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佐野 大陽(21歳・富山GRN)遊撃 178/81 右/右 (常葉橘-中部大出身)
 




 「実戦的なタイプ」





 けして派手さはないが、しっかりと自分の役割をこなす、そんな仕事をしてくれそうなのが、佐野 大陽 。レギュラーを期待するというよりも、チーム層を厚くする、競争を煽る、そういったことを期待されての指名ではないのだろうか。


走力面 
☆☆☆★ 3.5

 一塁までの塁間は、右打席から 4.4秒前後 。これを左打者に換算すると、4.15秒前後と、ドラフト候補としては並のタイム。中部大学時代で最も走ったシーズンでも3盗塁。独立リーグに進んでからは、39試合で9盗塁を記録しているように、走力への意識も変わってきているのかもしれない。ただし、NPBで足を売りにできるほどかと言われると微妙な数字ではある。

守備面 
☆☆☆★ 3.5

 チームではショートを守っていたが、打球への
一歩目の反応も良く、安定感も悪くない。地肩がめっぽう強いとか、グラブさばきやフットワークが優れているといったほどではないものの、無難に堅実な守備をするといった感じ。NPBだと、ショートの他いろいろなポジションを期待されるユーティリティプレーヤー的な使われ方をするのではないのだろうか。





(打撃内容)

 今シーズンの成績は、
39試合(143打数) .0本 9点 19盗 打率.336厘 といった内容だった。イメージ的には、広角にはじき返す打者といった感じで、あまり長打力は感じられない。ただし、時々引っ張った時には大きな打球を飛ばすこともある。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 右打席から両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップを高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスとしてはまずまずと言える。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が沈む時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。追い込まれると、ベース側につま先立ちしてから動き出す「遅すぎる仕掛け」に切り替えている。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を引き上げて回し込み、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れており、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたい、そういったタイプなのかもしれません。

 踏み込んだ前の足も、
インパクトの際にブレずに我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつくことができます。実際試合でも、センターから右方向に、無理なく打ち返すことができています。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 あらかじめ「トップ」の位置までグリップを引いているので、速い球に立ち遅れ難いはず。ただし、その分リストワークに遊びがなくなり、柔軟性という意味ではどうでしょうか?

 バットの振り出しは、インサイドアウトに出てくるタイプ。そのため、インパクトまでには最短距離で出てくるのは魅力である一方で、バットのしなりを活かせないので、
NPBレベルの投手の外角球に何処まで対応できるかは微妙です。それでも、最後までしっかり振り抜けてはいます。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げも静かなので、目線の上下動も静か。身体の開きも我慢でき、軸足も地面から真っ直ぐ伸びて安定しています。軸を起点に、キレイに回転できているのではないのでしょうか。

(打撃のまとめ)

 難しい球を捉えられるというよりも、自分の打てる球を逃さない、そういったタイプの打者だと考えられます。NPBレベルの投手の球に対し、無駄のないスイングに終始しているので、
バットのしなりを活かせないスイングやトップの浅さなどが、どう出るのか? そのへんは気になるところではあります。


(最後に)

 当てることに関しては、無駄のないスイングだけに、NPBの投手でも当てることはできる感じがします。その一方で、打ち返せるかという部分に関しては、けして非力ではないものの不安が残ります。守備・走力も一定のレベルにあるので、ファームレベルであればスンナリに入って行けそう。問題は、一軍で戦力になるほどかと言われると、現状はそこまでの力は感じませんでした。そのため活躍の確信を持てるほどではないので、
 (支配下級)の評価までには至りませんでした。彼が、どのぐらい一軍に絡める選手になれるのか、今後のためにも注視して行きたい一人です。


(2024年 リーグ戦)