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堀越 啓太(東北福祉大3年) 投手 184/96 右/右 (花咲徳栄出身)





 「ボールの威力はNO.1」





 150キロ台中盤を安定出せるスピール能力に加え、鋭い変化球を持ち合わせる 堀越 啓太 。今年のドラフト候補の中でも、現時点でボールの威力では屈指のものを持っていると言えるのではないのだろうか。


(投球内容)

 この秋のリーグ戦では、
12回 2安 3四死 18三 防 0.00 と圧倒的な成績だった。しかし、この数字ほど見ていて安心して見ていられる投手ではない。

ストレート 常時150キロ前後~150キロ台中盤 
☆☆☆☆★ 4.5

 
真っ直ぐの球速・勢いは、この世代でも屈指の存在。その一方で、ボールは枠の中で散っているという感じで、細かく投げ分けは見られない。四死球は少ないが、平常心を保てないと四死球も連発してしまう危うさも。余裕を持って投げられるリーグ戦ではなく、本当の意味でプレッシャーのかかる全国大会や代表での登板時に、どんな投球を魅せるのか気にしてみたい。

変化球 スライダー・フォーク? 
☆☆☆ 3.0

 曲がりの鋭いスライダーとのコンビネーションで、基本的に頼れる変化球はこの球しかなく、
単調な印象を受けます。結構、縦の変化球も投げてくるのですが、まだその精度や落差は発展途上であり、この球が良くなってくると手がつけられなくなってきそう。ただし、変化球でもしっかりカウントを整えられるわけではないので、制球が定まらないと試合を壊してしまう危うさも秘めている。

その他

 クィックのタイムは、1.1秒前後とそれなり。走者にはしっかり目配せをするなど、ランナーを出しても落ち着いては投げられていました。フィールディングや牽制に関しては、今回よくわからなかったので、今後の宿題としたいと思います。

(投球のまとめ)

 真っ直ぐの勢い・球速は破格なものの、制球の粗さや
合わされやすいフォーム。それ故に現時点では、そこまで見ていても絶対的なものは感じられない。その辺を、何処まで払拭できるかが、この一年の鍵になるのではないのだろうか? 現時点では上位候補であるのは間違いないが、即戦力となりうるかは懐疑的な見方をしている。





(投球フォーム)

 セットポジションから、軸足に体重を乗せる前に重心を沈めて来る、クィック投法で投げ込んできます。

<広がる可能性> 
☆☆☆★ 3.5

 引き上げた足を地面に向けて伸ばしがちなので、お尻の一塁側への落としは甘めになっています。そのため、身体を捻り出すスペースは充分ではなく、カーブやフォークを投げられないほどではないですが、その変化は鈍くなりやすいのでは?

 前に大きく伸ばし「着地」できているので、身体を捻り出す時間はそれなり。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙ですが、スライダーやチェンジアップなどの変化球のキレ・曲がりは悪くない可能性はあります。

<ボールの支配> 
☆☆★ 2.5

 グラブは最後まで内に抱えられているので、外に逃げようとする遠心力は内に留めることができている。したがって軸はブレ難く、両サイドの制球はつきやすいように見える。しかし、
腕が外旋してブンと振られるので、両サイドのコントロールにも乱れが生じやすいのでは?

 
足の甲での地面の捉えは浮いてしまっているので、浮き上がろうとする力は抑えられていない。そのため、力を入れて投げようとすると、ボールが抜けたり、高めに浮きやすい。「球持ち」でも、ボールを押し込めていないのもあり、ボールが抜けたり制御し難いのではないのだろうか?

<故障のリスク> 
☆☆☆ 3.0

 お尻の落としに甘さは残すものの、現状カーブやフォークなども滅多に投げていないようなので、窮屈になる機会は少なそう。そういった意味では、肘などへの負担は少ないのでは?

 ボールを持っている肩が上がり、グラブを持っている肩が下がるといったことはないものの、かなり腕が外旋して振られているので、それなりには肩への負担は感じられる。最近は随分と落ち着いて投げられるようにはなってきたが、力んで投げることもあるので、疲労が溜まり難いとは言えなそうだ。

<実戦的な術> 
☆☆★ 2.5

 「着地」までの粘りは悪くないものの、
ボールの出どころはやや見やすい感じ。そのため、打者としては球速ほどは苦にならないフォームではないのだろうか。腕は適度に振られていて悪くないのだが、ボールが見やすいことで、その効果は限定的。体重が乗り切る前にリリースしている印象で、まだまだ打者の手元までの勢いといった意味では、物足りないものを残している。

(フォームのまとめ)

 フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、
「着地」以外の部分には課題を残している。制球を司る動作では、足の甲が浮いてしまい高低の制球に課題を残す。故障のリスクは平均的で、将来的に武器になるほどの変化球を習得できるかも微妙な感じはする。リスキーとは言えないものの、実戦的なフォームだとは言えなそうだ。


(最後に)

 確かに破格の球速の持ち主ではあるものの、けして完成度の高い素材ではない。それだけに付け入る隙もまだまだ残し、別の言い方をすれば伸び代を多く残しているとも言える。この辺が、一年の間にどのぐらい改善できるか? 見守りたいところではある。現時点では、1位候補の一人ではあるものの、1位指名が確実かどうかは、春季以降の内容次第ではないのだろうか?


(2024年 松山合宿)