24ky-32




藤原 佑 (大社3年)中堅 168/64 右/右 
 




 「面白い」





 今年は、高校のみならず、その他のカテゴリー含めても、あまり足のスペシャリスト選手は少ないように思える。そんな中、高校生ながら今後楽しみな選手がいる、それがこの 藤原 佑 だ。


走塁面:
☆☆☆☆★ 4.5

 一塁までの塁間は、右打席から 4.0~4.1秒ぐらいで到達する。これを左打者に換算すると、3.75~3.85秒ぐらいに相当するなど、タイム的にもプロでもトップクラス。その上、この夏の島根大会では、
6試合で12盗塁と、ちょっと記憶にないような数字を残していた。甲子園での4試合でも4盗塁を決めるなど、その脚力は本物だ。

 スタートの一歩目の速さ・道中のスピード感も確か。それ以上に、報徳戦では足を痛めて気にしているように見せかけて、すかさず盗塁を決めたあたりは、なかなか
抜け目ない選手だと関心させられた。

守備面:
☆☆☆★ 3.5

 打球への反応・落下点への入り、守備範囲の広さなども悪くなかった。センターらしく、ガッツのありそうなプレースタイルにも好感が持てる。地肩も、強肩と呼べるほどではなくても、基準を満たすだけの強さと、素早く中継の選手にも返球できていた。





(打撃内容)

 
足だけの選手だと思われがちだが、島根大会では 18打数で12安打で打率.667厘を記録。甲子園では、15打数で3安打 打率.200厘 に終わったが、チームの核弾頭としての役割を全うした。

<構え> 
☆☆☆☆ 4.0

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えられています。背筋を伸ばしつつも腰も適度に据わり、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスも悪くないです。何より、
打席では高い集中力が感じられるところが好いところ。

<仕掛け> 早すぎ

 投手の重心が下がり始める前に動き出す、「早過ぎる仕掛け」を採用。ここまで早いと、まだ投手が投げるタイミングを狂わすことができるので、プロレベルでは、ここまで早く動き出す選手は稀。投手の重心が下がり初めてからでも、遅くは無いようには思える。

<足の運び> 
☆☆☆★ 3.5

 足を早めに上げて、真っ直ぐ踏み出してきます。始動~着地までの「間」は取れているように見えて、
早く足を地面に降ろしてしまい、最後は浮かしていたカカトを降ろすことでタイミングを図ります。そのため、意外に打てるポイントは限られているのかもしれません。

 真っ直ぐ踏み出すように、内角でも外角でもさばきたいタイプ。それでも
踏み込んだ前の足はしっかり止まっているので、逃げてゆく球や低めの球にも食らいついてきます。報徳戦での第一打席でも、外角低めのスライダーに食らいついて、ライト前に落としていました。

<リストワーク> 
☆☆☆ 3.0

 打撃の準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れないようにしています。今朝丸(報徳学園)投手の真っ直ぐにもスピード負けせずに対応できていました。バットの振り出しは平均的で、可も不可もない感じ。低めの球に食らいつくだけでなく、
高めの球を好む傾向があるようです。高めのボール球を、いかに見極められるようになるかが鍵ではないのでしょうか。小柄ですが、スイングにひ弱さは感じられません。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できていますし、
スイングのあとも形が全く崩れません。しいて言えば、少し形が傾いているので、この辺が真っ直ぐ伸びて回転できると、更に精度も上がってきそうです。

(打撃のまとめ)

 
かなり特殊なタイミングの取り方をしてくるので、逆にこれをいじってしまうことで、スイングが崩れる恐れがあります。また、この動作の弊害が、プロレベルで壁にならないかの心配は多少感じます。しかし、いきなりは直さないで、彼の感性を大事にして欲しいところです。

 当て勘が素晴らしいとか、技術が特別高いわけではないのですが、高い集中力を持って
打てる球を逃さず引っ張ったくタイプだと考えられます。小柄でもファイターであり、スイングにもひ弱さは感じません。


(最後に)

 何より、やはり走塁面が素晴らしいということ。ただ速いだけでなく、走る勇気・技術も兼ね備えている点は貴重です。守備も打撃もまだ際立つものはありませんが、水準を満たしているだけに高校からの指名もありでしょう。貴重な右打ちであることも加味すると、本会議での指名があっても不思議ではないとみています。個人的には、今年の外野手の中でも、イチオシ にしたい選手でした。


蔵の評価:
☆☆ (中位指名級)



(2024年夏 甲子園)