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丸山 竜治 (23歳・HONDA熊本)捕手 176/86 右/右 (熊本工出身)





「強肩・強打なのに・・・」





 熊本工から入社して5年目の 丸山 竜治 。強肩・強打の捕手なのに、なぜかプロから指名されない。その理由について、考えてみた。


(ディフェンス面)

 秋の日本選手権では、チームを日本一に導きました。また、続く12月の台湾ウィンターリーグにも、社会人選抜の一員として参加。今や、社会人球界を代表する捕手に成長してます。ミットを示し、特にグラブを下に下げるような癖もありません。フレーミングを意識したキャッチングで、
際どいコースへの意識・技術は悪くないように見えます。ただし、コースから外れた球に対し、腕を伸ばしただけで捕りにいったり、体で止めにゆこうといった感じは正直感じませんでした。それでも、走者が出ると、ちゃんと立っては返球できていました。

 投手と会話しながらとか、ジェスチャーを交えて鼓舞するとか導いてゆく感じはしなく、
淡々とプレーしている印象を受けます。リード面に関しては、個人的には うん? という配球で、その点でもどうなのかと思う部分はあります。最大の売りは、捕ってから投げるまでが無駄がない、塁間1.8秒台中盤で到達するスローイング。これに関しては、充分にNPBを意識できるものがあります。

 単純に「打つ・投げる」という意味では、好素材だと思います。チームが放出に後ろ向きだったとか、本人があまりプロ志向が前向きでないかはわかりません。ただし見た感じでは、全身で止めようとか、リードセンスなどに疑問があり、そのへんがここまで指名がなされなかった要因ではないかと感じました。





(打撃内容)

 チームでは下位打線を担っており、ディフェンス型なのかと思っていました。しかし、社会人での28試合の成績では、打率.348厘と、かなりの好打率。社会人の場合3割5分以上打っていると、一流の強打者だと言えます。それに近い数字を残しているので、捕手としてはA級の打力の持ち主であるように思います。しかし、秋口の直近10試合では、打率.148厘 と低く、そのへんも指名に至らなかった要因の一つなのかもしれません。


<構え> ☆☆☆ 3.0

 前の足を引いて、カカトを浮かして構えます。グリップを高めに添えつつ、後ろ足に重心を預けており、全体のバランスとしては癖があります。それでも、両眼ではしっかり前を見据えられており、球筋を錯覚を起こすことなく追うことができます。

<仕掛け> 早め

 投手の重心が下る時に動き出す、「早めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、対応力を重視したアベレージヒッターに多くみられる始動のタイミングです。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を上げて回し込み、ベース側にインステップして踏み込んできます。始動~着地までの「間」はとれているので、速球でも変化球でもスピードの変化には幅広く対応。インステップするように、外角への意識が強いと思われます。

 踏み込んだ前の足は、インパクトの際に動き気味。したがって、引っ張って巻き込む打撃を好む傾向が強いのではないかと考えられます。その分、逃げてゆく球や低めの球には、あまり強くないのかもしれません。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れているので、速い球に立ち遅れる心配はありません。しかし、ボールを呼び込む時に、
肩が中まで入り込んでおり、バットの出があまり良く無さそうなのは正直気になりました。

 スイング軌道自体は、
インパクトまでコンパクトでロスなく振り出されています。バットの先端ではあるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えられ、フェアゾーンに飛びやすくできています。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 足の上げ下げはそれほど大きくはないものの、目線はそれなりに動いている。体の開きも充分に我慢できているとは言えず、軸足の形も崩れがち。そういった意味では、
調子の波は激しいタイプかもしれません。

(打撃のまとめ)

 タイミングの取り方や、ボールを捉えるまでのスイング軌道などには優れています。その一方で、構えからボールを呼び込むまでの肩の入り、そして体の開きなども充分に抑えられているは言えず、
癖のある打撃フォームであるように思えます。


(最後に)

 速球は一級品だし、打撃能力も低くはないです。ただし、捕手としての適正や打者としても癖があり、無理して各球団が獲得に動かなかったのもわからなくはありません。この一年で、そういった部分がどの程度変わってくるのか、注視して一年間気にしてみたい選手でした。


(2023年 台湾ウィンターリーグ)