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大友 宗(25歳・茨城)捕手 181/86 右/右 (鳥羽-帝京大-日通) 
 




 「打撃は面白い」





 強肩・強打の捕手として独立でも注目されてきた 大友 宗 。特に、長距離打者としての資質も感じさせる打撃は、NPBでどのぐらいやれるのか注目に値する素材ではないのだろうか。


(ディフェンス面)

 ミットを動かすに構え、ビタッとボールを受け止めることができる捕手です。ただ、コースに外れた球に対しては、腕を伸ばすだけで
身体に止めにゆかない姿勢には疑問を持ちました。それでも、6月に観た時よりもシーズン終盤には、少し丁寧さを意識したプレーにはなっていました。ただし、根本的な捕手としての適正に関しては、個人的には疑問を持っています。

 また塁間1.8秒台中盤で到達送球にも見るべきものがあります。捕ってからも素早いですし、
地肩もかなり強い。ただし、かなり力任せの送球であり、精度という意味では気になりました。それでも、その後のNPBでの交流戦などを見ると、結構実戦で刺せていたので、そこまで気になる必要はないのかもしれませんが。NPBで捕手を続けて行けるかは、意見の別れる素材ではないのでしょうか。





(打撃内容)

 BCリーグでは、
51試合(172打数) 12本 41点 5盗 打率.244厘 といった内容でした。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 右打席からスクエアスタンスで両足を揃え、グリップの高さは平均的も、かなり捕手側引いて添えられている。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢は悪くないものの、少し腰を引きすぎているかなといった意味では
バランスに違和感は感じます。

<仕掛け> 遅め~遅すぎ

 投手の重心が沈みきって前にゆく段階~リリース直前あたりで、カカトを浮かしそのまま降ろしてきます。始動のタイミングとしては「遅め」~「遅すぎる仕掛け」に属します。ボールを極力引き付けてから動き出すので、天性の長距離打者か生粋のニ番打者に多く観られる始動のタイミングです。彼の場合は、前者である可能性が高そうです。

<足の運び> 
☆☆★ 2.5

 足のカカトを浮かし、そのままそこに真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でも打ちたいタイプなのかと。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際になんとか
ブレずに我慢。そのため外角の球に際しては、逃げてゆく球や低めの球にも食らいついて行けそうな形にはなっています。問題は、その場でカカトを上げ下ろしするだけなので、体重移動がちゃんとされないことが多そうで、これで率は残せるのかどうか? という疑問は残ります。本人的なイメージとしては、後ろ足に体重を預けた分を、前に戻す感覚で体重移動をさせているのかもしれませんが。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は、あらかじめグリップを引いて構えることで始動の遅さを補おうとしています。そのため速い球に立ち遅れる心配は薄れるのですが、グリップを引いて構えるとリストワークに遊びがなくなる分、さばける球は限定的になりやすいです。

 バットの振り出しは、上から振り下ろして来る感じで、
線ではなく点で捉えるタイプ。インパクトまでの軌道にはロスなく、バットの下にボールを潜らせることで、打球に角度を付けるのがうまいです。

 その代わりボールを捉える接地面が少ないので、
打ち損じをしたり確実性には欠ける可能性があります。それほどスイングの弧が大きいとか、フォロースルーを使って遠くに運ぶのではなく、ボールに角度を付けることで飛ばすタイプだと考えられます。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げが少ないので、
目線の上下動が小さく錯覚を起こし難いところは良いところ。身体の開きも我慢できていますが、軸足の形はやや崩れがち。そういった意味では、調子の波は激しいタイプなのかもしれません。

(打撃のまとめ)

 かなり確実性は低いフォームなので、
NPBレベルの投手の球をどのぐらいの確率で捉えられるかが鍵になりそうです。ただし、始動の遅さ・打球の角度の付け方などを観ていると、天性のスラッガーである可能性が高いです。こと長打力に関しては、NPBに混ざっても異彩を放てるかもしれません。


(最後に)

 長距離打者になれる可能性に賭けて見るのには、面白い素材なのではないかと感じたので、
(支配下級)の評価をしてみたいと思いました。ディフェンスに関しては、NPBレベルだと捕手を続けてゆくのは厳しいかもなと感じる部分はあります。右打席から 4.3秒前後(左打者換算で 4.05秒前後に相当)とする脚力もあり、ドラフト指名される選手の中でも 中~中の上 クラスのものはあります。それだけに強肩を活かして、将来的には外野あたりで起用されてゆく選手になるかもしれませんね。高い確率でモノになるとは言えませんが、モノになったときのリターンは大きいそうです。


蔵の評価:
 (下位指名級)


(2024年 NPB交流戦)