25dp-2





島田 舜也(東洋大4年)投手 185/82 右/右 (木更津総合出身) 





 「ミット音は異質だった」





 全国のトップクラスの大学生が集う大学日本代表を決める平塚合宿。その中で、一人だけ重厚な速球で、明らかに異なるミットの音を響かせていたのが 島田 舜也 だ。春季リーグ戦開始前までは、大学No.1投手と評価していた彼だが、この春は不調に苦しみ、本来の投球ができずにいた。以下、彼の今春の投球を振り返る。


投球内容

 秋季リーグ戦で東都二部の最優秀防御率を獲得し、意気込んで臨んだ4年春のシーズンだったが、春先のオープン戦から明らかに調子を落としていた。しかし、シーズン終盤にはストレートの勢いを取り戻しつつあった。東都一部での成績は以下の通り。


成績表
項目
内容
登板試合
7試合
勝敗
4勝2敗
防御率
2.52
投球回
38回1/3
被安打
33
四死球
17(与四球12、与死球5)
奪三振
27
失点
11
被本塁打
3


ストレート:常時140km/h後半~150km/h中盤 評価:☆☆☆☆(4.0)

 小さなテイクバックから繰り出されるストレートは、適度な
角度と球威を備えている。時折高めに抜けることがあるものの、打者の内角を突いたり、膝下に鋭く決めることで見逃しの三振を奪う場面が多い。手元で伸びるような球質や鋭いキレはないため空振りを誘うのは難しいが、ファールを打たせてカウントを稼ぐことはできていた。

変化球:スライダー・チェンジアップなど 評価:
☆☆★(2.5)

 以前は小さく横に動くカットボールでカウントを整えていたが、今春はスライダーやチェンジアップを多用。しかし、これらの球は抜けたり曲がりが不十分で、結局
ストレートに頼らざるを得ない場面が目立った。元々空振りを誘う変化球は持ち合わせていないが、以前はカウントを整える役割を果たせていただけに、この点が今季の苦戦の最大の要因だったかもしれない。

その他

 クイックモーションは、昨年までの1.05~1.15秒から今季は1.2秒台とやや遅くなり、自分の「間」を重視しているようだ。牽制の技術は不明瞭だが、走者への目配せが不十分で、盗塁を仕掛けられやすい印象を受けた。フィールディングは落ち着いて処理できているが、微妙な投球術(ボールの出し入れや長く持つなど)は見られなかった。

投球のまとめ

 春先に比べ、ストレートの威力は回復傾向にある。一方で、変化球の制球が改善せず、ストレートに依存する投球が目立った。この課題は平塚合宿でも解消されていなかった。秋季リーグ戦で変化球の精度を取り戻せれば、ドラフト1位候補として確実視される存在になるだろう。



成績から考える今春のリーグ戦成績を以下に詳しく分析する。


項目
結果
基準達成状況
リーグ平均比較*
被安打率
86.1%(33安打/38.1回)
△(80%以下未達)
平均80%
四死球率
44.4%(17四死球/38.1回)
✕(33.3%以下未達)
平均30%
1イニングあたり奪三振
0.70個(27三振/38.1回)
△(0.8個以上未達)
平均0.83個
防御率
2.52
✕(1点台未達)
平均2.0
WHIP
1.31((33+12)/38.1)
-
平均1.2
FIP
3.85*
-
平均3.0
K/9
6.34(27三振/38.1回×9)
-
平均7.5
BB/9
2.82(12四球/38.1回×9)
-
平均2.5
BABIP
.296*
-
平均.300

*註:FIP、BABIP、リーグ平均値はデータ不足のため推定。FIPは[(13×HR + 3×(BB+HB) - 2×K)/IP + 3.2]で計算。

被安打率(86.1%):基準の80%以下を満たせず、被安打率はやや高め。ストレートに頼る配球が打者に狙いやすく、フォームが合わされやすかった可能性がある。BABIP(.296)はリーグ平均(推定.300)に近く、極端な不運による被安打増ではないが、変化球の精度不足で打者がストレートを待つ傾向が影響したと考えられる。

四死球率(44.4%):基準の33.3%以下を大幅に超え、制球に苦しんだ。BB/9(2.82)はリーグ平均(推定2.5)と比べやや悪く、昨秋の二部リーグ(四死球率19.0%)から大幅に悪化した。フォームの崩れや変化球(スライダー、チェンジアップ)の制球難が主因か。

1イニングあたり奪三振(0.70個):基準の0.8個に届かず、K/9(6.34)もリーグ平均(推定7.5)に及ばない。ストレートは球威型で空振りを誘いにくく、変化球も空振り率が低い(レポートで「空振りを誘う変化球はない」と指摘)。スライダーやチェンジアップのキレ向上が課題。

防御率(2.52):基準の1点台に遠く、昨秋の二部リーグ(0.64)と比べ安定感に欠けた。FIP(3.85)は防御率(2.52)より高く、守備の好サポートや運に助けられた可能性を示唆。ただし、FIPがリーグ平均(推定3.0)より悪い点は、被本塁打(3本)と四死球(17)の多さが影響。

WHIP(1.31):1イニングあたり1.31人の走者を許し、リーグ平均(推定1.2)にやや劣る。ストレートの球威は強力だが、変化球の精度不足でカウントを整えられず、打者有利のカウントで被安打や四球を増やした可能性がある。

セイバーメトリクスからわかること

ストレート依存のリスク:レポートで指摘されるストレート依存は、BABIPやWHIPの高さに表れている。変化球の投球割合が増え、変化球の精度が向上すれば、打者の狙いを分散させ、被安打率やWHIPを改善できる。

制球力の課題
:BB/9(2.82)と四死球率(44.4%)の高さは、変化球の制球難が主因。昨秋の低四死球率(19.0%)に戻せれば、FIPや防御率の改善が見込める。

奪三振力の限界:K/9(6.34)の低さは、空振りを誘う変化球の不足が顕著。スライダーやチェンジアップの回転数や軌道の改良が、奪三振率向上の鍵。

総合評価:FIP(3.85)が防御率より高い点は、島田の投球が守備や運に助けられた面があることを示す。ただし、ストレートの球威(140km/h後半~150km/h中盤)はNPBでも通用する武器であり、変化球の精度向上があれば、WHIPやFIPをリーグ上位レベル(例:WHIP1.0以下、FIP2.5程度)に引き上げられる可能性がある。

改善に向けて

 昨秋の状態(低四死球率、防御率0.64)を取り戻すことが第一。具体的には、変化球の制球を高め、投球割合を増やしてストレート依存を減らすこと。セイバーメトリクス的に見ても、BB/9を2.0以下、K/9を7.5以上に引き上げられれば、ドラフト上位候補としての評価が確実になるだろう。プロでは、1年目から即戦力とは言い難いが、変化球の改良次第で先発ローテーション入りが期待できる。


最後に

 春のオープン戦やリーグ戦序盤は明らかに不調だったが、シーズン終盤や平塚合宿ではストレートの破格の威力を示すまでに回復。あとは変化球の制球改善が課題だ。秋季リーグ戦までにこれを克服できれば、ドラフト1位の12人に名を連ねるのは間違いないだろう。スペックは確かなので、実戦力を取り戻せれば、NPBでも異彩を放つ先発投手になれる可能性がある。しかし現時点では、やや控えめな評価に留めたい。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2025年 春季リーグ戦)


 






島田 舜也(東洋大3年)投手 185/86 右/右 (木更津総合出身





 「大学NO.1は、この投手」





 3年秋の時点で、全国で総合力NO.1の大学生投手は、この 島田 舜也 と見ている。いかにも正統派の右投手といった感じで、総合力に優れている。


(投球内容)

 3年秋のリーグ戦での成績は、
5勝1敗、42回、28安打、6四死球、33三振、防御率0.64(2部1位) と、自己キャリアハイの成績をおさめた。また、入れ替え戦の初戦に先発し、春からは1部復帰への原動力となった。

ストレート

常時150キロ前後~150キロ台中盤 
☆☆☆☆ 4.0

 
適度な球威や角度を感じさせる球で、ボール自体の勢いや威力にも確かなものがある。両サイドへの投げ分けは確かだが、全体的に球筋が真ん中~高めに集まることが多い。しかし、時々アウトローにズバッと決まったり、左打者の内角を投げ込み、手も足も出ないようなボールを投げ込むことができる。

変化球 カットボール・スライダー・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 小さく横にズレるカット系の球やスプリットのようなチェンジアップを多く織り交ぜてくる。それほど打者の空振りを誘うような変化球ではないが、効果的に交えられている。

その他

 クイックは、1.05~1.15秒とそれなり。牽制はよくわからなかったが、フィールディングも落ち着いてボールを処理できていた。まだ「間」を使ってとか、微妙な出し入れをするといった投球術ではない。ちょっとランナーを背負うと、安易にストライクを取り過ぎかなと思える部分もあったが、それほどバタつくといった不安定さはなかった。

(投球のまとめ)

 コンスタントに150キロ台を刻める真っ直ぐの威力に加え、変化球や制球力も悪くない。何か突出したものがあるかと言われると疑問だが、
総合力の高い投手との印象を受ける。どちらかというと素材型が目立つ25年度のドラフト戦線においては、確かな実力と実績を兼ね備えた逸材だと言えよう。




(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみよう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりです。そういった意味では、意外に「間」を活かした先発型というよりも、
リリーフでの適性の方が高いのかもしれません。軸足の膝が真上に伸び切るほどではないのですが、あまり膝に余裕は感じません。それでも、全体的にはバランスよく立ててはいます。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足は地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。そのため、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種が投げられないことはないと思いますが、その変化は鈍くなりがちかもしれません。

 「着地」までの地面の捉えも平凡なので、身体を捻り出す時間も並ぐらい。こうなると曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないでしょうか。

<球の行方> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつきやすい。むしろ気になるのは、足の甲の地面の捉えが浮きがちで、力を入れて投げるとボールが高めに集まりやすいこと。「球持ち」も並で押し込めていないのは気になるが、指先の感覚は悪くないようには見えた。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すが、カーブやフォークといった球種を使ってくるわけでもなさそうで、それほど窮屈になる機会は少なそうです。むしろ、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるといった送り出しで、
肩への負担はそれなりにあるのではないでしょうか。ただし、それほど力投派でもないので、疲労は溜めやすいということはなさそうです。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りが平凡で、
ボールの出どころも少し早い。そのため、球速ほどは苦にならないフォームではないのでしょうか。腕の振り自体は良いのですが、ボールの出どころが見やすいことで、打者は吊られにくい。またボールにしっかり体重が乗る前にリリースしている感じで、打者の手元まで威力は、もっと良くなるのではないでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、各動作に物足りなさを残しており、改善の余地がそれぞれ残っています。制球を司る動作では、足の甲の押し付けの浅さから高めに集まりやすい球筋。腕の送り出しからは、肩への負担が大きいそうなこと。将来的に、
武器になるほどの変化球を見出だせるのか? といった不安は残ります。別の言い方をすれば、まだこれだけ未完成なのに、これだけのパフォーマンスができるというのは、伸び代を多く残しているとも判断できるのです。リスキーな素材ではあるが、さらに良くなる可能性も秘めています。


(最後に)

 3年秋までのパフォーマンスを見る限り、
ボールの力&実戦力を兼ね備えた数少ない候補といった気がしました。その一方で、フォームなどを分析すると、けして完成された素材ではなく、むしろ素材型の域を脱していないとも言えます。それだけに、今後の導き方次第では、もっともっと良い投手になって行けるかもしれないという期待が膨らみます。最終学年でどこまでパフォーマンスを高めて行けるのか? ぜひ、見届けてみたいです。


(2024年秋 東都入れ替え戦)