24ky-3





武田 勇哉(常総学院3年)一塁 182/87 右/右 





「悪くはなかった」 





 注目された選抜では、無安打に終わった 武田 勇哉 。しかし、その内容は、けして悪いものではなかった。24年度では数少ない、スラッガー候補の一人でもある。


守備面:
☆☆★ 2.5

 秋は背番号5を付けて一塁を守っており、一塁手としての動きは良かった。その印象は選抜でも同様で、無難にさばいていた印象。ただし、こういったタイプだけに、できれば三塁も担えると大きいのだが、まだ実戦でサードを任せられるほどの信頼は乏しいのかもしれない。

走塁面:
☆☆☆ 3.0

 選抜では、一塁まで到達を計測する機会がなかった。秋に計測したときには、右打席から 4.3~4.5秒台 ぐらい。このタイムは、左打者換算で4.05秒相当になるほどで、プロのドラフト候補としても基準レベルにある脚力。走力を全面に出すプレースタイルではないが、全力で駆け抜ける意識も強く、けして動けない選手ではない。



(打撃内容)

 選抜では、
2試合で4打数0安打で終わること。初戦の 日本航空石川戦では、レフトライナーとライトへの犠牲フライで、2つ四球だった。昨年は、18試合の公式戦で3本のアーチを架けている。

<構え> 
☆☆☆ 3.0

 前の足を軽く引いて、グリップは高めに添えた強打者スタイル。腰の据わりは悪くなく、両眼で前を見据える姿勢や全体のバランスとしては並ぐらいだろう。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちして、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅い段階での始動は、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルの球速の球を木製バットではじき返すのは厳しくなる。この部分も、昨年と変わっていなかった。


<足の運び> ☆☆☆ 3.0

 小さくステップし、少しベース側に踏み込んでくる。始動~着地の「間」が短いので、あらかじめ狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められる。インステップするように、外角への意識がやや強いように感じられた。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にもブレずに我慢。したがって逃げて行く球や低めの球にも食らいつくことができますし、実際右方向にもきっちり打ち返すことはできています。少し腰が早く開く傾向があるのですが、クロスに踏み込み足元が動かないことで、開きをある程度のところまで抑えることはできています。このへんも、昨年からほぼ同じ感じです。

<リストワーク> ☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」の形を作るのは早いので、始動の遅さを補っています。バットの振りだだしは、腰が早く開く分やや遠回りに出てくるものの、足元が踏ん張れることでそこまで遠回りにはなっていません。

 インパクト後も大きな弧を描くことができ、フォロースルーも活かしてボールを遠くに運べるスイングをしています。
昨年は、スイングの弧がそれほど大きく取れず、フォロースルーも使えていなかったので、その辺は成長の跡が感じられました。

<軸> 
☆☆☆★ 3.5

 足の上げ下げは小さいので、目線の上下動は少なめ。腰の開きは早いものの、ある程度のところで抑えることはできています。足元が少し窮屈なので、内角のさばきはスイング軌道も相まってどうなのかな? と感じる部分はあります。

 軸足の内モモの強さは健在で、強烈な打球を生み出す原動力に。昨年の方が、軸足が地面から真っすぐ伸びて回転できており、軸の安定という意味では良かったように感じました。

(打撃のまとめ)

 基本的に、スイング自体はほとんど昨年から変わっていないように感じます。進化した点では、
スイングの前を大きく取れるようになり、フォロースルーを使えるようになって、よりボールを遠くに強く飛ばせるような形に変わってきた点では好感です。一方で、始動が遅すぎることで、打てるポイントは限られているところがあり、高いレベルのスピードやキレに対応しきれるのかは疑問が残ります。


(最後に)

 24年度のドラフト戦では、高校生で飛ばし屋と呼べる存在が少ない年です。そんな中、「右打ちの大物打ち」という稀少価値のある素材です。しかし、現状はドラフトではボーダーレベルであり、夏までの成長次第といった感じがします。昨今の常総学院は、なかなか高校から直にプロ入りしない学校だけに、彼がどんな進路を選択するかも気になるところです。夏まで追いかけて、最終的な評価を下したいところです。


蔵の評価:
追跡級!


(2024年 選抜大会)



 








 武田 勇哉(茨城・常総学院2年)一塁 182/87 右/右





「石塚よりスラッガータイプ」 





 関東屈指の野手と言われる 石塚 裕惺(花咲徳栄2年)遊撃 が、甘い球を逃さず鋭い当たりを連発する強打者ならば、こちらの 武田 勇哉 は、いかにも飛ばし屋といった感じの、スラッガータイプの右の強打者なのだ。選抜出場も濃厚で、大会では注目の野手の一人に数えられるだろう。


走塁面:
☆☆☆ 3.0

 一塁までの塁間は、右打席から 4.3~4.5秒台 ぐらいで到達する。このタイムは、左打者換算で4.05秒相当になるほどで、プロのドラフト候補としても基準レベルにある脚力。走力を全面に出すプレースタイルではないが、全力で駆け抜ける意識も強く、けして動けない選手ではない。

守備面:
☆☆☆ 3.0

 背番号5を付けているが、試合では主にファーストを守る。サードのプレーでエラーしたのを見たことがあるが、一塁手としては動き・反応・グラブさばきとまずまず。
高校生の一塁手としては、上手い部類ではないのだろうか。ただし、プロを想定すると、三塁としてアピールできるかが、評価にも大きく左右しそうだ。地肩自体は、けして弱いことは無さそうだ。

 現状は、石塚選手のように、ショートという守備的でのアピールは薄い。それでも走力でも守備でも、全く動けない選手ではないので、サードでもいけるという評価になれば、高い順位も期待できるようになるかもしれない。





(打撃内容)

 関東大会では、
3試合 12打数 5安打 1本塁打 6打点 1盗塁 打率.417厘 と、その強打者ぶりを魅せつけた。打撃フォームは、関東大会ではなく、秋の茨城大会の時のものを参考にしてみた。

<構え> 
☆☆★ 2.5

 前の足を軽く引いて後ろ足に重心を預けつつ、グリップの高さは平均的な高さで構えている。腰の据わりは悪くないが、両眼で前を見据える姿勢や、全体のバランスとしては、もう一つといった感じがする。

<仕掛け> 遅すぎ

 投手の重心が下る時にベース側につま先立ちして、本格的に動き出すのはリリーフ直前という「遅すぎる仕掛け」を採用。ここまで遅い段階での始動は、日本人の筋力やヘッドスピードを考えると、プロレベルの球速の球を木製バットではじき返すのは厳しくなる。

<足の運び> 
☆☆☆ 3.0

 小さくステップして、ベース側に踏み込んできます。始動~着地までの「間」がないので、狙い球を絞り、その球を逃さない「鋭さ」が求められます。ベース側に踏み出すように、外角への意識が強そうです。

 踏み込んだ前の足は、
インパクトの際にもブレずに我慢できています。したがって、逃げてゆく球や低めの球にも食らいつき、右方向への打撃も苦にしません。ただし、つま先立ちした後からは、非常にクロスの形になるので、内角のさばきはどうなのか気になります。

<リストワーク> 
☆☆☆★ 3.5

 打撃の準備である「トップ」を早めにつくることで、始動の遅さを補おうとします。バットの振り出しは、けしてインサイドアウトではないものの、
大きなロスはなく癖がありません。インパクトの際にはヘッドを下がらないようにできており、最後まで力強く振り切っています。

 ただし、思ったほどスイングの弧が大きいだとか、フォロースルーを活かして打球を運ぶといった感じはしないので、ホームランは引っ張って巻き込めた時なのだなといった感じがします。

<軸> 
☆☆☆☆ 4.0

 足の上げ下げが小さいので、目線の上下動は少なめ。体の開きも我慢できており、軸足も安定感があって形が崩れていません。軸足の内モモの筋肉は強そうで、強烈な打球を生み出す原動力になっています。

(打撃のまとめ)

 
クロスに構えたり、極端に始動が遅いなど、癖のある打撃をする選手とのイメージがあります。また、腰が早く開くのを防ぐためか? クロスに踏み込むことで、これを防ぐことができています。インパクトのまでのスイング軌道や軸が安定している点は評価できるポイントで、そこまで荒々しい打者にはなっていません。むしろ、右方向にも打てるなど、意外に実戦的な打者です。


(最後に)

 もう少し「天性のスラッガー」的なメカニズムかと思っていたのですが、そういったことはなく
実戦的なポイントゲッターという色彩の方が強そうです。悪く言えば、そこまで悪い癖がない。良く言えば、思ったほど突き抜けていない。この辺の特徴が、どっちに出るかで最終学年のパフォーマンスも変わってきそう。現状は、上位候補云々というよりも、一人のドラフト候補として、どういった位置づけになってゆくのか、選抜の時点から見極めて行けたらと思います。それでも秋の時点では、全国でも指折りの高校生の強打者 であることは間違い無さそうです。


(2023年秋 関東大会)