中村　奈一輝（宮崎商３年）遊撃　１８３／７０　右／右

「スピード感がある」

　攻守にスピード感がある選手、そんな印象が強い　中村　奈一輝　。今年は高校生遊撃手の豊作となっているが、彼もまたプロ入りを狙える位置にいると言えよう。

走塁面：☆☆☆　3.0

　一塁までの塁間は、右打席から　４．４秒前後。これを左打者に換算すると、４．１５秒前後とドラフト候補としては平均的。夏の宮崎大会では、５試合で１盗塁。ぎっぐり腰があったとの話もあるが、状態は良くなかったのも影響したようだ。

守備面：☆☆☆★　3.5

　打球への一歩目の反応が鋭く、スピード感のあるプレーが持ち味。キャッチング・フットワーク・スローイングまでの流れも良く、圧倒的な地肩ではないものの、肩も水準を満たすだけのものがある。プロでも、ニ遊間をになって行ける、そういった選手ではないのだろうか。

　走力は、タイム以上の能力は持っていそう。守備もまだ絶対的ではないものの、高校生ショートしては基準を上回る動きの良さがある。１８０センチ台の大型ショートで、なかなかこの軽快さは貴重な存在ではないのだろうか。

（打撃内容）

　甲子園では、５打数１安打でレフト前にヒットを放って魅せた。３年夏の宮崎大会では、チームの打者として　０本　２点　１盗　打率．２５０厘　と、打撃に課題があるのは間違い無さそうだ。

＜構え＞　☆☆★　2.5

　甲子園では、相手投手が左投手ということでクロスに構えていた。しかし普段は、スクエアスタンスから少しオープン気味に立っているように見える。グリップを高めに添えているが、腰の据わりはやや浅く、両眼で前を見据える姿勢や、全体のバランスとしても、もう一つか。

＜仕掛け＞　平均

　投手の重心が下りきったところで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離打者や、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多く観られる始動のタイミングとなる。

＜足の運び＞　☆☆☆★　3.5

　足を引き上げて、真っ直ぐ踏み込んで来る。始動～着地まではそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐ踏み出すことからも、内角でも外角でもさばきたいタイプではないのだろうか。

　踏み込んだ前の足も、インパクトの際になんとか我慢。そのため、逃げてゆく球や低めの球にも、喰らいつけて行けると考えられる。

＜リストワーク＞　☆☆★　2.5

　打撃の準備である「トップ」の形を作るのは自然体で、力みなくボールを呼び込めているのは好いところ。ただし、バットを引くのが遅れ気味で、トップをしっかり作れないまま振り出すことも多い。また、スイング軌道も少し遠回りに出てくるので、打ち損じたり差し込まれることも少なくない。

　スイングの弧自体は小さくないし、最後までしっかり振り切れている。あとは、そういったスイングを支えるだけの足腰の強さやヘッドスピードも磨きたい。

＜軸＞　☆☆☆　3.0

　足の上げ下げはあるので、目線の上下動は平均的。体の開きは我慢できているものの、まだ軸足の形が崩れがちだったり、内モモの筋力などが弱く、スイング自体の強さ・鋭さは物足りない。

（打撃のまとめ）

　スイングのメカニズムにも修正の余地があるが、それよりも立ち遅れだったり、打ち返すだけの筋力・体作りが物足りない印象を受けた。そのため、プロで通用するだけのスイングを身につけるのには、何年かかかるのではないのだろうか。

（最後に）

　右打ちの大型遊撃手で、その動きやスピード感には見るべきものを持っている。打撃は、ドラフト候補としてはやや弱いものの、体が出来てくれば、ある程度そういった部分は解消されてゆきそう。ただし評価となると、育成枠になるかもしれない。それでも、しっかり守れる右打ちのニ遊間候補は貴重なだけに、何かしらの形では指名されるのではないのだろうか。

（２０２４年夏　甲子園）