24ky-30
岸本 佑也(奈良大付3年)遊撃 180/75 右/右 | |
豊作の今年の高校生ショートの中でも、ひときわ守備で目をひくのが、この 岸本 佑也 。プロに混ぜても、ショートとして勝負して行ける選手ではないのだろうか。 走塁面:☆☆★ 2.5 夏は、足の状態も良くなかったのではないかという風に感じられた。奈良大会準決勝では盗塁を決めていたが、その後はかなり痛々しい感じで、そのへんが守備にも影響していたように思える。ただし、元々走力を全面に出したプレーヤーかは微妙な印象は受けています。そのため計測した時も、全力では駆け抜けられず、右打席から 4.65秒強(左打者換算で4.4秒強)ぐらいのタイムであり、参考にはならなかった。 守備面:☆☆☆☆ 4.0 とっさの反応良さや判断力・動作の切り返しの素早さなどには、目を見張るものがある。難しい体勢からでも、送球が乱れないだけの地肩の強さも魅力の一つ。投手としても、140キロ台中盤を出せる能力があり、身体能力的にも、充分にプロでショートとしてやって行ける素材ではないかとみている。今後プロの指導を受けたり経験を積んでゆければ、守備に関しては名手の領域まで行けるかもしれない。 (打撃内容) この夏は、本調子とはなかったものの、4試合で、13打数2安打 打率.154厘 と、結果は残せなかった。ただし、討ち取られても、自分の型を崩さず、好い形で打てていたので、悪い印象は残らなかった。 <構え> ☆☆☆★ 3.5 ほぼ両足を揃えたスクエアスタンスで、グリップは高めに添えられている。腰の据わり具合や全体のバランスは好い構えで、両眼で前を見据える姿勢もそれなりといった感じはする。 <仕掛け> 平均的 投手の重心が沈みきったあたりで動き出す、「平均的な仕掛け」を採用。この仕掛けは、ある程度の確実性と長打力を兼ね備えた中距離ヒッターや、勝負強さを売りにするポイントゲッターに多くみられる始動となる。 <足の運び> ☆☆☆ 3.0 足を上げて真っ直ぐから少しベース側に踏み込んで来る。始動~着地までの「間」はそこそこで、速球でも変化球でもそれなりに対応。真っ直ぐから少しインステップ気味なので、やや外角寄りへの意識が強いかもしれない。 気になるのは、インパクトの際に少し足元が動くこと。そのため逃げてゆく球や低めの球にはあまり強くなさそうだが、スイング後には形が崩れないので、そこまでセンターから右方向への打撃もできないわけでは無さそう。現状は、甘めの外角球をセンターからレフト方向に打ち返すのを好むタイプなのかもしれない。 <リストワーク> ☆☆☆★ 3.5 打撃準備である「トップ」の形は早めに作れており、速い球に立ち遅れる心配は無さそう。バットの振り出しも、インパクトまで大きなロスは感じない。スイングの弧も大きく、最後までしっかり振れている。まだスイングに強さ・迫力は感じられないが、体ができてくれば結構長打などが生まれるタイプに育ってゆくかもしれない。 <軸> ☆☆☆★ 3.5 足の上げ下げは静かで、目線の上下動は少なめ。体の開きが充分ではないものの、振り終わった時に軸足の形は崩れず、体勢が崩れていないところは非凡。逆に、打てる範囲のボールは限られていて、そういった球を逃さないことが求められるタイプなのかもしれない。 (打撃のまとめ) この夏のヒットは僅か2本に終わっていて、ドラフト候補としては打撃が弱いところをどう見るか? しかし、実際の打席での内容や、メカニズム的には、そこまで悲観することもないかなといった印象も受けた。 (最後に) 守備に関しては、プロでもショートを担って行ける、そういった数少ない可能性を感じさせてくれる素材だった。その一方で、打撃に関してはドラフト級かと言われると物足りない。そのため評価となると、育成であるかないかぐらいになってしまうかもしれない。ただし、育成ならば、この守備や素材としてのポテンシャルを買って、指名するのもありではないかと思わせてくれる選手だった。支配下級の評価である ☆ は付けられないが、個人的には高卒プロもありではないかとみている。 (2024年夏 奈良大会) |