24ky-22
蔵並 龍之介(中央学院3年)投手&一塁 186/90 右/右 | |
24年度のドラフト戦線では、飛距離を売りにするタイプの強打者は極めて少ない。そんな中で、数少ない長距離候補と言えるのが、この 蔵並 龍之介 ではないのだろうか。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.65秒前後。これを左打者に換算すると、4.4秒前後となる。このタイムは、ドラフト候補としてはかなり遅い部類であり、基本的に走力でアピールするタイプではない。 守備面:☆☆★ 2.5 手足の長い大型選手故に、動き自体は俊敏とは言えない。しかし、こと一塁手としてのグラブさばきなどは悪くなく、的も大きくて適正は高いように思える。その一方で、三塁が担えるほどかと言われると微妙。投手として140キロ台を投げ込むように、地肩自体は悪くないはずなのだが。 走力がないだけに、地肩は良くてもあまり外野手向きとは言えないだろう。もし担うとしたら左翼あたりであり、一塁か左翼手でという可能が高い。そうなると、よほど打撃でアピールできないと厳しいタイプであることは否定できない。 (打撃内容) 春の関東大会・常総学院戦では、敷島球場のレフト上段叩き込んだ飛距離は圧巻だった。千葉大会でも、千葉経済大付属戦でレフトスタンドに叩き込んでいる。基本的に、引っ張り中心の打者だと言えそうだ。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えた強打者スタイル。腰の据わり具合・全体のバランスとしては平凡だが、両眼で前を見据える姿勢は良い。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追う姿勢ができている。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈むときにベース側につま先立ちして、本格的に動き出すのはリリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅いタイミングでの始動となると、日本人の筋力やヘッドスピードでプロの球に対応するのは中々厳しいと言える。 <足の運び> ☆☆★ 2.5 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプか。 踏み込んだ前の足が、早く地面から離れます。引っ張るときはこれでも良いのですが、外角に逃げてゆく球や低めの球などに対しては苦手としているのではないのでしょうか。それでも手足の長い体型なので、人よりも遠くの球を捉えることは期待できそうです。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めます。バットが引くのが遅れないように注意したいです。一度グリップ下げてから出てくるので、少し遠回りかな?と思いきや、スイング軌道自体は遠回りではありません。バットの先端であるヘッドも下がらないので、広い面でボールを捉えられています。それだけ、タイミングさえ合えば、フェアゾーンにボールが飛びやすいのではないのでしょうか。 インパクト後のスイングの弧も大きめに取れており、それほどフォロースルーを使ってという感じではありませんが、まともに巻き込めたときには破格の飛距離を生み出します。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は小さい。しかし、体の開きが我慢できていないので、センターから右方向への打球は少なそうだ。軸足の内モモの筋肉は強そうなものの、少し前に傾きがち。したがって、体が突っ込んだりしないように注意しておきたい。そういった意味では、調子の波は激しいタイプかもしれません。 (打撃のまとめ) 基本引っ張りの打者であるので、体の開きが抑え込めないなど、打てる球やコース限られている可能性があります。現在は技術で打っているというよりも、投手をやっていて鍛えられた体幹の強さと、恵まれた体格によって非凡な飛距離を生み出しているのではないのでしょうか。 (最後に) 守備・走塁でのアピールが薄く、対応力という意味でも粗いです。捉えた時の飛距離は素晴らしいものの、まだ指名となるともう少し様子を見てみようかという判断になるかもしれません。ただし、打撃が非凡なのは確かなので、夏の大会も引き続き注視してみたいところです。評価を下すのは、それからでも遅くないように思いました。 蔵の評価:追跡級! (2024年 春季関東大会など) |