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川口 冬弥(25歳・徳島IS) 投手 187/86 右/右 (東海大菅生-城西国際大-ハナマウイ)





 「タイトル総なめの一年」





 独立リーグ参加一年目から、最多セーブや最優秀防御率にも輝くなど、先発でもリリーフとしても大活躍だった 川口 冬弥 。25歳と年齢はいっているが、プロ入りの可能性も現実味を帯びてきた。


(投球内容)

 
少し腕が突っ張って投げるフォームではあるが、今年は 29試合 3勝0敗7S 防 1.37 と、抜群の安定感を魅せた。

ストレート 145キロ~155キロ 
☆☆☆★ 3.5

 先発だと、140キロ台中盤~後半ぐらい。リリーフだと150キロ前後~150キロ台中盤を記録する。ただし、ボールはそこまでは速くは感じられず、先発では力でグイグイ押してくるといったほどではない。コントロールは、両サイドに適度に散らせて、時々
内角なども厳しく突いてくる。四死球で自滅するような、そういった危うさは感じられない。特に、左打者相手には、低め膝下にボールが決まるところが好いところ。

変化球 スライダー・フォークなど 
☆☆☆ 3.0

 縦割れ成分が多いスライダーでカウントを整えつつも、フォークも多く交えて来る。このフォークは、三振を奪うような鋭い落差ではなく、少しチェンジアップのような引っ掛けさせるような変化。そのため、変化球で三振を奪えるほど、絶対的な球種は無いように思える。


その他

 
クィックは、1.0秒前後~1.1秒前後とまずまず。牽制も適度に鋭く、マウンドでも落ち着いて打者に対峙できていた。特に細かい駆け引きをしてくると言うよりも、淡々とコースに散らせて来る印象が強く、要所で力を入れて仕留めにくる。


(投球のまとめ)

 
適度な勢いと実戦力を備えており、一年目から一軍争いができる完成度は持っている。ただし、一軍で確実に戦力になるかと言われると微妙であり、現状は25歳の年齢も考えると、微妙な位置付けにはなるような気はしている。





(成績から考える)

 もう少し、残した成績から考えてみたい。今年は、
59回1/3 36安 15四死 85三 防 1.37 。

1,被安打は投球回数の70%以下 ◯

 被安打率は、60.7% と、かなり厳し目のファクターを設けてクリアできている。特に、フォームが合わされやすいだとか、単調だといったことではないようだ。

2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎

 四死球率は、25.3% と、ほぼ投球回数に対し 1/4(25%) と安定していた。そういった、
制球による危うさがないところが、この選手の大きな強味。

3,奪三振は、1イニングあたり 0.9個以上 ◎

 1イニングあたりの奪三振は、1.43個 と、
右投手としては破格だ。先発をしていても、力の入れ加減や抜き加減を心得ており、メリハリのある投球ができている。

4,防御率は1点台以内 ◯

 防御率も 1点台どころか、1.37 と一点台前半。そういった安定感は、同リーグの中でも際立つ存在だと言えよう。

(成績からわかること)

 残した実績的には、充分に評価に値する数字の裏付けがある。かなり厳し目に設定した、被安打率や防御率のところにも余裕を持ってクリアできており、その総合力の高さが伺われる。そのため一年目から、ある程度一軍を意識できるところまで来ているのではないのだろうか。


(最後に)

 年齢的にも、一年目から一軍に絡んで欲しい。ドラフト指名となると、本会議であるかないかぐらいで、育成指名含めれば指名の可能性は高そうだ。今後の上積みよりも即戦力を望む球団にとっては、面白い存在になりうるかもしれない。ただし個人的には、育成枠ぐらいかなと感じたので、 
 は付けないことにする。もしそうなっても、早期の支配下契約がなされるのか注視してみたい。


(2024年 アイランドリーグ戦)