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佐藤 亜蓮(22歳・TDK) 投手 175/78 右/右 (由利工業-仙台大出身) | |
けして力むことなく投げ込んでも、150キロを記録するまでに成長した 佐藤 亜蓮 。まして、制球力も変化球も悪くないのに、苦になく打ち返されてしまうのは何故なのだろうか? (投球内容) 非常にキレイなフォームから投げ込む、オーソドックスなフォームです。昨年の投球内容は、10試合 32回 24安 9四死 27三 防 2.25 といった内容で、先発でもリリーフでも起用されている。 ストレート 145キロ前後~MAX150キロ ☆☆☆ 3.0 柔らかい腕の振りを活かして、無理なく140キロ台後半の球を先発でも投げ込んでくる。それほど球威は感じられないものの、打者の手元までのキレも悪くない。また、両サイドにも、大まかに散らせられているようにも見える。 それでも公式戦での成績は、32イニングで24安打と、被安打率は 75.0% そこまで高いわけではない。四死球率は、こちらも 28.1% と、制球もまずまず。たまたま、見た試合が悪かったのだろうか? 変化球 スライダー・カット・カーブ・チェンジアップ ☆☆☆ 3.0 130キロ台後半のカットボールを中心に、120キロ前後の曲がりながら沈むスライダーをアクセントにしている。また、左打者相手には、チェンジアップ系の球とのコンビネーションと変化球も悪くない。奪三振も、1イニングあたり 0.84個 と、先発投手としてならば悪くない。しかし、リリーフ投手としては、やや物足りないといった感じか。 その他 クィックは、1.0~1.1秒ぐらいでまずまず。牽制をする場面は確認できなかったが、フィールディングの動き自体悪くない。元々、由利工業時代は、速球派というよりも好投手タイプで選抜の舞台にも立っていた。 (投球のまとめ) 中背の体格故に、球筋に角度がなく、苦になく合わされてしまうのだろうか? 台湾ウィンターリーグでの、NPBホワイト戦では、先発して初回4失点を期していた。ボールの勢い・制球力・変化球なども悪くないのに、簡単に打ち返されていた姿をみて、プロの一軍相手だと、さらに苦しいのではないかと思えてくる。左右の対戦成績をみると、右打者相手には.125厘と抑え込んでいるのに対し、左打者には.333厘と打ち込まれており、左打者への投球に課題があることが伺われる。ただし、台湾ウィンターリーグの試合では、むしろ右打者からのヒットが多かった。 (投球フォーム) 今度は、フォームの観点から考えてみたい。ノーワインドアップから、足を引き上げる勢いや高さは並ぐらい。軸足一本で立ったときには膝がピンと伸びがちだが、全体にバランス良くは立てていた。 <広がる可能性> ☆☆☆★ 3.5 引き上げた足は地面に向けて伸ばすものの、その後一塁側に重心を沈ませてくる。したがってお尻の一塁側への落としは悪くなく、カーブやフォークといった捻り出して投げる球を投げるのにも無理は感じない。 「着地」までの地面の捉えでも適度に粘れており、体を捻り出す時間もそれなり。武器になるほどの大きな変化球は望めないかもしれないが、変化球全般のキレは悪くない。 <ボールの支配> ☆☆☆★ 3.5 グラブは最後まで体の近くに留まるので、遠心力を内に留めることはできている。したがって軸はブレ難く、両サイドへのコントロールは悪くないのでは? 足の甲での地面の捉えが浮いてしまっているので、力を入れて投げるとボールが上吊りやすい。それでも「球持ち」が好いことで、ある程度で指先まで力を伝えられコントロールが利くのかもしれない。指先の感覚も、けして悪そうな投手ではなかった。 <故障のリスク> ☆☆☆☆ 4.0 お尻の落としも悪くはない上に、カーブやフォークといった球種はあまり観られない。そのため窮屈になり難く、肘などへの負担は少ないのでは? 腕の送り出しを観ていても、肩への負担も少なそう。それほど力投派でもないので、そこまで疲労を溜め込むということも無さそうだ。 <実戦的な術> ☆☆☆★ 3.5 「着地」までの粘りはそれなりで、ボールの出処も見やすいわけではなかった。むしろ問題は、球筋にあまり角度が感じられず平面的であることと、けして球威溢れる球質ではないので、打ち損じなく打ち返されてしまうことが多いからかもしれない。 腕は適度に振れていて悪くないように見えるが、ボールにあまり体重がグッと乗ってくる感じがしない。これは、足の甲での地面の捉えが浮いてしまい、下半身のエネルギー伝達が遮断されて、上半身の腕の振りだけでキレを生み出すしか無くなっているからではないのだろうか。 (フォームのまとめ) フォームの4大動作である「着地」「球持ち」「開き」「体重移動」では、「体重移動」に課題を残すものの、あとは悪くは無かった。故障のリスクは低そうで、制球を司る動作もそこまで悪くない。武器になるほどの変化球を習得できるかは微妙だが、変化球全般のキレが悪いフォームでは無さそうだ。苦になく打ち返されてしまうのは、フォームの問題よりも、角度の無さと左打者への持ち球や制球が甘くなることに原因があるのではないのだろうか? (最後に) 確かに悪い投手ではないのだが、2軍相手ではある程度やれたとしても、現時点では一軍打者相手に抑え込むイメージがわいて来ない。このへんは、もう少し投球に工夫が観られないと、厳しいのではないのだろうか。逆にそういった不安を払拭できるようなピッチングを魅せてくれれば、自ずと指名は現実味を帯びてきそうだ。 (2023年冬 台湾ウィンターリーグ) |