24sp-13
中込 陽翔(21歳・徳島IS)投手 175/77 右/右 (山梨学院-山梨学院大出身) | |
右サイドハンドから、テイクバックを小さめにとって投げ込んでくる 中込 陽翔 。打者の内角を厳しく突いて来る、強気の投球が身上だ。 (投球内容) 四国アイランドリーグでは、43試合 8勝2敗2S 防 1.97(3位) と全てリリーフでの登板ながら、規定投球回数に達し、全体の3位の防御率を残している。 ストレート 145キロ前後 ☆☆☆ 3.0 小さめのテイクバックでタイミングが取り難くは見えるが、実際はサイド特有のボールのみやすさもあって、被安打率はけして低くはない。両サイドに散らすコントロールはあり、それほど中に甘く入ってくるわけではない。その割に、コースを突いたはずの球が打ち返されるケースが多い。ボールの威力は適度に感じられるものの、NPBの一軍レベルの打者が苦にするほどのものがあるかと言われると微妙な印象は受けた。 変化球 スライダー・フォーク ☆☆☆ 3.0 右打者の外角には、小さく曲がるスライダー。左打者の外角には、小さく沈むツーシームのようなフォークがある。それらの球でしっかりカウントは整えて来られるが、打者の空振りを誘うとか、そういった威力はない。 その他 牽制は適度に鋭いものがあるものの、クィックは 1.25秒前後 とやや遅め。ベースカバーなどの入りは、けして悪くはなかった。強気な攻めの投球はいいが、それほど「間」を使ってとか、微妙な出し入れをといった繊細な投球術は感じなかった。 (投球のまとめ) 投げっぷりの良いサイドスローといった感じで、いかに勢いと強気に内を突く投球で押せるかがポイント。ただし、現状は、それほど引き出しは多くなく、ボールの威力もNPBの一軍を意識すると、やや物足りないようにも思えた。 (成績から考える) 今シーズンは、59回1/3イニングを投げて 56安打 9四死球 77三振 防 1.97 (3位) といった成績だった。 1,被安打は投球回数の70%以下 ✕ 被安打率は、94.4% 。けして、アイランドリーグの中でも、ボールの力で圧倒できていなかった部分は気になる材料。 2、四死球は投球回数の1/3(33.3%)以下 ◎ 四死球率は、15.2% と優秀で、この手の力投派のリリーバーにしては、制球に不安がないのは良いところ。特に、ボールがコースに散っていて投げミスが少ないので、長打は喰らい難いのではないのだろうか。 3,奪三振は1イニングあたり0.9個以上 ◎ 1イニングあたりの奪三振は、1.30個 と、遥かに投球回数を上回っている。被安打も多いが、三振で切り抜けることができているのだろう。 4,防御率は 1.50以内 △ リリーバーなので、やや厳しいファクターを設定した。大学や独立リーグのリリーバーならば、このぐらい厳しいファクターをクリアして欲しい気持ちはある。 (成績からわかること) 被安打の多さと防御率の平凡さは、NPBの一軍を想定すると物足りない。ただし、プレッシャーのかかるリリーフの場面で、無駄な四死球を出さないのは良いところ。特に強気に内角を突く投球の身上の投手ながら、そういったケースは少ないようだ。 (最後に) 実際の投球を観ていると、ボールの威力が一軍の打者を圧倒できるほどのものに見えないこと。そして、まだ引き出しが少なく、交わす術が少ないことは不安材料として残る。そのため現状は、一軍半クラスの投手に見え、一年目から一軍の舞台に顔を出すことはあっても、望むような結果を得られるかは微妙な印象は受けている。もう少し今後、投球の幅なり引き出しを増やして行けるようになれば、強気な投球と不安な少ない制球力が活きるようになるのではないのだろうか。一軍での活躍の確信が持てなかったので、個人的には ☆(支配下級)などの評価には至らなかった。 (2024年 アイランドリーグ戦) |