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嶋村 麟士朗(21歳・高知FD)捕手 175/95 右/左 (高知商-福岡工大中退)





 「打撃の好い捕手」





 所属する高知ファイティングドッグスでは、4番・捕手という難しい役どころをこなした 嶋村 麟士朗 。在籍2年目にして、大幅に成績を伸ばし、悲願のプロ入りを実現した。


(ディフェン力)

 どっしりと構える選手で、
ミットが捕球時に動かないのが好いところ。それほど細かいジェスチャーなどをして投手とやりとりをするとか、俺について来い的にガンガン引っ張ってゆくタイプでもありません。少々足回りなどのフットワークなどはどうかな? とか、ワンバウンドするときのミットの出し方や止め方はどうかな? という部分はあるものの、捕ってから素早い返球で走者を高く確率で捕殺します。送球は塁間1.9秒台と驚くほどのものはなく、地肩自体も平均的な選手との印象。しかし、走者の滑り込んで来るところに安定して送球できるなど、実戦的なスローイングの持ち主だと言えます。ディフェンス力全般で見る限り、可も不可もないかなといった感じではありましたが。





(打撃内容)

 独立2年目の今年は、
61打数(203打数) 5本 41点 5盗 打率.350厘(3位) といった内容で、チームの4番打者を務めました。それほどオーバーフェンスする長距離打者ではなく、適度なパンチ力を織り交ぜた中距離タイプの強打者です。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップの高さは平均的でバットを寝かせて添えられている。後ろ足に重心を預け、全体のバランスとしてはさほど良くないが、両眼では前を見据えられている。特に打席では、
リラックスして立てているのは好いところ。

<仕掛け> 遅め

 投手の重心が下がって、前に移動する段階で、後ろ足に重心をかけていたフォームから腰がグッと沈んで来る「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボールをできるだけ引きつけてから動き出すので、生粋のニ番打者や天性の長距離打者などに多くみられる。ただし、彼のプレースタイルを見る限りは、中距離打者で勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプに見えた。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を軽く引き上げて、真っ直ぐ踏み出してくる。始動~着地までの「間」は短いが、狙い球を絞り逃さない「鋭さ」がより求められる。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのか。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に
ブレずに我慢できている。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができる。実際に打球も、引っ張りだけでなくセンターやレフト方向にもスタンドインできていた。

<リストワーク> 
☆☆☆☆ 4.0

 打撃の準備である「トップ」の形は、あらかじめグリップを引き気味に添えているので早く作れている。始動が遅い分、ここで補おうとしているのだろう。バットの
振り出しは理想的にバットが出てくるので、インパクトまでのスイング軌道にロスは感じられない。

 バットの先端であるヘッドも下がらず、広い面でボールを捉えることもできている。それほど打球に角度を付けて飛ばすタイプではないが、最後まで力強く振り抜けていた。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 グッと体重を落としてくるフォームなので、目線はそれなりには動いているように見える。それでも「開き」は我慢できているし、軸足の
内もも筋肉も発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。

(打撃のまとめ)

 打撃に関しては、適度に対応力とパンチ力を兼ね備えた、捕手としては高い打力を誇っている。物凄くボールを捉えるのが上手いだとか、打球を飛ばせるといった特徴はないが、
甘い球を仕留めることには長けている


(最後に)

 捕手としてはA級とは言えないので、将来一軍の正捕手へといった感じには見えて来ない。しかし、打力が好い選手なので、第三の捕手としての一軍を目指したり、将来は打力を活かして他のポジションへという可能性も秘めていそうだ。ただし、特徴が見え難く埋没する恐れもあり、育成枠での指名は妥当だったのではないのだろうか。彼ぐらいの打力の選手が、NPBでどのぐらいの成績を残すのか興味深い。


(2024年 NPB交流戦)