる。フォーム的には、今後武器になるような変化球の習得は期待できそうだ。フォーム的には悪くはないが、そこまで技術的に完成度が高いわけではなさそうだ。


(最後に)

 現時点での完成度は、大学球界でも随一といえるほど。しかし、これだからプロで本当の意味で大活躍できるほどかと言われると、まだ微妙だと思わざるを得ない。順調であれば、プロでも開幕ローテーションの5、6本目にという期待は抱けるタイプ。しかし、二桁勝利を期待できるほどの、絶対的なものはまだ感じられない。まずは、ドラフト1位に相応しい選手なのかどうか? 最終学年のパフォーマンスで見極めて行きたい。


(2024年 春季リーグ戦)