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大濵 安綺 (沖縄・日本ウェルネス沖縄2年)一塁 175/100 右/両





「大物なのか?」





 昨夏、沖縄大会決勝まで駒を進め、プロ野球選手まで輩出した日本ウェルネス沖縄。その中で、唯一下級生ながら試合に出場していた 大濱 安綺 。果たして彼は、世代を代表するような強打者に育つのだろうか?


(守備・走塁面)

 一塁までの塁間は、右打席から 4.8秒強。左打者換算だと、4.55秒ぐらいと走力は
かなり遅い部類。ピッチャーゴロで明らかにアウトだとわかっても、最後まで勢いを緩めることなく全力で走り抜ける姿勢には好感が持てた。けして足を売りにする選手ではないが、走塁への意識は低くなそうだ。

 一塁手としても、なかなか動きの良さが目立っていた。バウンドの合わせ方や守備範囲も広く、送球を受ける時には、両足を大きく広げて捕ろうなど、けして下手な一塁手ではない。新チームでも一塁を守っているようだが、三塁とかレフトあたりはできないのか? と思うほどだ。

 いずれにしても現状は、
守備や走塁での意欲は買えるものの、売りとなるのはパワフルな打撃にあると言えよう。





(打撃内容)

 旧チームでは5番打者を務め、パワフルなスイングが目立った。イメージ的には、西武で活躍した 山川穂高(ソフトバンク)を彷彿とさせる。

<構え> 
☆☆☆★ 3.5

 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、前の足のカカトを浮かせて構えます。グリップは高めに添えた強打者スタイルですが、あらかじめ捕手方向に強く引いて構えています。腰の据わりは良く、全体のバランスもまずまず。両眼で前を見据える姿勢は並みぐらいだが、
強打者としての雰囲気を持っています。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちし、投手がリリースを迎えるあたりで本格的に動き出す「遅すぎる仕掛け」を採用しています。通常、日本人のパワーやヘッドスピードを考えると、このタイミングでの始動では使いこなすのは困難です。沖縄大会の模様を観ていても、高めの速球を空振る場面が目立ち、
スピードボールに立ち遅れることも少なくありませんでした。

<足の運び> 
☆☆ 2.0

 足を小さくステップさせて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」が短く、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプか。

 踏み込んだ前の足が、
インパクトの際に動いてしまっています。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも弱さを露呈してしまいます。現状は、強い上半身の振りに対し、下半身が支えきれていないことがわかります。恐らく右方向への打球も、甘めの外角球や高めの球を打ち返しているのではないのでしょうか。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 あらかじめ「トップ」の位置にグリップを持ってきて構えているので、始動の遅さをここで補おうとしています。しかし、あらかじめ前の肩を後ろに引きすぎると、
リストワークに遊びがなくなり柔軟性を損なう危険性があります。

 バットの振り出しは、インサイドアウトではなく、少し遠回りにバットは出てきます。。インパクトの際には、バットの先端であるヘッドは下がっておらず、強烈なヘッドスピードも相まって、スイング軌道のロスが薄まっています。スイングの弧は大きめですが、打球に角度を付けて飛ばすというよりも、
強烈な打球で野手の間を抜けてゆくといった感じです。

<軸> 
☆☆★ 2.5

 足の上げ下げは小さいので、
目線の上下動は少なめ。そのため、錯覚を起こすことなく球筋を追うことができています。体の開きが我慢できていないのと、軸足の形が崩れ気味。そういった意味では、確実性という意味では課題を感じます。しかし、軸足の内モモの筋肉は発達しており、強烈な打球を生み出す原動力になっている。


(打撃のまとめ)

 始動が遅すぎることで、一定レベル以上の球速やキレのある球に立ち遅れる傾向が観られます。しっかりタイミングが合った時には、目の覚めるような強烈な打球を飛ばすのだが ・・・ 。そのため、対応力といった意味では、まだまだ粗さがあることは否めない。最終学年でそういった粗さをいかに改善できるかではないのだろうか。


(最後に)

 ボールを飛ばす、打球の速さといった意味では、
全国でも指折りの素材だと思います。その一方で、高校からプロにゆくほどの対応力を身につけられるのか? その辺は、今後の成長ぶりを観てみないとなんとも言えません。ブレイク候補として最終学年で飛躍するのか? それとも単なる素材型のまま高校を終えてしまうのか? ぜひ見極めてみたい一人です。上手くゆけば、高校球界屈指の強打者だと位置づけになって行けるかもしれません。


(2023年夏 沖縄大会)