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堀越 啓太(東北福祉大4年)投手 184/86 右/右 (花咲徳栄出身) 





 「大学選手権では一番だった」





 2025年全日本大学選手権で輝いた4年生投手の中でも、堀越 啓太 のボールは特に際立っていた。抜群の球威と制球の課題を抱えるこの右腕の将来像を、投球内容と成績から考察してみた。


投球内容

 大学日本一に輝いた東北福祉大において、堀越の登板は東日本国際大戦での先発1試合に限定された。この試合では、
6回を投げ、5安打、10奪三振、3四死球、0失点 と、優れた内容を示した。しかし、チーム内での信頼度は、起用法から推測するに主力投手としてはやや低かった。これは、今春のリーグ戦での内容(防御率 5.06)が冴えなかったことが要因だと考えられる。

ストレート 常時150キロ前後~MAX154キロ
☆☆☆☆ 4.0

 独特なフォームから繰り出されるストレートは、打者が捉える前に
ミットに収まるスピード感が特徴。適度な勢いと鋭い球威を兼ね備え、2025年の4年生投手候補の中でもトップクラスの質を誇る。外角に集める制球力を見せるが、立ち上がりに力みから高めに浮く球が多く、先頭打者に四球を与える場面が課題だ。しかし、イニングが進むにつれて制球が安定し、四死球が減少する傾向にある。

変化球 カットボール・スライダー・フォーク
☆☆☆★ 3.5

 変化球は、カットボール(130キロ台後半)、スライダー(120キロ台後半)、フォーク(130キロ台後半)を軸に構成。カットボールは手元で小さく鋭く曲がり、カウントを整える主武器。スライダーは横に大きく曲がりながら沈む軌道で、追い込む際に有効。近年はフォークを積極的に取り入れ、投球の幅が広がったが、ボールが見やすいフォームが影響してか? 空振りを誘う精度には至っていない。

その他

 クイックモーションは1.05秒前後と基準以上でで、ベースカバーにも素早く対応。牽制は確認できなかったが、走者への目配せは的確で、フォームが盗まれるリスクは低い。マウンド上では落ち着いた姿勢を保ち、走者を背負っても動揺せず堂々とした投球を展開する。

投球のまとめ

 縦の変化球の割合が増えたことにより、投球の一辺倒さが軽減され、打者を翻弄する幅が広がった。立ち上がりの制球不安は課題だが、初回を乗り切れば安定した投球を披露する。以前は常にクイックモーションで投げていたが、現在は
体重をしっかり乗せたフォームに改良。腕の振りも外旋の強い動きからオーソドックスなものに変わりつつあり、投球が一辺倒になるのが改善されてきている。これらの改良が投球の質を高め、ボール自体のポテンシャルはドラフト上位候補にふさわしい。



成績から考える

 2025年春のリーグ戦では登板が5回1/3に限られた。そのため今回は、リーグ戦と大学選手権の合算成績(5試合、11回1/3、9安打、4四死球、16奪三振、3失点、防御率2.38)を基に、セーバーメトリクス指標も加味して評価する。

被本塁打はデータ不足のため0と仮定し、大学リーグ平均(推定:WHIP 1.30、K/9 8.0、BB/9 3.0、FIP 3.50)を参照。

評価項目
基準
実績
評価
被安打率
投球回数の80%以下
79.4%
四死球率
投球回数の33.3%以下
35.3% (BB/9 3.2)
1イニングあたり奪三振
0.8個以上
1.41個 (K/9 12.7)
防御率
1点台以内
2.38 (通算1.37)
WHIP
1.20以下
1.15
FIP
防御率と同等以下
2.50 (推定)


1. 被安打率:投球回数の80%以下 ◯

 被安打率79.4%(9安打/11.33回)は基準をクリア。フォーム改良による投球の安定感と、フォークを絡めた配球で打者の的を絞らせなかった。

2. 四死球率:投球回数の33.3%以下 △

 四死球率35.3%(BB/9 3.2、4四死球/11.33回)は基準をわずかに超え、大学平均(BB/9 3.0)と同等。立ち上がりの先頭打者への四球が課題だが、イニングが進むと制球が安定する。

3. 1イニングあたり奪三振:0.8個以上 ◎

 K/9 12.7(16奪三振×9/11.33回)は大学平均(推定8.0)を大きく上回る。ストレートとカットボールの高い空振りを誘発力が支配力を裏付け。このボールの威力は、プロでも充分に通用するだけのポテンシャルを示す。

4. 防御率:1点台以内 △

 春季リーグ戦の防御率5.06は振るわなかったが、4年間通算1.37(2シーズンで0.00)はリリーフでの安定感を反映。

5. WHIP「走者をどれだけ出さないか」:1.20以下 ◯

 WHIP 1.15((9安打+4四死球)/11.33回)は大学平均(推定1.30)を下回り、立ち上がりの四球を減らせば、WHIP 1.0以下も可能となる。

6. FIP(投手のコントロール可能な要素):防御率と同等以下 ◯

 FIP 2.50(推定、被本塁打0、定数3.2。高いK/9(9イニングあたりに奪った三振数)が12.7と低い被本塁打率(推定0%)がFIPを下げる要因に。大学平均FIP(推定3.50)より優れ、潜在能力の高さを示す。

成績からわかること

 セーバーメトリクス指標から、堀越の奪三振能力(K/9 12.7)と投手効率(WHIP 1.15、FIP 2.50)は大学トップクラスで、ストレートとカットボールの支配力が際立つ。反面、BB/9 (制球力を示す指標)が3.2と立ち上がりの四死球率は制球力の課題を裏付け。特にフォークの空振り率が低い。しかし、FIPの低さから真の能力は高い。制球力(BB/9を2.5以下へ)と
フォークの精度向上がプロでの飛躍の鍵となる。


結論

 堀越は課題が多いが、ストレートの質と奪三振能力はプロでも即戦力級。制球の粗さや調子の波が懸念されるが、昨年の篠木健太郎(法政大-DeNA2位)と投球の感じは似ている。プロでは、入団後しばらくは短いイニングを全力で投げるリリーフでの起用が想定される。しかし、大学選手権での先発での好投を見ると、実は先発の方が向いているのかもしれない。

 いずれにしても、BB/9(制球力を示す指標)を2.5以下に改善できれば、1~2年で主力リリーフとして活躍可能。ドラフトでは、ハズレ1位~2位あたりでの指名が予想される。ボールの威力は2025年候補の中でもトップクラスで、課題克服次第で主力級の可能性を秘めている。


蔵の評価:
☆☆☆(上位指名級)


(2025年 大学選手権)


 








堀越 啓太(東北福祉大3年) 投手 184/96 右/右 (花咲徳栄出身)





 「ボールの威力はNO.1」





 150キロ台中盤を安定出せるスピール能力に加え、鋭い変化球を持ち合わせる 堀越 啓太 。今年のドラフト候補の中でも、現時点でボールの威力では屈指のものを持っていると言えるのではないのだろうか。


(投球内容)

 この秋のリーグ戦では、
12回 2安 3四死 18三 防 0.00 と圧倒的な成績だった。しかし、この数字ほど見ていて安心して見ていられる投手ではない。

ストレート 常時150キロ前後~150キロ台中盤 
☆☆☆☆★ 4.5

 
真っ直ぐの球速・勢いは、この世代でも屈指の存在。その一方で、ボールは枠の中で散っているという感じで、細かく投げ分けは見られない。四死球は少ないが、平常心を保てないと四死球も連発してしまう危うさも。余裕を持って投げられるリーグ戦ではなく、本当の意味でプレッシャーのかかる全国大会や代表での登板時に、どんな投球を魅せるのか気にしてみたい。

変化球 スライダー・フォーク? 
☆☆☆ 3.0

 曲がりの鋭いスライダーとのコンビネーションで、基本的に頼れる変化球はこの球しかなく、
単調な印象を受けます。結構、縦の変化球も投げてくるのですが、まだその精度や落差は発展途上であり、この球が良くなってくると手がつけられなくなってきそう。ただし、変化球でもしっかりカウントを整えられるわけではないので、制球が定まらないと試合を壊してしまう危うさも秘めている。

その他

 クィックのタイムは、1.1秒前後とそれなり。走者にはしっかり目配せをするなど、ランナーを出しても落ち着いては投げられていました。フィールディングや牽制に関しては、今回よくわからなかったので、今後の宿題としたいと思います。

(投球のまとめ)

 真っ直ぐの勢い・球速は破格なものの、制球の粗さや
合わされやすいフォーム。それ故に現時点では、そこまで見ていても絶対的なものは感じられない。その辺を、何処まで払拭できるかが、この一年の鍵になるのではないのだろうか? 現時点では上位候補であるのは間違いないが、即戦力となりうるかは懐疑的な見方をしている。





(投球フォーム)

 セットポジションから、軸足に体重を乗せる前に重心を沈めて来る、クィック投法で投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としは甘めになっています。そのため、身体を捻り出すスペースは充分ではなく、カーブやフォークを投げられないほどではないですが、その変化は鈍くなりやすいのでは?

 前に大きく伸ばし「着地」できているので、身体を捻り出す時間はそれなり。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、スライダーやチェンジアップなどの変化球のキレ・曲がりは悪くない可能性はあります。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドの制球はつきやすいように見える。しかし、
腕が外旋してブンと振られるので、両サイドのコントロールにも乱れが生じやすいのでは?

 
足の甲での地面の捉えは浮いてしまっているので、浮き上がろうとする力は抑えられていない。そのため、力を入れて投げようとすると、ボールが抜けたり、高めに浮きやすい。「球持ち」でも、ボールを押し込めていないのもあり、ボールが抜けたり制御し難いのではないのだろうか?

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、現状カーブやフォークなども滅多に投げていないようなので、窮屈になる機会は少なそう。そういった意味では、肘などへの負担は少ないのでは?

 ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるといったことはないものの、かなり腕が外旋して振られているので、それなりには肩への負担は感じられる。最近は随分と落ち着いて投げられるようにはなってきたが、力んで投げることもあるので、疲労が溜まり難いとは言えなそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りは悪くないものの、
ボールの出どころはやや見やすい感じ。そのため、打者としては球速ほどは苦にならないフォームではないのだろうか。腕は適度に振られていて悪くないのだが、ボールが見やすいことで、その効果は限定的。体重が乗り切る前にリリースしている印象で、まだまだ打者の手元までの勢いといった意味では、物足りないものを残している。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「着地」以外の部分には課題を残している。制球を司る動作では、足の甲が浮いてしまい高低の制球に課題を残す。故障のリスクは平均的で、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかも微妙な感じはする。リスキーとは言えないものの、実戦的なフォームだとは言えなそうだ。


(最後に)

 確かに破格の球速の持ち主ではあるものの、けして完成度の高い素材ではない。それだけに付け入る隙もまだまだ残し、別の言い方をすれば伸び代を多く残しているとも言える。この辺が、一年の間にどのぐらい改善できるか? 見守りたいところではある。現時点では、1位候補の一人ではあるものの、1位指名が確実かどうかは、春季以降の内容次第ではないのだろうか?


(2024年 松山合宿)