24ky-43
ラマル ギービン ラタナヤケ(大阪桐蔭3年)一塁 180/82 右/右 | |
確実性に欠ける部分はあるものの、飛距離は間違いない ラマル ギービン ラタナヤケ 。それでは、何処に課題があるのか考えてみた。 走塁面:☆☆ 2.0 選抜の報徳学園戦での、ショートゴロの時の一塁到達タイムが 4.85秒前後(左打者換算で 4.6秒前後に相当)と極めて遅い。これは、内角の球に詰まって最初の一歩目が大きく遅れたためで、あまり参考になるものではなかった。50メートル6秒2 という脚力ではあるらしいので、もっと速いタイムは出るのだろう。ただし、あまり積極的に盗塁を仕掛けて来るプレースタイルではないので、現時点ではプロで足を売りにしてゆくイメージは見えて来ない。 守備面:☆☆ 2.0 一塁手としても、結構ポロポロしていてミスが多い。そのため、けして上手い一塁手ではないように思います。また、夏の大会では、試合前ノックではレフトを守っていました。中学時代は投手で130キロ台を記録していたというように、地肩は良くないように見えますが、送球の精度などに課題があり、この点でもまだまだです。何処のポジションがいいのかは? プロ入り後も思考錯誤が続くように思えます。 (打撃内容) 選抜では一塁手としていましたが、夏は試合途中からの出場と消化不良の最後となりました。夏の大阪大会では、7打数2安打でした。しかし、そのうち一本は、ホームランを記録しています。 <構え> ☆☆ 2.0 右打席から、少しクロス気味に足を置きつま先立ちします。グリップの高さは平均的ですが、あらかじめ捕手側に引いて添えています。腰の据わりは悪くないのですが、全体のバランスと両眼で前を見据える姿勢にはクセがあります。クローズ気味に構えるのであれば、打球はセンターから右方向を意識しないと引っ掛けてしまうことが多くなります。しかし、夏の大会では、引っ張りにかかっていました。 <仕掛け> 遅め 投手の重心が沈みきって、前に移動する段階で動き出す「遅めの仕掛け」を採用。この仕掛けは、ボール引き付けてから動き出すので、生粋のニ番打者か天性の長距離打者に多く観られる始動のタイミングです。彼の場合は、後者のタイプだと考えられます。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 始動~着地までの「間」が短いので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」がより求められます。インステップ気味に軽く踏み出しているので、意識は外角寄りにあると考えられます。 踏み込んだ前の足は、インパクトの際にブレずになんとか我慢。そういった意味では、逃げてゆく球や低めの球に喰らいついて行けそうです。しかし、そういった球を無理に引っ張ってしまうことが多く、どうしても引っ掛けてしまう打球が多くなってしまっています。 <リストワーク> ☆☆☆ 3.0 あらかじめグリップを引いて構えているので、始動の遅さを補えています。しかし、あらかじめグリップを引くことで、リストワークに遊びが無くなり、柔軟性が損なわれる危険性があります。バットの振り出し自体も少し遠回りに出て来てロスは感じるものの、バットの先端であるヘッドまでは下がっていないので、そこまでドアスイングにはなっていません。 また、内角寄りの球に対しては、肘を上手くたたんでさばけていました。元来、引っ張っての長打こそ、この選手の最大の持ち味だと言えるでしょう。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。身体の開きもある程度我慢できていますし、軸足の形もそこまで崩れていません。軸を起点に、上手く回転できた時には、破格の飛距離を生み出します。 (打撃のまとめ) クロスに構えているのに、無理に引っ張ろうとして引っ掛けてしまう打球が多かった夏。どうしても、確実性に欠ける部分が解消できなかった3年間でした。しかし、上手く引っ張って巻き込めた時には、破格の飛距離を放ちます。そういった打球の確率を、いかに引き上げられるかではないのでしょうか。 (最後に) 気になるのは、走力はともかく守備位置の問題などがつきまとう点です。しかし、DHがあるパ・リーグだけに、打撃で突き抜けられれば、どうにかなる可能性はあります。万波中正(日ハム)なども、高校時代は理解し難いメカニズムで打っていたことを考えれば、このラマル選手の方がクセは少ないように感じます。あとは、自分の特性を理解し、何処までその良さを追求できるかではないのでしょうか。この点で、万波選手は優れていました。ただし、この選手の将来像を予測するのは難しいのですが、高校の時点のパフォーマンスを考えると、育成枠での指名は妥当だったと思います。そういった選手が、プロでどのぐらいやれるのか、個人的には大変興味深いものがあります。 (2024年夏 大阪大会) |