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横山 永遠(青森中央学院大4年)投手 178/80 右/左 (八戸学院光星出身) 





 「思ったより力強かった」





 春季リーグ戦前に、巨人とのプロアマ交流戦で確認した 横山 永遠 。その時も最速148キロを記録していたが、真っ直ぐで圧倒するような力強さは感じられなかった。しかし、リーグ戦の模様を確認してみると、その時よりもボールに力が感じられた。


(投球内容)

最終学年での春・秋の成績は以下の通り。


投球回数
被安打
四死球 奪三振  防御率
67回1/3 58 23 50 2.81

 これらの成績から算出されるWHIP(イニングあたりの被安打と四球の合計数、投手のコントロールを示す指標)は1.20と優秀で、K/9(9イニングあたりの三振数、奪三振能力を示す指標)は6.68とまずまずの水準だ。一方、BB/9(9イニングあたりの四球数、コントロールの安定性を示す指標)は3.07と改善の余地がある。これにより、全体として安定した投球を支える基盤が確認できる。

ストレート: 140キロ~MAX150キロ
☆☆☆★(3.5)

 春先の巨人戦では、球速はある程度出るものの、
高めに浮いた速球を打ち返される場面が目立った。そのため、真っ直ぐはあくまで魅せ球で、変化球で打ち取るタイプだと思っていた。しかし、リーグ戦の投球を見ると、ボールはその時よりもワンランク勢いと球威が増しており、速球中心に押すことができていた。左打者相手には少しアバウトなところはあるが、右打者には外角中心にボールを集めている。時には、打者の内角を厳しく突く投球も見られた。

横変化(スライダー):
☆☆☆(3.0)

 横滑りスライダーで、適度にカウントを整えてくる。特に甘くなって狙い打たれるとか、真っ直ぐに比べて捉えられやすいといった印象は受けなかった。

縦変化(チェンジアップ・スプリットなど):
☆☆☆(3.0)

 まだ絶対的な落差はないが、カウントを整えたり、積極的に使ってくるなど、相手の的を絞らせない働きがある。もう少し縦の変化を振ってもらえたり、空振りが奪えるようになると、投球内容も大きく変わりそうだ。

緩急(カーブ):
☆☆☆(3.0)

 時々緩いカーブを織り交ぜ、カウントを整えてくる。投球のアクセントにはなり得ているのではないか。

その他

 クイックは1.0秒前後と高速だったが、走者に対する目配せなどはそれほどでもなかった。野手としても出場していたが、守備位置はDHなので詳細は不明。マウンドさばきは普通で、特に走者を出してもバタつく感じはなかった。細かい駆け引きをするというより、最後に
ビシッと良いところに決めて、見逃しの三振を奪う爽快感が魅力の投手だ。

(投球のまとめ)

 適度にボールに威力があって、変化球もそれなりに使えるレベルにある。ただし、まだ
突き抜けた武器や特徴はないので、プロでいかにそういったものを見出していけるかが鍵だ。そこで次は、投球フォームを分析して、この投手の可能性について考えてみたい。





(投球フォーム)

 セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さは並み。軸足一本で立った時には、膝がピンと伸び切ることなく、適度にバランスを保って立っていた。

広がる可能性:
☆☆☆★(3.5)

 引き上げた足をピンと伸ばす動作が乏しく、お尻の一塁側への落としに甘さを残す。それでも、カーブやフォークといった球種を投げられないほどではない。

 「着地」までの地面の捉えもそれなりで、適度に体を捻り出す時間を確保している。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、多彩な球種を操れる下地は持っている。

ボールの支配:
☆☆☆★(3.5)

 グラブは最後まで内に抱えられ、外に逃げようとする遠心力を内に留められている。多少左打者にアバウトなところはあるものの、両サイドに投げ分ける制球力はある。また、足の甲での地面の捉えもできており、ボールを浮き上がろうとする力も抑えられている。そのため高めに集まりやすいこともなく、球持ちは平均的だが抜け球もそれほど見られない。

故障のリスク:
☆☆☆★(3.5)

 お尻もある程度落としているので、カーブやフォークなどの球種を多投しない限り、そこまで窮屈になることもなさそうだ。腕の送り出しにも無理は感じられず、肩への負担も少なそう。力投派というわけでもないので、疲労を溜めやすいこともなさそうだ。

実戦的な術:
☆☆☆☆(4.0)

 「着地」までの粘りも適度に作れ、体の開きも抑えられている。そういった意味では、オーソドックスなフォームでも、そこまで合わせられやすいということはなさそうだ。それでいて、腕も強く振られているので、打者としては吊られて空振りが誘える。ボールにもある程度体重を乗せられてから投げられており、打者の手元までの強さも悪くない。

(フォームのまとめ)

 
フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、大きな欠点は見当たらない。制球を司る動作も悪くなく、故障のリスクも少なそうだ。今後、いかに武器になる球を見出していけるかが鍵ではないか。


(最後に)

 春先の巨人戦でも、終盤まで1失点と好投していた。ハムにしては珍しく、バランス・総合力タイプの獲得であり、ここからどういった個性を見出していけるかが大成への鍵となりそうだ。その実力の割には、地方リーグにしては防御率が平凡な点が気になるところで、どう総合力を引き上げていけるのか注視していきたい。また、リーグ戦では野手として出場。一塁までの塁間を3.9秒前後で駆け抜ける脚力はプロでも上位クラス。しかし、打撃に関しては同じ試合の中で前に出されて討ち取られるという場面を繰り返していたように、打力の弱さがネックとみて現時点では野手の才能は買っていない。投手としても、投球内容・フォームなどにも悪いところはなかったが、突き抜けたものがまだないことを考慮して、
(支配下級)の評価には至らなかった。ハムが、こういった選手をどう導くのか興味深い。


(2025年春 プロ・アマ交流戦)