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立松 由宇(25歳・日本生命) 一塁 177/84 右/左 (藤代-立正大出身)





 「なぜ今年?」





 元々は、強肩・強打の捕手として注目されてきた 立松 由宇 。しかし、今年は捕手ではなく一塁手として出場しており、社会人4年目になった今なぜ指名したのかという思いは強いです。本人も戸惑いがあったのか? 入団に関しては、かなり悩んでいるようだ。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、左打席から速い時で 4.1秒を切っています。このタイムは、ドラフト指名される左打者の基準となるタイムで、そのタイムを叩き出すぐらいのスピードはあります。また、一塁までも
勢いを緩めないで走ることも多く、そういった出塁への執着心は高い選手のように感じます。捕手をやっていなかったこの2年間の24試合では6盗塁と、走る意欲も悪くないように感じます。ただし、プロで足を売りにする、そういった絶対的なものまでは感じません。

守備面:
☆☆ 2.0

 元々、塁間1.9秒前後で投げられる強肩捕手でした。特に、捕ってから素早いというよりも、
地肩が強いなといった印象。ただ、捕手としてはちょっと粗っぽい感じで、捕手っぽくない選手だなとは思っていました。特に今年は一塁を守っていたのですが、結構ポロポロすることが多く、うまい一塁手といった感じはしません。昨年は、右翼も守っていたので、緊急時の捕手&一塁&外野のように、幅の広い起用を想定しているのかもしれません。

 肩・足は悪い選手ではないのですが、守備がうまいかと言われると疑問が残ります。それだけに、上手く隙間を縫うような起用となりそうで、
使う側に恵まれるかも大事な要素になりそうです。





(打撃内容)

 都市対抗までは、打撃内容も良かったです。ただし、ドラフト直前の
日本選手権予選の3試合では、11打数1安打といった内容で、ドラフト直前に一皮むけたからという指名ではありませんでした。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 左打席から、両足揃えたスクエアスタンスで、グリップを高く添えた強打者スタイル。腰を深く沈め、少しお尻を引きすぎてる感じで、全体のバランスとしてはどうでしょうか? それでも両眼でしっかり前を見据えられており、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができる構えです。

<仕掛け> 遅すぎ

 つま先立ちした足を、リリース後ぐらいに降ろして来るという、「遅すぎる仕掛け」を採用。日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、ここまで遅いタイミングでの始動で、NPBの一軍レベルの投手の対応できるかには疑問が残ります。できるだけ、引き付けてから動き出すので、より長打力を売りにするタイプか、生粋のニ番打者タイプによく観られる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 始動~着地までの「間」はなく、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」がより求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプかと。

 踏み込んだ前の足は、
早めに地面から離れてしまいます。そのため、逃げてゆく球や低めの球への対応は、苦手なのではないのでしょうか? それでも観ていると、体勢を崩しながらもファールで逃げる術を持っています。そのため打球の多くは、引っ張り中心であり、上手く巻き込めた時にはオーバーフェンスができます。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の位置にグリップを持ってきているので、始動の遅さを補っている。バットの振り出しは、上から振り下ろして来るインサイドアウトのスイング軌道で、インパクトまでのロスはありません。ただし、外角の球をキッチリ叩いたりするのには、バットのしなりを活かしたスイングではないので、力負けしないかは気になります。

 またボールの下にバットを潜り込ませるようなスイングなので、
線で捉えるというよりも点で捉える形。上手く捉えられれば打球に角度を付けて飛ばせますが、打ち損じも少なくは無さそうです。

<軸> 
☆☆☆ 3.0

 カカトを降ろすだけの踏み込みですが、目線の上下動は並ぐらい。身体の開きを我慢できているといった感じではないのですが、
体勢を崩してでもボールを捉えにゆこうといったタイプで、軸足には適度な粘りは感じられました。

(打撃のまとめ)

 
打撃には、独特の感性があり面白いものを持っているなといった感じがします。野球への姿勢にも生命力が感じられて、そのためプロの世界でも長く生き残って行けるかもと思わせてくれるものはあります。ただし、こういった選手を活かす環境が球団にあるのかどうかなど、結構運に左右されるタイプなのかもしれません。


(最後に)

 バットで勝負してゆくという意味では、代打の切り札的に活躍して行ける可能性も感じます。逆に守備位置含めて、レギュラーとしてとかそういった未来像は描き難いのが難点です。それだけ、本人も球団も
隙間を縫ったところでの活躍を求められそうで、それが今後のロッテにあるのかどうかで、この選手の未来は変わってきそうです。あえてそういったニーズに応えてくれそうだということで指名したのかもしれないので、あとは本人が覚悟を決めるかの問題だと思います。ただし、どうしても支配下でといった評価にまでは至らなかったので、 (支配下級)を付けるまでには至りませんでした。


(2024年秋 日本選手権予選)