24ky-36
曽布川 ザイレン(浜松商3年)三塁 180/85 右/右 | |
技術で飛ばすというよりも、上体の強さで強引に持ってゆく感じの 曽布川 ザイレン 。そのパワフルな打撃で、静岡県下では話題の強打者だった。 走塁面:☆☆ 2.0 一塁までの到達タイムは、右打席から 4.7秒前後(左打者換算で 4.45秒前後) 。これは、プロに入る選手としてはかなり遅いタイムで、もう少し速いタイムも出せそう。それででもプロで足を売りにゆく、そういった素軽さは感じられなかった。春・夏の5試合でも、盗塁は僅か1個と、積極的に走ってくるタイプでも無さそうだった。 守備面:☆☆ 2.0 キャッチングもやや腰高で、送球も力任せで精度は低い。キャッチング・フットワーク・スローイングなどの流れを観ていても、プロの三塁手としては厳しいのではないのだろうか。地肩はかなり強いので、その辺を活かしてレフトあたりとか、一塁あたりを担ってゆく人材ではないかとみている。 守備・走塁 のレベルはかなり低いので、いかに打撃で突き抜けられるかに懸かっているのではないのだろうか。 (打撃内容) この夏の内容は、3試合(12打数) 0本 6点 1盗 打率.250厘 。本塁打こそなかったが、二塁打と三塁打を一本ずつ放っている。 <構え> ☆☆★ 2.5 右打席から、ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、あらかじめ後ろ足に体重を預けている。グリップは高めに添えた強打者スタイルだが、捕手側に引いて添えられている。そのため、腰の据わり具合や全体のバランスとしてはクセのある構えであり、両眼で前を見据える姿勢も並ぐらいだろうか。ただし構えは、本人が一番違和感なく立てるのが好いのではないかと考えてる。 <仕掛け> 遅すぎ 投手の重心が沈みきった底のあたりで動き出し、一度ベース側につま先立ち。本格的に動き出すのは、リリース直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ただし、打者としてのスタイルは、最初の動き出しに起因するので、中距離ヒッターや勝負強さを売りにするポイントゲッタータイプだと考えられる。またここまで遅い始動だとNPBクラスの投手の球に立ち遅れる可能性はあるが、彼のような上体の強い選手は、この始動のタイミングでも成立するのかもしれない。 <足の運び> ☆☆ 2.0 小さくステップして、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」がなく、狙い球を絞りその球を逃さない「鋭さ」が求められます。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプなのでは? 気になるのは、踏み込んだ前の足もインパクトの際にブレやすいこと。そのため、逃げてゆく球や低めの球には強いとは言えそう。それでも、甘めの外角球や高めの球ならば、上手く払って右方向への長打もみられます。 <リストワーク> ☆☆★ 2.5 打撃の準備である「トップ」は、あらかじめグリップを引いて構えているので始動の遅さを補えています。バットの振り出しは、かなり遠回りに出てきます。そのため、インパクトまではロスがありますし、打ち損じも少なくないのでは? それでも、バットの先端であるヘッドは下がっていないので、捉えただ級はフェアゾーンに飛びやすい感じがします。 スイングの弧は大きめで、それほどフォロースルーなどは使ってきませんが、力強く振り抜いてきます。そのため、打球は強烈ですが、意外に打球に角度はつき難いのではないかとみています。上体の強さを活かして、上手く引っ張って巻き込めた時に飛距離が出るタイプではないのでしょうか。 <軸> ☆☆☆ 3.0 足の上げ下げは静かなので、目線の上下動は少なめ。身体開きが充分ではないので、軸足の形も崩れがち。そうなるのも、上半身の強さに比べ、それを受け止める下半身とのバランスが取れていないから。したがって、調子の波は激しいタイプではないのだろうか。 (打撃のまとめ) 技術的には、かなり上体の強さに頼ったり、いろいろな部分で課題が多いことは否めません。そのへんを、プロの指導や本人の努力で、何処まで埋めて行けるのか? 捉えたときの打球の速さは一級品ですが、問題は期待ほど長打が出るタイプになれるかが一つ鍵になるかもしれません。 (最後に) 守備でも走塁でも打撃でも素材型で、相当時間はかかりそうだということ。こういった選手をモノにできた時は大きいでしょうが、果たしてどうなるでしょうか? ソフトバンクの育成力に期待して、少し長い目で見守ってみたい選手でした。 (2024年夏 静岡大会) |