24ky-35
田中 陽翔(健大高崎3年)遊撃 183/83 右/左 | |
チームメイトには、プロ注目の選手が複数いたり、高校生ショートが豊作な年だっただけに、田中 陽翔 の存在は、けして目立つ存在ではなかった。父は元プロ野球選手の 田中 充氏 という血統ではあったものの。 守備面:☆☆☆ 3.0 大型の選手だけに、それほど細かいステップが刻めるとか、機敏な選手といった感じではない。大型の割には、一歩目の反応は悪くなく、フットワーク・キャッチング・スローイングの流れなども、ドラフト候補としては平均的といった印象だった。また、地肩も送球ミスをしないようにという感じで、あまり強く投げてで刺すといった感じではない。プロでショートを担って行けるのかと言われると、個人的には微妙な印象を持っていて、ショートも守りつつ、他のポジションも担ってゆくことになるのではないのだろうか。 走塁面:☆☆☆ 3.0 左打席からの一塁到達タイムは、4.15秒前後と、ドラフト候補としては平均的。チームの一・ニ番で起用されるのことが多いのだが、春夏の甲子園での7試合では盗塁は0。そのため、足を売りにしてゆくという姿は、今のところ想像できない。 守備・走塁に関しては、ドラフト候補としては平均的だった。それだけに、プロに混ざった時に、その辺で何処まで存在感を示せるかは現時点では微妙な印象を持っている。逆に、この2つの部分に、大きな欠点があるわけではないという見方もできるが。 (打撃内容) 大型でも長打で魅了するというよりも、長い手足を活かして、右に左にはじき幅の広い打撃をしてくる印象。春・夏の甲子園での7試合では、打率.357厘と充分にその打力は、全国レベルであることを証明している。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 左打席から前の足を引いて、グリップの高さは平均的。腰の据わり具合・両眼で前を見据える姿勢・全体のバランスと、まずまずといった感じ。懐深く、構えることができている。 <仕掛け> 平均 投手の重心が沈みきった底のあたり動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動のタイミングとなる。 <足の運び> ☆☆☆★ 3.5 足を軽く上げて、真っ直ぐ踏み出して来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいといったタイプだろうか。 真っ直ぐ踏み出した足元は、インパクトの際に閉じて我慢できている。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも食らいついて行き、レフト方向にも無理なく打ち返すことができている。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃の準備である「トップ」の形は自然体で、力みなくボールを呼び込めているところは良いところ。バットの振り出しは、上から振り出してくるインサイド・アウトのスイング軌道。そのため、インパクトまでは最短距離で捉えることができている。ただし、バットのしなりを活かせないスイングなので、木製バットでプロの球をはじきかえせるのか? といった部分には不安が残る。 バットを線ではなく点で使って来るので、接地面が少なく確実性という意味でもどうなのかな?といった印象は受けた。それでもスイングの弧も大きく、フォロースルーもある程度使えているので、身体ができてきたら長打も増えて来るかもといった期待が持てる。 <軸> ☆☆☆☆ 4.0 頭の上下動は小さく、目線は安定している。身体の開きも我慢でき、軸足も地面からも真っ直ぐ伸びて安定している。あとは、軸足の内モモの筋肉がもっと付いて来ると、打球の質・速さも変わってきそうだ。 (打撃のまとめ) 特に非凡なところは感じられないものの、スイングに悪いクセはない。バットの入れ方が、アベレージ寄りも、長打を売りにするタイプのようなスイングをしているので、彼がどのような形の選手を目指して来るかでも変わってきそう。現状はさほど長打は目立たないものの、身体ができてくれば、思いの他そういった部分が目立つようになってくるのかもしれない。 (最後に) 守備でも走塁でも打撃でも、まだまだこれからといった選手に思える。伸び代も多く残されているし、特に打撃面ではここから大きく化けるかもと、そういった余力を感じさせる。ただし、現時点でのプレーを見る限りは、☆ (支配下級)の評価までは至らなかった。このへんは、スカウトや球団によっての考え方次第なのだが、ここからプロの世界でどのようにして生き残りを図るのか、密かに期待して見守って行きたい。 (2024年夏 甲子園) |