25SY-16
| 三上 愛介(21歳・愛媛MP)右翼 172/73 右/左 (済美出身) | |||||||||||||||||||
観戦した試合では、脚力や守備での見せ場がなく、正直「この選手の売りは何だろう?」という印象だった 三上 愛介。しかし、その後に複数の試合映像を確認していく中で、彼が「走塁センス」と「強肩」を最大の武器とする選手であることがはっきりわかってきた。 走塁面:☆☆☆★ 3.5 何試合か計測してみたが、一塁到達タイムは左打席から4.2秒前後と、ドラフト候補としてはやや物足りない数字だった。実際にアイランドリーグ入りから2年間は盗塁数も目立たず、走塁で際立つ成績を残せていなかった。しかし3年目の今季は67試合で43盗塁をマークした。純粋な「足の速さ」ではなく、スタートの読みと状況判断に優れた「走塁センス」が最大の武器だ。 守備面:☆☆☆★ 3.5 打球反応、落下点への入り方、キャッチングなどを見ても「可もなく不可もなく」という無難な外野手の印象が強い。ただ、彼の最大の売りは紛れもなく「強肩」である。この肩の強さこそが、NPBでも十分に通用する武器になる部分ではないか。 純粋な脚力や守備範囲は平均的だが、盗塁センスの高さと強肩を送りやすく活かせる送球こそが、彼がドラフト指名された最大の理由だと考えられる。 (打撃内容) 高卒でアイランドリーグ入りした当初の2年間は打撃に明らかな弱さが残っていた。しかし3年目の今季は打率.295まで成長し、ネックだった打力の課題を大きく解消。結果として指名に繋がった形だ。 2025年 アイランドリーグ成績
セイバー補足(3指標) ・出塁率(OBP)=.416 ← 四死球が多く、打席での我慢強さが光る ・長打率(SLG)=.364 ← パワーはないが、三塁打4本で足を活かした長打を稼いでいる ・OPS(出塁率+長打率)=.780 ← アイランドリーグでは上位クラスに入る総合生産力 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左打席で軽く足を引いてかかとを浮かせ、グリップは低めに添える構え。腰の据わりや両目でしっかり前を見据える姿勢は良く、全体のバランスは平均以上。打席内でのリラックス感も好印象だ。 <仕掛け> 早め 投手の重心が沈むタイミングで動き出す「早めの仕掛け」を採用。対応力を重視するアベレージヒッターに多く見られる始動タイミングである。 <足の運び> ☆☆☆☆ 4.0 足を上げてからしっかり回し込み、真っ直ぐ踏み出す。始動から着地までの「間」が適度に取れており、速球・変化球への対応がしやすい。踏み込んだ前足がインパクトの局面でブレないため、開きを我慢でき、低めや逃げる球にも食らいつける。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 トップは早く作れているが、ボールを呼び込む際にグリップが少し上がるヒッチが見られる。本人なりのタイミングの取り方だろうが、NPBの一軍投手の速球に対して差し込まれる要因になる可能性はある。 ただ、バットの入れ方は非常に良く、ロスが少ない。内角球をさばくのは問題なさそうだが、インサイド・アウトでボールを捉えるのは上手いが、バットのしなりを活かしたスイングではないので、外角の強い球をはじき返せるかが鍵になる。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 足の上げ下げが静かで目線のブレが少なく、体の開きもよく我慢できている。軸足の形も崩れにくい。 (打撃のまとめ) 出塁率.416はリーグでも上位に食い込む数字で、四死球をしっかり稼げる我慢強さが大きなプラス。反面、長打率.364とパワーは控えめで、総合指標のOPSも.780と「優秀だが突出はしていない」水準。ヒッチの癖と遠心力を強く使わないスイングのため、NPBレベルの球速・球威への対応力が最大の課題になる。技術的にはかなり完成されており、大幅に直すところはほとんどない。二軍レベルなら即戦力としてすぐに試合に出られるだろう。 (最後に) 強肩と積極果敢な走塁でアピールしつつ、打撃がどこまでNPBの投手に対応できるか。それさえクリアできれば、支配下登録から一軍定着への道も早いかもしれない。ただ、実際に最初にチェックした試合で、は正直「特徴が掴めない」選手だったのも事実。自分の目で感じたその感覚を重視し、総合評価としては「本会議級(☆)」は控えたいと思う。見た目の派手さはないが、実戦で使い続けることで持ち味がどんどん出てくるタイプ。まさに「使って伸びる」選手ではないだろうか。 (2025年 四国アイランドリーグplus) |