24sp-11


 




若松 尚輝(24歳・高知FD)投手  184/83 右/右 (札幌第一-札幌学院大出身)





 「面白いと思う」





 ゆったりとしたモーションから繰り出し、小さめなテイクバックを取りつつ、想像以上に回転数が多そうな真っ直ぐを投げ込む 若松 尚輝 。こういった独特の「間」を持った選手だけに、リリーフよりも先発の方が持ち味が出るタイプではないかとみている。


(投球内容)

 大学3年秋から投手を始めたという変わり種で、今シーズンは四国アイランドリーグで、
16試合 0勝3敗 防 1.62 という成績だった。

ストレート 常時145キロ前後 
☆☆☆★ 3.5

 驚くような球威・球速はないのですが、質の好い真っ直ぐを投げ込んできます。上記に記したようにフォームと球質と相まって、ストレートを活かすピッチングスタイルです。大まかに両サイドに投げ分けるコントロールがあります。ただし、低めの真っ直ぐが持ち味だという話でしたが、ソフトバンクとの交流戦では真っ直ぐは真ん中~高めに集まりがちでした。そのため、タイミングが合ってしまうと長打はやすいように感じます。まだ粘っこく低めに丹念に集める、そういった
本当の制球力は無いように感じました。

スライダー・カット・フォークナド 
☆☆☆ 3.0

 曲がりながら沈むスライダーに、小さく横にズレるカット系の球があるように思います。それに、空振りはあまり誘えないのですが、縦の変化も結構織り交ぜてきます。打者の空振りを誘うほどの、決め手となる変化球はありません。

その他

 牽制は、走者を刺しに来るような鋭いものを見せます。クィックも、1.0前後~1.05秒前後とまずまず。特に投げるタイミングを変えるとかはないのですが、投げるまでにボールを長く持ったりとか、そういったことはできる余裕があります。

(投球のまとめ)

 天性の投球モーションによって作り出される、
独特の「間」は面白いと思いました。まだ細かい制球力・投球術・変化球などは発展途上でもあり、本当の意味で一軍で数字を残せるようになるのには、もう1,2年はかかるように思います。それでもこの投手、「ゆったり感」こそが身上なので、先発の方が持ち味が発揮されさすいタイプではないかと思いました。





(成績から考える)

 今年の成績を観てみると、
50回 41安 16四死 39三 防 1.62 といった成績になっている。手術明けだったようで、やや投球回数は少なめとなっていた。

1,被安打は投球回数の80%以下 △

 被安打率は、82.0% 。基準である80%以下よりは、若干多い。それだけゾーン内での甘さや、真ん中~高めに行ってしまう球が狙い打たれるケースもあったのだろう。両サイドよりも、
高低の制球に課題を残す。

2,四死球は、投球回数の1/3(33.3%)以下 ◯

 四死球率は、32.0% と、基準はギリギリ満たせている。四死球で自滅するような危うさは薄いのだが、
ゾーンん内での制球に課題を残す。そのためプロ入り後は、もうワンランク上の精度を求めたい。

3,奪三振は1イニングあたり0.8個以上 △

 1イニングあたりの奪三振は、0.78個 と、基準には僅かに届かず。現状は、
高めの真っ直ぐを振らせてといった形で三振を奪うケースが多い。逆に、フォークなどの変化球で三振が奪えるようになると、この数字も投球スタイルも大きく変わってきそおう。

4,防御率は 1点台以内 ◯

 規定投球回数には達していないが、防御率は 1.62 と基準を満たしている。ちなみに、アイランドリーグ最優秀防御率だった 川口 冬弥(徳島IS-ソフトバンク育成6位)投手は)1.37 だった。まだ絶対的ではないものの、安定した数字は残していた。

(成績からわかること)

 被安打率・三振率なども、まだ投球がそこまで圧倒的ではなかったことが伺われます。そのへんが、NPBの一軍で即戦力に成り得るかと言われると、まだ足りない部分ではないかと感じました。


(最後に)

 まだ物足りない部分も目立つので、一軍での登板機会に恵まれても、本当の意味での戦力になるのは2年目以降ではないかと観ています。一年ぐらいファームで、細部の詰めの甘さや精度を高めてゆくことで、一軍に欠かせない存在になって欲しいところです。

 そのため、積極的に春から起用されるかもしれませんが、最終的に一軍に残れるかは懐疑的です。ただし、非常にゆったりしたモーションから作り出される「間」を持った選手であり、数年後は面白い存在になりうるといった可能性も強く感じました。したがって、
(支配下級)の評価はしてみたいところです。


蔵の評価:
(下位指名級)


(2024年 ソフトバンクとの交流戦)