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島田 舜也(東洋大3年)投手 185/86 右/右 (木更津総合出身





 「大学NO.1は、この投手」





 3年秋の時点で、全国で総合力NO.1の大学生投手は、この 島田 舜也 と見ている。いかにも正統派の右投手といった感じで、総合力に優れている。


(投球内容)

 3年秋のリーグ戦での成績は、
5勝1敗、42回、28安打、6四死球、33三振、防御率0.64(2部1位) と、自己キャリアハイの成績をおさめた。また、入れ替え戦の初戦に先発し、春からは1部復帰への原動力となった。

ストレート

常時150キロ前後~150キロ台中盤 
☆☆☆☆ 4.0

 
適度な球威や角度を感じさせる球で、ボール自体の勢いや威力にも確かなものがある。両サイドへの投げ分けは確かだが、全体的に球筋が真ん中~高めに集まることが多い。しかし、時々アウトローにズバッと決まったり、左打者の内角を投げ込み、手も足も出ないようなボールを投げ込むことができる。

変化球 カットボール・スライダー・チェンジアップなど 
☆☆☆★ 3.5

 小さく横にズレるカット系の球やスプリットのようなチェンジアップを多く織り交ぜてくる。それほど打者の空振りを誘うような変化球ではないが、効果的に交えられている。

その他

 クイックは、1.05~1.15秒とそれなり。牽制はよくわからなかったが、フィールディングも落ち着いてボールを処理できていた。まだ「間」を使ってとか、微妙な出し入れをするといった投球術ではない。ちょっとランナーを背負うと、安易にストライクを取り過ぎかなと思える部分もあったが、それほどバタつくといった不安定さはなかった。

(投球のまとめ)

 コンスタントに150キロ台を刻める真っ直ぐの威力に加え、変化球や制球力も悪くない。何か突出したものがあるかと言われると疑問だが、
総合力の高い投手との印象を受ける。どちらかというと素材型が目立つ25年度のドラフト戦線においては、確かな実力と実績を兼ね備えた逸材だと言えよう。




(投球フォーム)

 今度はフォームの観点から、今後の可能性について考えてみよう。セットポジションから、足を引き上げる勢いや高さはそれなりです。そういった意味では、意外に「間」を活かした先発型というよりも、
リリーフでの適性の方が高いのかもしれません。軸足の膝が真上に伸び切るほどではないのですが、あまり膝に余裕は感じません。それでも、全体的にはバランスよく立ててはいます。

<広がる可能性> 
☆☆☆ 3.0

 引き上げた足は地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としには甘さを残します。そのため、カーブやフォークといった捻り出して投げる球種が投げられないことはないと思いますが、その変化は鈍くなりがちかもしれません。

 「着地」までの地面の捉えも平凡なので、身体を捻り出す時間も並ぐらい。こうなると曲がりの大きな変化球よりも、球速のある小さな変化を中心に投球の幅を広げてゆくことになるのではないでしょうか。

<球の行方> 
☆☆☆ 3.0

 
グラブは最後まで内に抱えられており、外に逃げようとする遠心力を内に留めている。そのため軸はブレにくく、両サイドへのコントロールはつきやすい。むしろ気になるのは、足の甲の地面の捉えが浮きがちで、力を入れて投げるとボールが高めに集まりやすいこと。「球持ち」も並で押し込めていないのは気になるが、指先の感覚は悪くないようには見えた。

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すが、カーブやフォークといった球種を使ってくるわけでもなさそうで、それほど窮屈になる機会は少なそうです。むしろ、ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるといった送り出しで、
肩への負担はそれなりにあるのではないでしょうか。ただし、それほど力投派でもないので、疲労は溜めやすいということはなさそうです。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りが平凡で、
ボールの出どころも少し早い。そのため、球速ほどは苦にならないフォームではないのでしょうか。腕の振り自体は良いのですが、ボールの出どころが見やすいことで、打者は吊られにくい。またボールにしっかり体重が乗る前にリリースしている感じで、打者の手元まで威力は、もっと良くなるのではないでしょうか。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、各動作に物足りなさを残しており、改善の余地がそれぞれ残っています。制球を司る動作では、足の甲の押し付けの浅さから高めに集まりやすい球筋。腕の送り出しからは、肩への負担が大きいそうなこと。将来的に、
武器になるほどの変化球を見出だせるのか? といった不安は残ります。別の言い方をすれば、まだこれだけ未完成なのに、これだけのパフォーマンスができるというのは、伸び代を多く残しているとも判断できるのです。リスキーな素材ではあるが、さらに良くなる可能性も秘めています。


(最後に)

 3年秋までのパフォーマンスを見る限り、
ボールの力&実戦力を兼ね備えた数少ない候補といった気がしました。その一方で、フォームなどを分析すると、けして完成された素材ではなく、むしろ素材型の域を脱していないとも言えます。それだけに、今後の導き方次第では、もっともっと良い投手になって行けるかもしれないという期待が膨らみます。最終学年でどこまでパフォーマンスを高めて行けるのか? ぜひ、見届けてみたいです。


(2024年秋 東都入れ替え戦)